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第43話、読み終えました……沙耶の「あなたの上を行く脚本家になる」ってセリフ、ゾッとしたし、すごくかっこよかった🥀 涼二が秋也にどんどん堕ちていくのも、沙耶の計算と苦しみが滲んでて、重いのに目が離せなかった。もうすぐ決着かな? 最後の「教えてあげる」の圧が凄い…でも沙耶の傷もちゃんと感じたよ。続き、静かに待つね🌙
モニター越しに脚本家バーの様子を見ていると、眠った涼二を放置し、天魔は自分のスマートフォンを持って外に出た。
すぐさま私に着信が入る。急いで電話に出た。
「もしもし、天魔、あいつを眠らせてどうするの?」
『このまま2階へ連れて行こうと思うんだ』
脚本家バーには2階もある。但しスタッフ用として普段は解放していないので、天魔以外入ることはできない。
「介抱するの?」
涼二に恩でも売りつける気なのかしら。
『違う。関係を持ったフリをするんだ』
「えっ……大丈夫なの?」
『ああ。本番をするわけじゃない。関係を持ったと思わせるのが重要なんだ。沙耶の脚本だったら、このままあいつを秋也に惚れさせる――だろ? ふたりでタッグを組みながら、旦那を堕としていこう』
天魔なら、私のシナリオを完璧に、しかもくみ取ってアレンジして最高のストーリーに仕上げてくれる。
「ありがとう。じゃあ、天魔に任せるわ。よろしくね」
『任された』
頼りになる相棒だわ。次にもし私が結婚することがあれば、こういう信頼できる男と結婚したいものね。
そうしたら、こんな復讐には無縁の結婚生活が送れるかな――
私は首を振った。邪念は無用。
今、正念場なのよ。無駄なことは一切考えず、相棒に託した物語の続きを、私がバトンを受け取ってもう一度紡ぐのよ。
画面を見ると、天魔は軽々と涼二を担ぎ上げ、2階へ運んでいった。
薄暗がりの中、服を脱がせてふたりで裸になり、証拠の写真を撮る。ご丁寧に涼二を甘く呼ぶ声の動画もおまけにつけてくれた。
これで誰が見ても、関係を持ったという証拠になる。
さすがね、天魔。私の相棒。
じゃあ一旦彼に任せて、私は眠ろうかな――
※
「そんな、うそだ……」
大音量に設定していたモニターから、涼二の悲壮なつぶやきが聞こえてきたので飛び起きた。彼はあたりを見回し、自分が裸で、しかも隣に秋也が眠っている。闇目に慣れてくると、絡み合った二人の衣服が無慈悲に散らばっているのが見えた。
やや薄暗いが、眠らない街・新宿のネオンがビルの窓を照らしているので、室内の様子はちゃんとわかる。涼二はわかりやすく動揺していた。
そんな、うそだ、どうしよう、やってしまったのか――そんな風に思っていることだろう。
「ん……起きたの?」
「あ、秋也……これはいったい……」
「え、もしかして覚えていないの?」
「……ごめん」
「この状況見たら、なにをしたかわかるよね。そういうことだよ」
秋也が悲しそうな眼を向けると、いたたまれなくなったのか、涼二は目を反らして俯いた。
「あんなに『冷美を見返してやる』って、ボクを挑発したくせに……」
秋也は少し寂しげに笑い、涼二の頬に細い指先を滑らせた。彼の脳裏に偽りの記憶が植え付けられていく。
自分が絶望のあまり秋也に縋り付き、脚本を書くために男としてのプライドを捨てて彼を求めたという、歪んだ真実が。
「僕は、なんてことを……」
「涼二は後悔しているの?」
「……」
黙っているのは肯定したのと同じこと。
「やっぱり虫が良すぎると思っていたんだ。今日はごめん……帰ってくれないかな」
「いや、違う、違うんだ秋也! ちょっと、びっくりして……その、今まで男性としたことはなかったから……君が嫌とか、そういうんじゃなくて……」
秋也に嫌われたら脚本が書けなくなるからなのか、本心なのかはわからないけれど、涼二は確実に道を踏み外し、地獄へ堕ちようとこちら側へやって来た。
「ほんとに嫌じゃないの?」
「それは断言する。いつも、僕のことを慰めてくれるのは、君だけだ。だから、大事にしたい」
なんか見てる限り、もう秋也に惚れてるよね。セリフがクサすぎる。だから三流脚本家なのよ。
この人の目が出ない理由が、彼の書いた脚本を読んでよくわかったもの。とにかくぜんっっっぜん面白くない。普通の話もダメ。AIの方がずっとうまく書けると思う。
だから涼二は次に今の経験をチャットに相談して、AIにその文章を書かせるつもりでしょうね。あなたのことは、なんでもわかるの。だって妻だから。大学のときからの付き合いですからね。
それを指摘して、完膚なきまでに叩いて、今度こそ秋也に抱かれる決心をつけさせ、そこで一気に討ち取る!
どう? 面白いシナリオでしょう。
ぜんぶ、天魔に協力してもらいながら、私が考えたオリジナルのシナリオよ。
あなたを本気で破滅させるために、苦汁を舐めながら今まで頑張って来たの。
だから私は、あなたの上を行く脚本家になってみせるわ。
今の実体験を書き綴って、シナリオ大賞獲って、あなたを死ぬほど悔しがらせてあげる。
涼二への復讐は、きっとそれが一番効くでしょうね。
妻を怒らせるから、こういう目に遭うのよ。
この夫婦ごっこはもうすぐ私の手で終わらせる。
そして、あなたが愛人と一緒になって捨てようとしていた女が、どこまで周到に罠を張り巡らせてあなたをしとめる瞬間を待っているのか、しっかりとその身に教えてあげるわ、涼二。