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めかぶぷりん
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#あべさく
うめぼし
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「本日の撮影は以上で〜す!お疲れ様でした!」
スタジオのスタッフの声が、今日の目黒の仕事終了を告げる。
🖤「お疲れ様でした、ありがとうございました」
マ「お疲れ様です、家まで送ります!」
いつも夜遅くまで仕事を見守ってくれるマネージャーと共に車に乗り込み都会の夜道を走っていく。
カナダでの撮影が終わってから目黒の仕事のスケジュールはとんでもないくらいに過密だった。
現在時刻は20:44。
今日はこれでも早く帰れるほうだ。
自分自身過去最高レベルの忙しさだった。
1日3時間寝られれば良い方、そんな中でも頭の中で向井の存在が消えたことはなかった。
次の満月の日まであと4日となった。
阿部の計画では満月の日の前日と翌日も待機する予定だ。
早ければ、そして運が良ければあと3日で向井と再会できるかもしれないのだ。
日が近づくにつれ、スマホで日にちを確認する頻度が増える。心の中で何度もカウントダウンする。
そしてもし会えれば、なんて言葉をかければと考えるのだ。
マ「目黒さん…ちょっとお話があってですね…」
悶々もしている途中、運転しているマネージャーが弱々しい声で話しかけてきた。
🖤「はい?」
マ「実はですね…今日本部から連絡があって。僕他の子のマネージャーに着くことが決まって…」
🖤「…えっ」
マ「まだ結構先になるとは思うんですがね。目黒さんの次期マネージャーもまだ決まってない状態で」
🖤「そ、そうなんですね…それは…寂しくなりますね」
マ「まだすぐじゃないですよ笑 まだ目黒さんの近くで頑張らせてもらいますよ!」
🖤「ありがとうございます」
そんな会話をしていると目黒のマンションに到着した。
マ「今日もお疲れ様でした!おやすみなさい」
🖤「お疲れ様でした」
部屋に戻ると灯りをつける。しばらく前まで向井が出迎えてくれた部屋。
温かい食事を用意してくれていた過去を思い出す。今日は食欲もわかずにベッドに倒れ込む。
今や向井の匂いすら消えてしまった。2人で暮らすために増やした食器も服も孤独感を増幅させるようだった。
ベッドでくつろぎ、スマホを開く。とある通知が1件来ていた。
─ラウールさんがインスタライブを始めました
気になりその通知をタップする。まだライブを始めたばかりのようだった。
ラウールと最近仕事が増えフォロワー数もファンクラブ会員数もどんどん増えていた。そんな中のインスタライブだ。既に数万人の閲覧者がいた。
🤍『みんなありがとね〜。今日はね、最近のお話っていうのかな、こんなことがあったよ〜って報告をしようと思ってね』
よくある雑談インスタライブのようだ。
ぼんやりと画面を眺めてラウールの話を聞いていると、ラウールが気になる発言をした。
🤍『あっ、そう言えばね。前ちょっと不思議なものを見たんだよね』
─A:なになに?
─B:聞かせて!
─C:気になる〜
🤍『こないだね、◇◇◇に旅行行ったんだよ。海がすっごい綺麗でね!』
🤍『クルージングもしてさ!1時間くらいした時だったかな。なんか沖の方で変な影が見えてさ』
─D:影?
─E:イルカでもはねた?
🤍『多分ねイルカじゃないんだよ。だって鱗あったもん!尾鰭は魚っぽかったんだけど…あれなんだったんだろう…』
目黒は顔が強ばった。
─F:それ人魚じゃない!?
─G:絶対人魚だよ今話題になってるやつ
─B:ラウールくん歌声聞こえなかった?
─D:捕まえてたら億万長者だったのに!
─E:歌聞いちゃダメだよ!
─A:ラウールくん人魚の話しらないの?
🤍『人魚?えっおとぎ話の?あぁ〜言われてみればそうだったかも』
─F:やばっ目撃者じゃん
─K:情報提供するだけでお金もらえるよ!
─E:ダメだよ!人魚も元は人間なんだから尊重しないと
─B:◇◇◇っていったよね?
