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#恋愛
ばたっちゅ
4,526
215
#BL
NGS_ヘビーなしっぽ
204
「ねね、おにいさんどうしたの?わたしになにかある?」
「いや…、どこかで見たことあるなって。」
ただの懐かしい顔。ただ独房に居た見覚えの女の子に話しかけられただけ。
「わたしひまだからよかったらおはなしあいてなってほしい!」
「…僕用事があるんだけど…。」
「おねがいおねがいやだやだおはなしおはなしっ!」
泣きじゃくって居たから仕方なく折れた。本当は、嫌でもない。でも、話すのはなにか嫌だった。
「分かった分かりました…。ちょっとだけだから…」
「やった!!」
たいして喜ぶ必要も無い。必要も無い感情を出している極めて合理にかける生物。
「おにいさーんここからだして〜。わたしお外であそびたいー。」
「僕にそんな権限はない。」
「けんげん…?」
「……僕がそこから君を出すことは許されていない。」
言語も伝わりにくい幼い生物。無理に明るく振舞っている所が、過去の自分と重なり心に痛く突き刺さる不快な感覚がした。
「おとうさんとおかあさんどこ?」
「…知らない。」
どうせ死んでいるであろう身内の安否を気にする愚かさ。
「しってるよ。わたしのおかあさんさされちゃったんだ…。でも、きっと助かってるよ!強いもん!」
「…どういうこと…?」
「みたの。くろいかみのおんなのこにころされちゃった。あとね!おかあさんが言ってたの。私に、”おにいちゃん”がいたって。」
「そうなんだ。」
刺されたところを見ておきながら助かると思ってやまない愚かさ。無駄な希望を与えるなら現実を突きつけられた方がマシだろう。
けれど、死んでいることは本人も気づいている様子だった。なのに、無理にそうやってねじ曲げる。自分の中で生きてると思い込んでる。
「おにいさんってわたしのおかあさんにちょっとにてる!」
「そ…、そうなんだ…。」
現実を突きつける。その言葉で自身の価値を疑うほどだ。
「その話は…、やめてほしい。そ、そうだ。き、君の名前なんていうの…?」
名前のことになると異様に元気になった。それほどまでに好きな名前だったのだろうか。
「わたしのなまえはね!!”明咲”っていうんだ!!えへへ、いいなまえでしょ!!明るく咲くはな!そんなかんじのニュアンスでつけたんだって〜!」
「…そっか。…じゃあ、僕はそろそろ行くね。」
気分が悪いからさっさと退散しようとした。
「あっ!!おにいさんのおなまえなんていうのー?!」
「…3号。」
番号で答えた。けれど、違和感など持つ余地もなく女の子は僕を3号と呼んだ。
「さんごーばいばーい!!」
その子は独房の隙間から手を振る。僕の顔には苦笑だけが残り、黙って背を向けた。
あ、あれ。思わず飛び起きた。あれ、僕何してたんだっけ。ていうかなんか夢見てた気がするんだけど。なんだっけ。
「びっくりした…。」
「リベルって意外とビビりなんだ…。」
リベルがなんか何故か怯えている。そこまで大きな声出したっけ。うん、出してなきゃリベルこんなに驚かないよね…。
「な、なんか泣いてるよ?」
「…あれ」
なにか精神的な問題だろうか。ポケットに入っていた薬を飲む。この薬を飲むとまぁ大抵の事は落ち着く。頭は少しふわふわするけど不安はなくなった。
「あれ、2号は…?」
「2号はさっき前線行った」
「え。」
3号は慌てて立ち上がり、足元に置いていた予備の剣を拾い、腰にかける。リベルやフェノールも武器を持ってるってことは前線へ行くつもりだろうか。
「なに武器持ってどっか行こうとしてるんですか。」
55号がジトーっとした目で見つめてくる。一歩ずつ下がってさっさと逃げようと思ったがリベルも手で構えている。
「いや無理」
「なにがですか。」
「無理普通に無理。」
3号は無理と言ってゴリ押ししていた。55号は何がと問い詰めるが3号は無理と言いゴリ押ししている。フェノールは眉間に皺を寄せる。
「もうめんどくさいし諦めなよ55号ー。」
フェノールが面倒くさがりの飽き性でよかった。あれ、向こうの方でなにか雨が降ってる?もしかして蝕性雨が降ったんじゃ…?!
[強制通信受信]
『大変だ!!第一線から第二線にかけて氷針の雨が降っている!!防空壕に退避したが原因の排除を頼みたい!!下手に動ける状況ではない!!死傷者はかなり出ているっ!!!』
『それから、RCU-002の通信機器は何らかの影響で故障していることを確認した。』
[通信終了]
慌てて第三線塹壕から出る。確かに向こうの方では氷針が降っている。けれど、躊躇ってる場合ではない。さっさと第二線の方まで走る。けれど氷の雨は急に止んだ。
「雨、止んだねー。」
フェノールとリベルもついてきていた。けどそんな事をしている余裕はない。さっさと行こうと思い走って第一線を抜けると違和感しかない氷壁が目に入る。
多分あそこに2号がいる。慌てて氷壁に近づくと人影が見えた。けど、あいつはツインテールのへんな格好したヤバい奴!!
