私は深く充足の吐息をついた。
隣を歩く 総一朗(そういちろう)が、それに相槌を打つように、私の眼前にひょい、と顔を出した。
「面白かったな?」
「めっちゃくちゃ、いい話だった……」
込み上げる感情を抑え込むように、両手の中に顔を埋めた。
洋画のラブストーリー。
主人公の二人は、いつも喧嘩ばかりの友達以上恋人未満な関係。
けれど当人たちは、それと気づいていない。
観客達がじれったくなる程のスローペース、すれ違い。
見飽きたと言ったらそれまでの、王道的ストーリー。
ただ、どうしようもなく引き込まれる。
「特にあの……」
思い起こすだけで、ふるり、と身体が微かに痺れて震える。
「主人公(ヒーロー)の告白シーン?」
「そう!」
一足先に自覚した 主人公(ヒーロー)の、 恋人(ヒロイン)へ向けた甘ったるい表情といったらなかった。
端******
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