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「ダリルにいちゃん、俺は父ちゃんの役に立ちたいんだ。村のみんなの役に」
真っ直ぐ見る俺の目をダリルにいちゃんもじっと見返す。
「なるほど。助けて終わりでないならどういうことかと思って好きにさせていたが……そういうことか。わかった、ならバルゾイと共にそうなれるように手伝おう」
俺にはよく分からない納得の仕方をしていたけど、ダリルにいちゃんの隣にいるバルゾイおじさんも頷いているので、まあ、いいんだろうっ。
「役に、というと具体的にどういうことなんだ?」
バルゾイおじさんが聞いてくる。
「俺が、父ちゃんの代わりになるくらい働けて、坑道が崩れても助けられるようなドワーフになりたいんだ」
俺が願ったこと。父ちゃんを助けること。それが叶ったなら、あの後悔を繰り返さないで済むように。もうあんな想いはしたくないんだ。
「まだ6歳くらいのガキンチョが生意気なことだが、ドワーフならそうでなくちゃぁなっ!」
俺たちは山の中腹の広くなっているところにいる。俺の村のあるのとはだいぶ東にある別の山だ。
「俺っちの見立てならこの辺だわな」
そう言うバルゾイおじさんが壁のようにせりたった崖に大きく印をつける。
「ふむ、よし。じゃあ子どもよ、ここを掘り進めて一本の坑道を作れ。バルゾイがいいと言う深さまでだ」
とんでもないことを言い出した。
俺は父ちゃんたちが作った坑道で採掘の手伝いはしていたけど、何もない崖に横穴を開けるなんてしたことなんてない。それもひとりで⁉︎
「まあ、1人だが俺っちもそばにいるぞ?」
そういうことじゃない。6歳のガキンチョに何を求めているんだ⁉︎
「違うな。求めたのはお前だろ」
ダリルにいちゃんの言葉にハッとする。
また俺は、俺が望んだのに求めたのに。
考えても仕方ない。俺は子どもで何もわからないし、何も出来ないんだから。
持ってきた俺の、父ちゃんに買ってもらった相棒(子ども用ミニツルハシ)を握りしめる。
バルゾイおじさんが印をつけたど真ん中めがけてぶち込んだ!
手が痺れて思わず相棒を落としてその場にうずくまる。手がビリビリして涙目になるけれど、ガマン。
気を取り直してもう1度! また涙目でうずくまる。
もう1度と掴んだ相棒は持ち手の真ん中から折れて、ツルハシの先は欠けてしまっていた。