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贄田家の屋根が吹き飛んだ翌朝。
瓦礫の中で目を覚ました贄田 羊の視界に飛び込んできたのは、純白のドレスに身を包み、手には「真っ赤な判子」と「一枚の書類」を握りしめた断罪院 憐だった。
「……おはよう、羊くん。さあ、これにサインして。そうすれば、この不毛な争いはすべて終わるわ」
差し出されたのは、『婚姻届:特別背任・不純異性交遊一括清算版』。
そこにはすでに憐の署名がなされており、受理された瞬間、羊の全人権と全資産、そして「一生分の自由」が憐に委託されるという、もはや呪いの契約書に近い代物だった。
「待ったーーー! その書類、法的に無効だよっ!」
ランドセルから「六法全書(物理攻撃用・チタン製)」を取り出したのは、義妹のショコラ。
「お兄ちゃんは未成年だし、ショコラには『優先的扶養義務』があるもん! 憐さんの婚姻届より、ショコラが用意した『一生お兄ちゃんを養う契約書(全財産贈与付き)』の方が有効だよ!」
さらに、空からリッチの私設裁判官チームがパラシュートで降臨する。
金成リッチ: 「おーっほっほ! 法律? 国家? そんなもの、私の資産で明日には書き換えて差し上げますわ! 今、国会に『贄田羊一夫多妻制(私限定)』の法案を提出させておきましたわよ!」
アイ・ゼツ Mk-II: 「……論理的解決を提案します。マスターの遺伝子を\(5\)等分し、各自でクローンを作成。……いえ、やはり本体の奪い合いこそが、私の『愛』のプログラムを加速させます。武力による独占(デッドロック)を開始」
忍者・シノブ: 「……拙者は、婚姻届の裏面に『裏の婚姻届』を隠し持った。判子を押した瞬間、拙者の妻にもなる仕組み……」
逃げ場を失った羊は、再建された学園の「中央大講堂」へと引きずり込まれた。
そこは今や、数万人の生徒が見守る**「贄田羊・所有権確定裁判所」**と化していた。
裁判長席に座るのは、ニヤニヤが止まらない理事長(憐の父)。
「さあ、始めようか。誰が一番、羊くんを愛しているか……否! 誰が一番、羊くんを『支配』するにふさわしいか、法廷バトル(殴り合い)の開始だ!」
「異議ありッ!!」
憐が警棒を振り上げ、証言台(という名の羊の隣)へ飛び乗る。
「羊くんは私と手を繋ぎ、私と食事をし、私の看板を何枚も壊させた! この実績こそが、真実の愛の証明よ! 婚姻届の受理を、力ずくで認めさせてもらうわ!」
ヒロインたちが「私のほうが愛してる!」「私のほうが金を出せる!」「私のほうが戦闘力が高い!」と、証拠(という名のノロケ)を次々と提出していく。
「……もう、いい加減にしてくれぇぇぇ!!」
ついに、羊の理性が限界突破した。
彼は証言台に立ち、全校生徒、そして全世界の配信カメラに向かって叫んだ。
「法律だの、契約だの、そんなので僕の気持ちが決まると思うな! ……僕は、僕は……一人で静かに、テスト勉強がしたいんだ!!」
一瞬、静まり返る法廷。
憐が、ショコラが、リッチが、アイ・ゼツが、シノブが、信じられないものを見るような目で羊を見る。
「……テスト勉強……?」
「そうだよ! みんなのせいで、僕の出席日数はギリギリだし、赤点寸前なんだ! 恋愛だの結婚だの言う前に、僕を……進級させてくれ!!」
羊の魂の叫びに、ヒロインたちは深く感銘を受けた。……が、それが斜め上の方向に解釈された。
「……そうね。羊くんを落第させるなんて、風紀委員長として、そして妻として失格だわ」
憐が眼鏡をクイッと上げ、教科書を取り出す。
「お兄ちゃん! ショコラが、お兄ちゃんの脳内に直接知識を流し込む『学習用ドリル(物理)』を作ってあげるね!」
「おーっほっほ! 羊様のために、ハーバードの教授を\(100\)人ほど買い取って参りましたわ!」
「マスター。私が貴方の脳とリンクし、試験中に全解答を送信します(カンニング禁止法無視)」
「……拙者は、羊殿の鉛筆になる」
「結局こうなるのかよぉぉぉ!!」
数週間後。
学園の成績上位者リスト。第\(1\)位から第\(5\)位までをヒロインたちが独占し、その中央――第\(6\)位に、げっそりと痩せこけた贄田 羊の名前が刻まれていた。
「……合格おめでとう、羊くん。さあ、約束通り……**『合格祝いの婚姻届』**に判子を押してちょうだい。逃がさないわよ?」
赤っ恥をかきながらも、満面の笑みで追いかけてくる憐。
後ろからは「お兄ちゃん!」「贄田様!」「マスター!」と、さらなる愛の嵐が追いかけてくる。
恋愛禁止だったはずの学園は、今や**「愛の過剰供給学園」**として、今日も元気に校舎のどこかが爆発しているのであった。
(本当の完……!?)
作者より:
恋愛禁止から始まり、ついには法廷バトルを経て「試験勉強」に落ち着く(?)という、まさにドタバタの極みをお届けしました!
贄田羊の受難はこれからも続きますが、きっと彼は世界で一番「幸せな被害者」なのかもしれません。
これにて一旦このシリーズは幕引きとなりますが、また別のカオスな物語が読みたくなった時は、いつでもお声がけくださいね! Would you like me to …