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#恋愛
ばたっちゅ
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#BL
NGS_ヘビーなしっぽ
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うわ…重すぎる…でも、だからこそ目が離せなかった。3号の自責と幻聴、パモラの叫び、どれも心臓をぎゅっと掴まれるような描写だった。特に「生まれてきてごめんなさい」の連呼が刺さって、読んでるこっちまで息苦しくなったよ。でも最後、3号が2号のところに駆けつけたシーンで少し希望が見えた気がした。ちゃんと戻ってきたんだって安心した…。天脳音月さん、こんなに重い感情を丁寧に書けるの、本当にすごいです。続きが気になる…!
「誰か…、助けて…。」
2号は剣を振り下ろそうとした時、僕は2号の腕を掴んでいた。
「3…号…?」
しばらくして静止した2号を見て初めて自分が何をしてるのかに気づいた。ただ、自分がやっている事への言い訳を探そうと考えていた。
「…ち、…違くて。違…う、頭がおかしく…なっただけ…。ごめん…なんでも…ない。」
2号の腕を離すが2号はパモラには攻撃せず僕だけをじっと見つめている。真顔で僕を見るその顔は、感情が読めなくてなんだか怖い。
「…躊躇うなって…、君いつも言ってたのに…。」
『やくたたず。』
「わかってる!!」
こんなんじゃダメなことも分かってる。自分が言っていることとやっていることの矛盾なんて最初から分かってる…。
『いらない子。いらない子。いらない子。』
「だめだ…、もう無理なんだ…だめなんだ…。」
幻聴が聞こえる度に3号の言動は支離滅裂になる。自分はいらないという認識が、3号を狂わせる。
自分のやっている事の罪悪感からか、正気では無くなったのか3号は戸惑い、自身の心臓に剣を向け刺そうとした 。剣をもつ3号の手を2号は叩いた。
「なにしてんの!!!!」
2号の荒らげる声で驚いて反射的に、2号の頬を叩いていた。手のひらに伝わる熱と2号の驚いた顔がさらに3号を困惑させた。
「あ…あれ…。ち、違…そんなことしたかったんじゃないっ…!!な…、なんで…なんで……ご…、ごめんなさいっ…ごめんなさいっ!!違…叩いて…」
叩くつもりじゃなかった。叩こうなんて思ってなかったのになんで僕は手を出したの。どうして…、そんな目で見るの…。どうして…どうして。
「全部悪い…悪い夢なんだ…そうじゃなきゃおかしい…。じゃないと耐えられない…無理……無理…。」
「3号…さっきから何を…。」
もう…、嫌だ。さっさと死んでしまいたい。こんな気持ちもこんな苦しいも全部いらない気持ち悪い。うるさい…、死ぬことくらいで怒らないでよ…。
「どうして、どう…あれ…死ぬ…死ぬ…。なにが…、頭が体が…、どうして…、どう…。」
「私はできれば…、君の意見は尊重したい。パモラを殺したくない理由があるのなら言ってくれていい。けど、私はあなたを死なせたくない。それは…、たとえ君の意志であってもそれは…尊重できない…。」
2号が僕の手を掴んでくる。思わず振り払おうとした時、啜り泣くのが耳に聞こえて慌ててパモラの方を見る。
「ごめんなさい…、ごめんなさいっ…。いい子じゃなくてごめんなさいっ…。」
『どうして僕はこうなんだろう』
『どうして僕はこんなにも役たたずなんだ』
『僕のせいでヘカテもカオラもサワメも死んだ』
『嫌だ死にたい死にたい…死にたい…。』
『そんなの嫌だ…。』
『誰か助けて』
『苦しいのもう嫌だよ…もう嫌だ…』
『死んだら楽になれるのに』
『死ぬ…死ぬのが一番…』
『どうせ死ぬんだなら今死んだ方が楽』
『こんな価値の無いゴミに育ってごめんなさい』
『父さん母さん…、生まれてきてごめんなさい。』
『生まれてきて、不幸にしてごめんなさい…。』
「あ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁ”ぁぁ”ぁ”ぁ”ぁ”!!頭が痛い助けて助けてっ…!!」
