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(その頃の神木桃果)
「みんな、どこ~」
やばい、茂みの中でみんなの姿を見失った。大声で呼びかけても何の反応もない。みんなどこに行ったんだろう、それに、この藪はいつ終わるの?
なんだかとても長い時間、藪の中をさまよい続けている気がする。いったいどれくらい時間が経ったんだろう? みんなの姿も全然見えない……。
と、ようやく向うの方に光が差しているのが見えた! やっと藪を抜けられたみたいだ。私は急いでその方向へ向かった。そして……
「うっ、まぶしい……」
私はようやく藪を抜けて……、藪? 私は自分の部屋のベッドの上でぼんやりした。カーテンが少し開いていたみたいで、顔の上に日が差してまぶしい。どうやらさっきまで夢を見ていたみたいだ。藪の中をずっと歩く、そんな夢を見ていた気がする。その前にも何かあった気がするけど、思い出せない……。
ま、いっか。学校に行く準備をしなきゃ……
「おかしいな?」
前回、俺は一人ずつ別々の試練で女どもをいたぶってやったが、そのせいで全員をもてあそぶ前に朝になってしまった。その反省から、今回、後半は別々の場所で、同時に女どもをいたぶってやることにした。
ところが、やはり一人だけ間に合わず朝になってしまった。本当なら四人とも痛めつけてやるつもりだったんだが……。
何かがおかしい気がしたが、もともと手を出せなかった一人は、復讐の計画には入っていない、偶然紛れ込んだ女だった。だからどうでもいいと言えばどうでもいいのだ。
「まあ、今日の夜こそは全員痛めつけてやるさ」
さあ、今夜の夢ではどうやってあいつらを苦しめてやろうかな……
その夜――
(神木桃果の夢)
「ええっと、ここは……、そうだ、私、藪の中でみんなとはぐれて、そのまま歩いて藪を抜けたんだっけ」
なんだか意識が一瞬飛んだような気がしたけど、しっかりしなきゃ。ずっとくらい藪の中にいたからまぶしくて何も見えなかったけど、目が慣れて来ると、藪を抜けた先には空間が広がっていて、少し先に金網で出来たフェンスが立っていた。その向こう側には、学校らしき建物が立っている。
「こんなところに学校? ちょっと変な気もするけど、屋上に上がれば、みんなを見つけられるかもしれない」
私はとりあえず学校に入るため、フェンスの入口を探すことにした。ここはどうやら学校の裏手のようなので、表に回れば校門があるはず……。
(奥村愛梨の夢)
「はっ、ここは……? アタシ何してたんだっけ?」
ええっと、確か、藪の中でみんなとはぐれて、少し開けた場所に出て、そこで蜘蛛に……。やばい、あのときの感触を思い出して、顔が赤くなった。 そうだ、蜘蛛は? いない、よかった。それと、辺りを見回したとき、学校のような建物が見えた。こんな建物あったっけ? まあ、あのときは蜘蛛に襲われて、周りを見渡す余裕もなかったからなぁ。
とにかく、これだけ目立つ建物なら、みんなここに来ているかもしれない。アタシはとりあえず学校に入ってみることにした。
建物はしんと静まり返っている。授業中? ううん、というより人の気配がないみたい。建物は新しく見えるけれど、廃校なんだろうか? それとも単にお休みの日なのかな?
勝手に入ってもいいのかもちょっと迷ったけど、とりあえず玄関から入ってみることにした。鍵は開いている……、というよりドアがひらっきっぱなしだ。お休みの日なら鍵がかかっているよね。ということはやっぱり廃校?
ちらっと靴箱を見てみたけど、からっぽだ。誰もいないのは確かみたい。
「おじゃましま~す……」
一応声をかけてみる。あ、土足で上がるのはまずいよね、靴を脱がなきゃ……、て、アタシ、裸足だ。……そうか、ここに来るまでにボロボロになって……。よく考えたら服もボロボロだ。こんなかっこうで誰かにあったらやばい。ここに誰もいなくてよかった。
とりあえず、屋上を目指してみよう。高いところから見渡せば、みんなを見つけられるかもしれない。そう思って3階まであがったとき……
「あの~、どちらさまですか?」
「!」
後ろから声をかけられ、振り向いて見たら、小学生の女の子が不審そうにこちらを見ていた。
「あっ、えっと、その……」
やばい、どうしよう! なんで!? 人がいたの!? やばい、どうやってごまかそう……
「あ~、もしかして、美術部のモデルの人ですか?」
「え?」
「ほら、今日の美術部の活動にモデルさん呼んだって話を先生から聞いたから、それで来たんじゃないですか?」
「あ、そ、そうなんです。ここが美術室なんですか?」
「そうですよ~」
あぶない、あぶない……何とかごまかせたみたい……。でも、どうしよう? 嘘がばれる前に別れた方が……。
そうやって一瞬迷っていると、
「じゃあ、案内しますね」
と言われてしまった。そうか、そりゃ、そうなるよね……。どうしよう、一回ついていって、隙を見て逃げ出さないと。
「は、はい。よろしくお願いします」
そう言って、アタシは女の子についていった。
「ここです」
「ありがとう……あ、そうだ、先にトイレを済まさなきゃ。ちょっとトイレ行ってくるね」
アタシはこう言って逃げ出そうとした。
「ああ、トイレですか。こっちです」
でも女の子は案内を続けようとした。
「え? あ、いいよ、ひとりで行くから」
「いえ、私もついでにトイレに行きますから」
……どうしよう、逃げられない。結局アタシは隙を見つけられないまま、再び美術室に連れてこられた。けど、これ、早く逃げないと、本物のモデルさんが来てしまうってことだよね? どうしよう……(続く)