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「はぁ!? 先月にお前と飲んでから、話が飛び過ぎて、頭の中がワケわかんねぇんだけど!」
「…………だよな」
豪と純は、地元の馴染みの居酒屋で飲んでいる。
一品料理を適当に注文し、生ビールで乾杯したばかりだ。
純に、奈美と進展があったか、と聞かれ、豪は鶏の軟骨唐揚げをつまみながら、これまでにあった出来事を、ポツリ、ポツリと話し始めた。
純と飲むのは、ヤツの職場に見学へ行って以来。
事実と嘘の方便を織り交ぜつつ話したところで、純が混乱状態にある、というワケだ。
「お前さぁ、高村さんに『元カノからしつこく寄りを戻そうと言われているから、本人に直接会って、完全に縁を切ってくるから待ってて欲しい』って、何で言わなかったんだ?」
純が、半ば呆れた表情で豪を見やる。
「彼女に言って心配掛けたくなかった、っていうのもあるし、俺の問題は俺自身で解決したかった、っていうのもある」
ヤツが、お前バカじゃねぇの? と言いたげに深くため息をついた。
「それと、すげぇヤボな事を聞くけど、お前、ホテルでお泊まりしたって言ったよな?」
「ああ」
「って事は……高村さんの事、その日のうちに…………抱いたのか?」
「いや、抱いていない。彼女とは、軽い気持ちでセックスなんてできない」
あまりにも豪が、生真面目な顔をしていたのだろう。
「ひぇ〜! あのイケメンの豪クンが女と一緒にいて抱かないなんて、信じらんねぇな。一体ホテルで何してたんだよ?」
純は目を見開き、面白がるように茶化した。
「純でも、それは言えねぇな。機密事項ってヤツだ」
「って事は、やっぱり高村さんとヤッたんだ?」
「ヤッたなんて下品な言い方すんな」
昔から豪の事を知っている純は、豹変ぶりに驚いている様子だった。
「じゃあホテルまで行って何してたんだよ」
純は生ビールをグイっと飲み、つくねをかじった。
「…………ずっと抱きしめて……キスしてた」
実際にはクンニもしたし、奈美にはフェラもしてもらったが、ヤツには絶対に言えない。
豪は、だんだん恥ずかしくなり、顔が熱っていくのを感じていた。