パモラの声をからすような喉から出る悲鳴に思わず耳を塞ぎたくなる。
『結局皆自分事で助けてなんてくれない。』
『お前のせい。お前のせい。お前のせい。』
『頭が痛い気持ち悪い寒い寒い寒い!!!』
『この出来損ない』
『寒い寒い寒い寒いっ!!助けて…!!助けて…。』
『さっさと死ねよ。お前なんか誰も必要となんてしていない。誰にも求められない可哀想な人だね。』
『結局誰も助けてなんてくれない誰もがみんな自分で精一杯自分は迷惑。存在が迷惑だった。』
頭の中に入ってくるパモラの声と幻聴が混ざり合う。かん高い耳鳴りが鳴る。自然ではありえないような高い耳鳴りが頭に突き刺さる感覚がした。
喉の奥から込み上げる吐き気を飲み込む気持ち悪さを感じた。
「もう…、どうでもいいや。」
その瞬間、パモラに左胸に氷柱が突き刺さる。自殺だった。…仲間が死んだ罪悪感も、生まれた罪悪感すら感じで死んでいった。
空間はあの捻れた色の反転した空間ではなくなっていた。自分の中でなにかが割れるような感覚がしてただ呆然と立ってパモラの死体を見ていた。
ハッとして2号の方を見る。慌てて2号から離れようとしたけれど、2号が強く手首を掴んだ。
「ちょっと来て」
2号に手を捕まれ、前線とは違う反対方向の所へ連れてかれる。第一線塹壕でも、第二線塹壕でもない。第三線塹壕の頃まで連れてくる。
「ちょっ…ここ後方じゃ…。」
「精神的な怪我でしょ。あ、55号こいつの頭おかしくなったから前線じゃ戦えない。」
2号は55号に話をしていた。その間も、離す気が無いのか手を握る力が異常に強い。
「じゃあ、ここで休んでな。私は前線に戻る。」
「待っ…!!」
2号は僕に背を向ける。55号は2号の背を追いかけようとする僕の肩を掴み地面に座らせる。そんなことしてる場合じゃないのに。
「前線に戻らないとまた…僕は…!!」
「今の状態で前線に戻ってどうするつもりですか?あなたが苦しいのも、わかってます。あれを見るに、2号の事叩いたらしいですし。」
「…そうだよ。叩いた…」
「過剰防衛。3号の気分の波は激しい。パニックになった時に限って誰かの怒った声に過剰に反応して叩く行動。薬だって。」
55号に肩を拳でグリグリする。ムッとした顔をして物資の空箱を椅子代わりにして座らせてきた。
「薬だって、あなたは日を追う事に効かなくなっている。精神状態の悪化と薬剤耐性がついている。」
「そんな事…、今はどうでもいい。」
「報告によれば、2分後に敵は撤退。敵の異能は全員が持ってるわけではないうえ、年齢層もバラバラ。環境汚染覚悟でミサイルを投下し、敵陣は撤退。」
そうだったのか。けど、いつ敵がまた襲ってくるかが分からない。敵の力が計り知れないうちは油断ができない。どうすればいい。
「あなたが今やることは、落ち着くことです。しばらく薬は控えた方が───」
「そんな事…、あんたに関係ないだろ。そんな事言ったってどうしようも無いことくらいわかってるだろ。一々愚痴愚痴と …、この偽善者がッ!!!」
あれ、なんで今自分はこんな言葉を人にいっているのだろうか。違う…、こんなことを考えてない思ってないのになんでこんな言葉が出てくるんだろう。
「ち、違う…。違…こんなこと思ってない…。こんなこと…!!」
「3号ちょっとおかしいですよっ!!」
「来んなっ!!!」
近づこうとする55号に腕を振り上げてしまった。腕がピタッと止まる。座っていた空箱は立ち上がった勢いでバン!と倒れる。
「……なにも…、おかしくなんかない…。」
けれど、頭の中がグラグラとする。心臓のような鼓動音と頭の中を脈打つような動悸がした。その感覚と共に地面に倒れる。
[3918年5月11日/732号:フェノール]
「2号じゃん。無事だったんだー?あれ、3号はどこ行ったの〜?」
「第三線塹壕。」
「あれ、3号怪我でもしたの?」
「…精神的に。」
リベルは自分で質問しておいて、少し心配そうな顔をしている。別に、3号が精神的に参ってるなんていつもの事なのにリベルも気にしなくていいのにー。