そいつが踏んでいたのは2号だった。その時、何故か怒りがふつふつと湧き上がってきた。
3号はタカミに向かって容赦なく剣を振り下ろす。タカミは2号から槍をひん抜いて槍で斬撃を防ぐ。
「このクソ女が…。」
3号は気づけば口の悪い言葉を発していた。タカミに蹴りを入れ、また隙を狙うが頭部を剣で突くが簡単に避けられてしまう。
「リベルかフェノールっ!!2号を守って!!」
3号の声は裏返り、焦りから動きは雑だった。リベルは2号を抱え上げ、少し後ろの方へと走った。フェノールはパモラの方へと武器を向ける。
「ねぇ、あの雑魚お姉さんさ〜。肺抉ったら痛いって言ったの!!痛覚ないことないんだなーって人間味感じたの〜!!スカした態度のくせにっふふっ。」
「は…?…この醜女が。冗談は顔だけにしておけよ。醜貌な上に他人嘲ってどこまで度し難いんだ…。」
3号は今までにないほど怒りを露わにしたような顔をする。怒りからか、ストレスからか下唇を噛み薄ら笑を浮かべて睨みつける。
タカミに向かって何度も剣を振り下ろす。何度も何度もタカミは避けたり防いだりする。けれど3号は雑に早く何度も攻撃をする。
「死ね死ね死ね死ね死ね死ね死ねっ!!死んでしまえっ!!!」
「そんな雑にしたら当たらないよ〜?ふふっ…」
「うるさい耳障りだっ!!!」
半ば発狂したよいに狂ったように叫ぶ。けれど首根っこを誰かに引っ張られ後ろに引き寄せられた。
「落ち着いて!!!」
2号の声だ。僕の首根っこを掴んだのは2号だった。2号は恐らくリベルにエーテルを打ち込まれ回復したと知り、安心した。周りを見ると、タカミの前にはリベルとフェノールが立ち塞がっていた。
「あんたらじゃ、相性悪いだろうから、あんたらはそっちやって貰える〜?」
「わかった 」
2号は僕を引っ張ってパモラの方へと連れていくとパモラは氷のドームを作る。確実に閉じ込められた。2号をまじまじと見ると背中当たりがはだけている。慌てて背中あたりから顔をそらす。
「寒い寒い寒い寒いっ!!」
パモラはまた両腕を抱えて寒そうにした。頭上からは氷柱が降ってくる。避けながらパモラに、近づいた。パモラに向かって斬りかかった。
早く仕留めてしまえば僕はこの苦しいのから解放されるか。なんて考えた。けど、簡単に殺せやしなかった。慌てて後ろに下がる。
「そう上手くはいかないか…。」
「そうだね。でも、これを切り抜けて帰る目標があるから。ちゃんと生きてね。3号も。」
「どんな目標だよ…。」
「リベルおすみつきのフェノールに絵を描いてもらうことになったんでね!生きて帰る!!」
なんか2号自分からフラグ立てにいってる気がする…。そう言ってる人…、大抵死ぬ気が…。
「何呑気に会話して、生きて返すわけないだろうがっ!!」
「な、なんかさっきとキャラ変わってる気が… 」
まただ。氷針が斜めに降り注ぐ。今度は面積が大きいため弾き返さことができた。制御できていない状態であれば避けるのは簡単だろう。
2号がパモラに急接近し、斬りかかる。肩に剣先が当たった。続いて3号もパモラに斬りかかる。パモラは腹あたりに浅く切った。
パモラは身震いをし様子がおかしくなった。けれど隙がある。今ならさっさとトドメをさせるはず。
慌てて突っ切って思いっきり剣を振ろうとした時、何かが崩れる音がして動きが止まった。慌てて後ろに下がるが、氷のドーム全体がひび割れ始めた。
「3号っ!!危ないっ!!!」
氷のドームが全て崩落した。
[3918年5月11日/512号 別称:リベル]
あの氷のドームが作られ、2号たちが閉じ込められてしまったらしい。
「ぷぷぷっ…、私も真似しちゃおー!」
タカミはコンクリートで四角くの広い空間を作った。外から何かが割れるような音がした。
「やっぱり外に氷針の雨が降り始めたみたいだな〜。危ない危ない。」
何を陽気に嗤っているのだろうか。大きな剣を構えて相手に狙いを定める。フェノールもチェーンをぎゅっと掴み投げる準備をしている。
「二人がかりなんて!イヤー!不公平よー!!」
「そうなんだー?でもいいじゃーんそっちは能力使えちゃうんでしょー?いいなぁ〜」
フェノールは喋りながらコミュニケーションを取るつもりはないと言いたげな顔をしながらチェーンをぶん投げ先端に付いている刃物で攻撃す。
タカミは目の前に鉄の壁を作る事でフェノールの持っているチェーンの先についている彎曲した武器が弾かれる。
タカミは鉄の塊のような物を創り出しフェノールの方へ投げるが、リベルが大きな剣で防ぎ逆に投げ返した。