─A:探しに行こうとしてるやついて草
訳が分からない。
白々しく人魚の事を知らないような口調で話すラウール。更には目撃しただなんて仄めかすような発言。
コメント欄は一気に量が増え、大騒ぎになっている。話題が人魚一色になる。
目黒は急いでLINEを開きラウールへ一言だけメッセージを送る。
🖤『ラウール、どういうつもりだよ』
それでも尚ラウールは飄々として語り続ける。
🤍『そろそろいい時間かな〜今日はこの辺で終わろうと思います!みんなありがとね〜』
ラウールがインスタライブを終了させ、パッと画面が変わった瞬間目黒は電話をかけた。
prrr…prrr…
🤍『もしもし?めめどしたの?』
🖤「どしたのじゃないよ。何あのインスタライブ」
🤍『あぁ〜めめも見てたんだ…』
🖤「人魚見たってホントなの」
🤍『それね…嘘だよ。クルージングどころか◇◇◇にすら行ってないもん』
🖤「え、どゆこと?あの嘘なに?」
🤍『ふっかさんから言われたんだよ。詳しいことは会う時聞いてみたらいいよ』
🖤「ふっかさん…?」
🤍『あ、あと俺とはしばらく会わない方がいいよ』
🖤「会わない方がいいって…」
🤍『じゃあね〜頑張って!』
プツン
ラウールは一方的に電話を切った。配信の嘘、深澤からの指示、ラウールと距離を置く。全てが理解できなかった。
3日後、満月の前日。今日から浜辺で待機をする。
夜23時、目黒の目の前にワゴンが到着した。
💚「めめ、お疲れ様。大丈夫?疲れてない?」
💜「あれだったら着くまで寝てていいよ」
💚「さっきまで爆睡してたお前が言うな笑」
車に乗り込むと運転席に阿部、助手席に深澤が座っていた。
1番後ろの後部座席は倒され、トランクに人1人入れるくらいの水槽。
目黒を乗せ車が走り出す。昨日から緊張と不安で眠れていないが眠気も感じない。
💜「めめ前にあった時より顔すごいよ。寝てる?」
🖤「最近は…あんま…寝たくても寝れないんだよね」
💜「体に悪いよ〜?康二と再会しても心配されちゃうよ」
目黒は数日前のラウールのセリフを思い出し、小さな声で聞いた。
🖤「ふっかさん…ラウールに何吹き込んだんですか」
💜「ラウール?…あぁー。インスタライブ?」
🖤「はい」
💜「今結構SNSで大騒ぎしてるっぽいね」
💚「そういえば次の日にはネットニュースにもなってたね」
ネットニュースは目黒も見た。コメント欄もSNSも様々な憶測が飛び交う。ラウールの話か嘘か誠か論争が今も絶えていない。
中には注目されるための炎上商法だと言う者もいた。
💜「今頃マスコミやら銭ゲバやらから色々探られてるかもね〜」
🖤「…ふっかさんからの指示って聞いた。どういうことすか」
深澤を睨みつけ、低い声で聞くと深澤がふぅっと息を吐き説明し始める。
💜「印象操作だよ。ラウールくらいの有名人が発言したらみんな拡散するでしょ?」
💜「そしたら人魚を狙う奴らはこぞってそこへ行くはずじゃん?つまり本来康二がいるはずの海域の意識が手薄になる」
💜「俺らが動きやすくなるんだよ」
💚「◇◇◇って場所も人魚がいそうにない潮の流れの荒い海域だ。バレるのも早いだろうけど、目眩しには十分」
🖤「…囮ってことじゃん」
💜「言っちゃえばそうだね 」
🖤「なんでそんなことさせたの!」
🖤「ようやく仕事が増え始めたって言ってたんだ。世間からの印象下げてまた仕事に影響でるかもしんない。そこまでしてする必要あった?」
車の中に重い沈黙が流れる。
💚「じゃあ聞くよ」
💚「深夜とはいえ、人間と人魚が再開してる所を見られたらどうなると思う?ましてや少し前までハリウッドで映画撮ってた話題の俳優が人魚と密会なんて」
💜「手段を選ばない奴らは康二を狙ってくるよ。あべちゃんの研究所の場所が知られたらそれこそ危ない。車でつけられたらどうする? 本当に二度と会えなくなるよ」
🖤「………」
💜「それに、これはラウールの同意の元だよ。俺は断ってもいいって言ったんだよ。もちろんラウールにもリスクがあるからね。そしたらなんて言ったと思う?」
🖤「え…」
────────
💜「ラウールにはもう1つ大事な仕事がある」
🤍「俺に?」
💜「うん、ラウールにしか出来ない仕事」
💜「ただ、これはラウールにもリスクがある。
聞いてくれる?」
🤍「……うん」
目黒帰国前の最後のビデオ通話をした日。
通話を切った後、深澤はラウールに話を切り出したのだ。
🤍「世の中の印象操作…」
💜「念の為しばらくの間は見張り役を付けるよ。俺の相棒なんだけど、腕っ節は強いし背は高いし顔は怖いし。そこは保証する!」
💚「顔が怖いは余計じゃない?」
🤍「…………」
💜「もちろん断ってもいい。ラウールの世間の印象を下げかねない。怪しい人間が近寄ってくるかもしれない」
ラウールは長考した。その後で静かに口を開いた。
🤍「俺、ずっと後悔してたの。あの2人が離れたのは自分のせいだって」
💚「前言ってたやつだね」
🤍「めめは優しいから何回も『そんな事ない』って言ってくれたけどどうしても忘れられなくて…あの時の…泣いてる2人が」
🤍「2人の想いにも気づいてた…!なのに…!!」
🤍「俺のせいで…!大好きな2人が…離れ離れになっちゃったって…!!」
ラウールは机に突っ伏し拳を握りしめる。阿部も深澤も声を掛けられずにラウールの背中を優しく撫でる。
🤍「俺、2人の為になれるんなら何だってやる。それが俺にできる贖罪だと思ってる」
💜「…わかった。康二とめめは俺らが絶対会わせる」
🤍「お願い…ホントにお願い…お願いだよ」
💚「ありがとう、ラウール」
────────
💜「あの子はずっと抱えてたんだよ。自分の罪の意識を。どんだけ他人が許そうが本人が許せてない」
💚「ラウールにお願いされたからね。俺は何回も康二のいる場所を計算したしふっかはありとあらゆる場所で情報収集した」
💜「ラウールが最初俺に連絡とってくれた時も多分『どうにかしてあげたい』って気持ちだったんじゃないかな。じゃないとこんな見ず知らずの怪しい探偵なんて頼んないでしょ笑」
🖤「……ラウール…」
💚「あの子の思いも乗っかってるんだ。失敗はできないよ」
💜「運任せだけどね笑」
💚「それでもできる限りの事はしたよ笑」
🖤「…ありがとうございます。ほんとに。ここまでしてくれて」
💜「あ、あとラウール言ってたよ」
───🤍『康二くんとまた会えたら…ハグの1回くらいは許してね』
🖤「ふふっ…もちろんですよ」
3人を乗せた車は都心を抜け出し、かつて2人の別れた浜辺へと向かっていった。