2号は曇った表情をしている。敵はあの爆発で撤退して行ったけど、警戒を高めているから私たちは第一線塹壕で隠れることしかできない。
「頬赤くなってるよ〜?もしかして3号に顔面叩かれたの〜?」
「…。」
何、2号黙ってんの?なんか、ムカつく。2号もうじうじして、3号に踏み込まないし。面と向かって言えばいいのに。思ってる事全部。
「素直なればいいのに。」
「3号に、私の気持ちを受け取れるほどの余裕があるとは到底思えない。」
気にしてるの。でも、あいつはハッキリ言わないとわかんないような鈍感だし。なんなら、私がハッキリ言ってやれば私はスッキリするけど。
他者にとってはそうじゃないだろうけど、あいつが2号を叩いた理由くらいは聞いてみたいけど。ま、予想はなんとなーくわかるけど、それが2号にはよくピンとして無さそうだなー。
「2号は分かってんのー?3号になんで叩かれたのか。」
「分からない…。」
「日常的な暴力を受けるとあーなるもんだねー。」
日常的な暴力を受けていると簡単に人を傷つけるようになる。3号はまだ倫理観があるから軽い傷ですんだけど、なかったらもっと大怪我してたかもね。
「3号も…薬の効力で自我を維持てるだけだから。けど俺たちの体は薬に抗体が出来ちゃうからいつかあの薬も効力が無くなっちゃうかもしれない。」
リベルはボソボソと話している。第一線塹壕を超えて第二線塹壕へ歩く。2号を引っ張りながらリベルも私の後ろをちょこちょことついて行く。
第三線塹壕へ入ると物資の箱の上で寝かされている。あれ、3号寝かされたのか。
「ねぇ、3号寝てるけどなんかあった?」
多分こいつは55号とやら?だった気がする。顔や番号を覚えたつもりだったけど、若干うろ覚えなせいでよくわかんないや。
「精神的ショックにより倒れました。」
「気絶するほどか。」
3号はいっつもそんな追い詰められているけれど、気絶するまでの精神ショックって何があったんだろう。あまりの恐怖から気絶したとかか?
何に対しての恐怖だろうか。死に対しての恐怖?誰かを失うことへの恐怖?必要とされない恐怖?
「2号は、やっぱり絵になるよね〜。」
「そう?」
「…こいつなんでも絵にしたがる性質だから気にしないであげて。」
リベルは私を絵描きバカだと思ってるでしょ。そんな性質してないし。
「私絵下手くそだし、ちょっと気になるよ。フェノールの絵」
なんだか調子狂うことを言われた。大した価値のない絵に興味を示してくれるのはちょっと嬉しい。
「あんたらが無事帰って来れたら描いてやらんかともない。」
「まじか。言ったかんな?言質取ったからな?」
「はいはーい。」
2号は心做しか口角を上げて表情がふんわりとしていた。リベルの顔を見るがこいつもいつもよりふわふわとした顔をしてこっちを見やがる。
「あ、2号。こいつめちゃ上手いから期待してもいいレベル。」
「おいハードルあげんな?」
リベルの腕を肘で小突く。こいつはいつも私の絵の話になると、何故はこんな楽しげな顔をする。それがいちばん…、ムカつく。
「…あれ、雪…。」
さっきも同じような雪が降った。あの時は異星人が降らせていたし、別個体かもしれない。リベルも2号も気づいたのか急に表情が険しくなる。
さっきまであんな間抜けズラしてたふたりだとは到底思えない。嫌な想像がついてならないのだろう。
「一旦前線に戻る。様子見てくるだけだから二人は指示が出るまで前線にこないで。」
「でも…2号だって…」
「 ここは行かせてあげたらー?様子見に行くだけなら134号でもできるんだし、できるでしょ。」
戸惑うリベルの背中をパシッと叩く。無感情に見えて仲間思いなのなんなんさ。
2号はそそくさと登って塹壕を抜けていく。
[3918年5月11日/2号]
第一線塹壕も越え最前線へと赴く。そこには死体の山がたくさん落ちており、血なまぐさいような泥臭いような臭いが鼻を劈く。思わず持っている剣を落としてしまいそうな重っくるしい空気。
「死んだって思い込むなんて的外れがすぎる。」
その声のする方向へ振り向いた。少年は、パモラは気づなぬうちに私の後ろに回っていたのだ。