「おぉ〜、男の子凄いね〜!!すっごい力持ちだね〜!!」
「いいでしょ、私の自慢の相棒だからねっ!!」
フェノールはそう言いながらチェーンを振り回し、またタカミに投げる。今度は単純な動きではなく不意な方向転換をした。
タカミの頬に小さな切り傷がついたがパッと避けてしまった。
「リベル、あんたも私を守りすぎてうっかり死ぬようなマヌケはしないでねー?」
「わかってる。そっちこそ、俺の力に過信してうっかり死ぬんじゃないよ?」
「あいあい、わかってるよ」
久しぶりのこんな会話でうっかり微笑んでしまう。こんな顔フェノールに見られたらまたからかわられてしまう。
タカミは次は四角い乗り物を生成した。どこか見覚えのある乗り物だが見たことのない乗り物だ。またその大きな横長の乗り物をこちらに投げる。
流石にこんな乗り物切ったら爆発しそうで怖いからフェノールを担ぎ慌てて避ける。
「これ知ってる〜?今でもこんな乗り物はあるけど、これは君たち人類が使った昔の乗り物、電車。」
こんな大きな乗り物を投げてくるなんてろくなもんじゃない。けれどその乗り物は急に粒子となりタカミの身体に吸収されている。
「なんだ…、あれ…!!」
「あいつらの体は私たちの予想を超えている。」
フェノールを下ろすと片手に持っていた剣を両手で持ち直す。あんまりフェノールの近くにいるとチェーンの武器が怖いし。
とにかくあいつの弱点。あいつは人間を作ることはできないと思う。今までみた異星人も人間の複製をする個体は見たことはない。
あいつらは魂までは作れない。何かの無機物以外はだせない、または有機物は過剰に消耗してしまうのだろう。
「リベル、あくまで予測だけどあいつは創造の能力を使えるけど作れる数には限りがあると思う。それから、実在するもの以外は作れないと思う。」
「わかった。」
できる限りあいつの創るものを壊す必要がある。なにより、隙をついてあいつの首を切る。確実に即死させる必要があるから狙うのは頭だろう。
リベルはタカミに向かって急接近すると大きな剣を横に振る。
「焦っちゃダメでしょ〜?」
不快な声が聞こえた途端、大きな槍が肩を貫いた。突き刺さるような骨の砕けるような痛みが五感を劈いた。
「い”ぁっ…い”ぃ”ぃ”…。」
痛みから泣きそうだった。槍を抜かれたが持っていた剣を落としてしまう。身体が地面に倒れる。
タカミはリベルの貫かれた肩を足で踏む。持っていた槍で地面ごと右腹を突いた。その衝撃でリベルは口からまたゲホゲホと吐血した。
「リベルッ?!お、お前っっっ!!」
あれ、フェノールが珍しく誰かの為に怒ってる。気持ち悪い…、どうして僕はこんなにも苦しそうな顔をしたあの子を見て、安心してしまった。
痛い、けど冷たくて身体が寒い。どうしてこんなにも身体が重いのだろうか。、
また、タカミはリベルの太ももや腕に刺し、地面に固定した。一つ刺される度、フェノールは目を見開いた。
「動いたらこの男の子がまた刺されることになる。四本目の槍を刺させたくないなら動くな。」
「フェノールッ!!俺のことは気にするなっ!!いつも通り戦────」
「凄いね痛いのに我慢してるんだね凄く偉いよ偉すぎるっ!!」
バカにしたような喋り方。また一つ槍を作った。多分これからこいつは俺のことに刺すのだろう。
「フェノール!!容赦しなくていいっ!!だか──」
ガシャンという重い武器がアスファルトに落ち、鈍い音を発する。フェノールが自身の武器を落とした。こんなのは相手の思うつぼだ。
「フェノール!!これは俺の責任だから、お願いだからっ!!躊躇わな───」
「リベルは私の事全然わかってない!!私はっ…!ただ強がってるだけ…!!どれだけやってもこんな性格変えようがない!!躊躇うなんて…できない…。」
フェノールは何度も首を横に振り地面に膝をつける。知っていたのに。この子は一人の人間で、ただの女の子なのに。
「フェノール、ごめんね。」
また槍が一つ僕の方へ振り下げられた。
コメント
1件
うわっ…27話、めちゃくちゃ重くて苦しい回だったね…。夢の中の「明咲」ちゃんとの会話がもう、胸に刺さる刺さる。3号が「3号」って名乗るしかない自分に苦笑いするところ、すごく切なかった。 戦闘シーンはもう怒りと焦りが渦巻いてて、特に3号が「♡♡♡♡♡♡♡♡♡」って叫びながら暴れるシーン、普段の冷静なイメージから考えると相当追い詰められてるんだなって伝わってきた。リベルがフェノールに「ごめんね」って言うラストも、関係性の深さが滲んでて辛いよ…。続き、もう待ちきれない!