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来世はくらげ
#ダークファンタジー
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「 名前の意味 。 」
────────────────────
夜
闘いのあと。
街の外れ、
壊れた歪者の残骸だけが残っている
誰もすぐには動かなかった。
レンは静かに座り込んでいる
俺は、Laiaがいる宿へ連れて行こうとする
そして、俺だけが前を見ている
────────────────
『…ねえ、シキ』
Laiaが軽く言う
『さっきのさ、
やっぱ。効率は悪くなかったでしょ』
いつもの声。
軽くて、笑っていて何も残らない声。
「……間違いではない。」
俺は答える
『……でしょ?』
少しだけ笑う
「…でも、違う。」
俺のその一言で、空気が変わる
『……何が』
「お前は、”終わらせてるだけ”だ。」
『は?』
少しだけ 声が低くなる
「見てない。」
『見てるって』
「違う」
即答だった
「お前は…”結果”しか見ていない。」
沈黙の時間が続く
Laiaの目が、揺らいでいるのが分かる
『……同じじゃん』
「違う。」
一歩近づく
「…お前は、”関わる前に切ってる”。」
『……』
「だから何も残らない」
空気が重くなる
レンが目を伏せる
『……残す意味、ある?』
弱い問いだった。
俺は少しだけ間を置く
「…歪者 喪失者 四喪。
この敵は、憎しみや悔しさ、苦しみが集まった塊のような敵だ。 」
『……』
「…だから、見てあげろ。
アイツらの過去を 悔しさを 苦しみを。
ちゃんと目で、見てあげるんだ。」
Laiaが黙っている
まだ、怖いのだろう。
「……そしてお前は、信じていない。 」
『…何を』
「全部だ
人も、過去も、自分も」
Laiaの呼吸が止まる
「どうせ壊れる、で止めている」
『……』
「…だから楽なんだ。」
『……楽?』
「切ればいいだけだからな。」
Laiaの目が揺れているのが分かる
『……じゃあ、俺はどうすればいいの…』
初めてだった。
“軽さ︎︎”ではない問い。
俺は前へ出る
「……一度でいいから、 」
「”見ろ︎”。」
『……』
「壊れる前を 壊れた後を その間を
全部。」
Laiaが俯く
『…無理だよ。』
その声は、弱かった
「…… ああ、無理だ。」
俺は答える
「だからやるんだ 」
静寂の時間が続く
───そのとき、
【……兄ちゃん……】
【なんで見てるだけなの……】
【”助けて”よ……】
「……っ…」
[ 助けてよ…… ]
頬にまた、何かが落ちる感覚がした。
『……シキ?』
何度考えても、頬に落ちるコレは分からない。
(…また、誰かの 喪力 か…?)
触れる
濡れている
「……分からない」
この感覚は 2回目だ。
その言葉に、Laiaが顔を上げる
『…分からないの?』
「……これが、何か分からない。」
Laiaは、ゆっくりと息を吐く
『……じゃあさ、』
一歩近づく
『一緒に見ればいいじゃん』
その言葉は軽い
でも、逃げていない
『どうせ壊れるなら、
ちゃんと見てからでいい。』
レンが小さく目を開く
『…俺さ、
“ずっと関わらない”のが楽だと思ってた』
『……でもそれってさ』
顔を上げる
『何も残らないだけじゃん』
『…だからさ、やってみるよ。』
『ちゃんと見る
壊れるのも、残るのも』
その瞬間、
空気が変わる。
「……レイア。」
『…え?』
「それがお前の名前だ。」
レイアは少しだけ笑う
『……変なの。
でも、』
【兄ちゃん……】
【あなたはお兄ちゃんなんだから。】
『…いいね!』
小さく息を吐く
レイアのその目は、
初めて “ 人を見ていた ” 。
『よろしく、シキ』
レイアの声は、軽くなかった
「……ああ」
〈……やっとか。〉
レンが小さく笑う
その夜、
” 一人 “ が仲間になった。