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そうしてナツより情報を得たダリルは海でクローディアから不死の情報を仕入れに行ったのだ。
「ダリルさん! チョロフと海に行ったんですか⁉︎ 青春を謳歌する男女のイベント、夏の海に! 私も行きたいっす!」
「また、唐突に何を言い出すかと思えば……」
「やっぱり遠いし、ダメっすか?」
「今は少し考え事がだな……」
うさ耳のうさ耳がこれでもかと萎れていく。頼みは聞いてやりたいが、しかしダリルには死者の塊というものが何なのかが分からない。
“死して死にきれない、そういうもの”
(ナツは確かそう言ったはずだ。死んでいるのに死ねない? それは──言い換えれば不死か。不死……)
「うさ耳。やはりお前は最高だな。海へ連れて行ってやる。普段は見る事の出来ないようなものも見せてやれるだろう」
うさ耳のうさ耳は直立して飛び跳ねて機嫌をよくした。ふたりきりではなく家族旅行みたいなのが少しだけ残念だったようだが。
そしてそこで例の秘技、暴れ独楽という普段は見る事の出来ないものを見て震えることになった。
帰りはずっとダリルにしがみついていたとか。
「しかしその死海魚というものが関わっているかは分からんな」
ダリルがわざわざ遠出して情報集めなど滅多にない。本来は情報を携えた本人が店に来るのだから。そして人魚からは北の方の岸にその肉片が流れ着いたと聞いた。いまダリルは氷雪幻鳥に乗り北の山に向かう空の上で思案する。
ダリルの背中にはうさ耳がべったりとへばりついている。
「例の不老不死ってやつっすか? 私の国でも人魚の肉はおとぎ話であったっすけど。ダリルさん、不老不死になりたいんすか?」
「なりたい? いや、そんな事はないな。不老不死なんてものは、憧れても手にするものではない」
「そっすよね。自分だけ生き残って周りがみんな死んだらむしろ不幸っすもんね」
「ああ、そういう事だな。少し冷えるな、お前の魔術で温めてくれないか」
「いいっすよー!」
エイミアが発動させた魔術でふたりがうさ耳型のエフェクトに包まれて暖をとる。ダリルはプッと笑いうさ耳が照れ笑いをした。