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鳥に乗っていつかの山を訪れたダリルたちだったが、マイは不死のことは知らないという。ただ、この山から見て不可思議な存在を北西の方に捉えた事があったという。ふむ、それなら向かってみるかと思案するダリル。
マイとうさ耳は背比べをして「うさ耳の分私の方が高いっす」と言ううさ耳を根元からポッキリ折られて「あぁぁぁぁっー!」と叫ぶうさ耳と「ほら、変わらない」というマイ。ダリルはマイが少し楽しそうで良かったと微笑んだ。
「お、お、お、折れてないっすか⁉︎ 本当に折れてないっすか⁉︎」
「そんだけ明らかに直立させながら何言っている」
「え? え……本当っす! 良かったっすー!」
あの山でマイに敵う者などそうそういない。こんな風にもてあそばれる事になる。それは親愛の証明でもあるが。
ふたりを乗せた鳥は空を滑り眼下の村へと向かう。
その村は異様だった。人気が全くない。どうやら農村らしく、畑はたくさんあるが、ずいぶんとほったらかしらしくどれも枯れ果てていた。
そして村内の至る所に散乱する骨と腐肉。中には鎧兜ごと斬られたような謎のものまである。大体は既に野犬などに食い散らかされたようで骨にこびりついた肉が乾いているようなものだが、屋内などには完全に腐敗したものがまだあったりした。
「な、何なんすか? ここは」
鳥から降りてもダリルの腰にへばりつくうさ耳を今はおんぶしている。ヒトの死体がいくつか目に入った時点でうさ耳はその視界を固く閉ざして、防げない臭いはダリルの背に鼻を押し当てて塞いでいる。
「見つけたぞ」
「え? なにをっすか?」
さすがに求めていた情報を見つけたというダリルの声にはうさ耳も顔を離して目を開けたが、飛び込んできた光景はだいたい錆色をしていて臭いにも軽くノックアウトされそうである。
ダリルが家々を回り中を確認していって何軒目かで見つけたのは、皿に乗った腐ってない生肉だった。
「えぇー、やけに新鮮っすね。てかくさっ! くっさー! なんすかそれ⁉︎ ここで一番臭いっすよ!」
「これがクローディアの言っていた、死海魚だろう」
その農村ではそれ以上の収穫はなく、氷雪幻鳥を召喚し隣街へと向かう。
「まだ臭いが取れないっす」
「確かに……うさ耳、よく見ておけ」
そう言ってダリルは魔術を発動させる。青く光り、緑が重なり橙が包むような魔力。
「消臭、浄化だ」
「ええ⁉︎ そんな事も出来るんすね! 確かに臭くないっす! ありがとうございますっすー」
「……いや、お前はまだ臭いからな? 見ただろう、早くしろ臭くてかなわん」
「ええー⁉︎ そんなひどいっす! サービスしてくれても良かったっすのに。ええい、擦り付けてやるっす! ほらほら! ほらああぁ!」