💛「最近、康二おとなしくない?」
休憩中、ふと照が言った。
💙「んー、そっか?」
渡辺は返しながら、心の中で引っかかっていた。
確かに最近の康二は、少しだけ様子が違った。
楽屋でも、ステージでも、いつものように明るく笑ってるけど……
どこか、その笑顔に空気を読んでる感じがあった。
💙 (俺、なんかしたかな)
考えたとき、ふと頭に浮かんだのはあの日の楽屋。
『俺のこと好きやろ?』って言ってきた康二の言葉と、それに笑って流した自分の返事。
あのときの笑顔が、ふと脳裏に焼きついてる。
💙「……まさか」
言いかけて、頭を振った。
💙 (ないない)
康二は、あんなふうに誰にでも絡むし、距離近いし、そういう性格。
💙 (考えすぎ…)
でも、
『俺も……嫌いじゃないし』
自分のあの言葉に、康二が一緒、見開いたのを思い出す。
💙 (まさか…ほんとに、俺のこと…… )
考えたくなかった。
というより、考えたら、いろいろ壊れる気がした。
仕事も、関係も、今の距離感も。
だから俺は、そっと胸の奥にしまい込んだ。
気づかないふり。
それが一番、楽だと思ったから。