通信機器を、起動させようとしたが気づけば凍っており起動できる状態ではなかった。
剣を向けてパモラをロックオンする。パモラは胸の辺りから血を流しながら平気な顔して地に足をつけていた。
「こんなことで僕は死なない。馬鹿だよほんと。敵である僕に同情でもしちゃったの?ほんと馬鹿」
パモラは顰笑したつもりだったが、瞼がピクピクと震え溢れ出る涙を堪え、笑えきれていなかった。敵の愚かさを嘲り笑うことすらできない。
「私は多分同情した。けど、3号は違う…と思う。」
あの時の3号の気持ちは私にはわからない。けど、その戸惑いも行動も同情だけじゃないと思う。ただの私の勘だけど…。
「お前らの命は…っ!!軽いじゃないかっ!!!一度っきりなんだよ…僕たちはっ!!」
「私たちだって───」
第一線塹壕からパモラに向かって銃が撃たれたが簡単に氷で塞がれ、パモラは第一線塹壕に針状に結晶した氷、氷針を放つ。
「醜穢なゴミ共。さっさと死ねばいいんだ。」
地面から出る水色の粒子が天に昇るように舞い上がる。粒子は集まり一つの塊となり氷針の雨と成す。
小さな氷針が雨のように大量に降る。避けきることは出来ず腕や肩に貫通する。塹壕からの悲鳴。彼らは恐らく攻撃する余裕もないだろう。
2号は勢い良くパモラに接近する。パモラは2号との間に壁を作るが2号は焦りからか左手から剣をパッと落とす。そして容赦なく氷を殴った。
氷は粉砕し、壁は破壊され、壁としての機能がないほど木っ端微塵になる。パモラは予想外だったため驚きから顔を引き攣らせる。
その勢いで2号はパモラの頬を拳で殴る。先程とは違い大した威力は出なかったが、勢いから尻もちつくほどの力で殴ることはできた。
「私だって…、好きでこんな身体になってるわけじゃないっ!!普通になる前に…、お前たちに殺される運命だって知ってるっ!!」
一度でいいから、普通に生きてみたかった。一度でいいから、希望というものを抱いてみたかった。一度でいいから、誰かを愛してみたかった。
「さっさと僕の前から消えてっ!!う”っ…痛い…。寒い…、痛い痛い痛いっ…!!お前っ…!!お前のせいお前のせいっ!!全部お前らが悪いっ!!」
もはや会話もままならない。こんな子供が、たくさんの苦しみも痛みも背負ってきた。私じゃどうもこうも出来ない。できるはずがなかった。
地面に座って泣きじゃくるパモラに向かって、剣を向ける。こんな怪我を負っても尚死んでいない。どうしてだろうか。
「あらあらうちらのガキンチョ虐めちゃって。こいつ雑魚なんだから容赦してあげてよね。」
背後から声がした。振り向く前に何かに貫かれた気がして下を向く。左胸に熱い感覚と胸から腹へと伝わる熱い感触。
「なにを”っ…お”前っっ…。」
肺に傷がついたせいか声が出にくい。枯れた声を無理やり絞り出し、そいつに反撃しようとしたがそのまま体を押されて地面に押さえつけられる。
「私は、タカミだよ〜?ちゃーんと覚えてね〜?雑魚お姉さ〜ん。」
タカミと名乗る少女は、私を嘲りながら両手を押さえつけながら背中を足で踏んだ。
「ねぇ、お姉さん痛み感じてないの〜?槍で肺を貫かれてるのにまだ意識保ってるうえに、パニックすら起こしてない。へぇ〜んなの〜!」
ぷぷぷと笑いながら槍で肺を抉る。その衝撃から体は耐えきれずに喀血した。強い鉄の味が口に広がる。気持ちの悪い液体を出そうとして咳き込む。
酷い窒息感のせいで上手く呼吸ができない。吸う度に胸の熱い感覚と久々にきた気持ち悪い痛みだ。
「痛…い…。」
その言葉も、久々に出た。
「私たちの死の基準は個人差がある。脳と体を切り離されたら流石に死ぬけどね〜。この世に何らかの執着があるものこそ、死ににくいってわけ〜。」
「な…ぜ……わざわざ……い”っ…言っ…た…。」
「はぁ?聞こえないんですけどー?」
これ以上の声は出ない。なら、これ以上言葉を発するのは不毛であろう。もうどうでもいい。さっさと殺してくれ。2号は無意識に目を閉じる。
「このクソ女が。」
気だるげな声が聞こえた。その時、抉られるような感覚は無くなっていた。目を開けると、そこにはリベルとフェノール…それから3号が居た。