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8 - 第5話:揺らぐ残響

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2025年11月01日

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第5話:揺らぐ残響
都市を離れたクオンは、灰色の丘陵地を歩いていた。

風は乾いて冷たく、ところどころに廃墟のような建物が点在する。かつてオーバーライターが管理を失敗し、上書きから漏れた「捨てられた未来」の残骸だった。

人々は近づかず、地図にも記されない。だが、クオンの第三の眼には微かな揺らぎが見えていた。


彼の姿は旅装束のまま、黒髪を乱し、灰色の瞳に淡い光を宿していた。

額の第三の眼が脈動すると、空気が波打つ。

そこで、聞き慣れた声が残響のように響いた。


「──クオン。」


思わず立ち止まる。

耳に届いた声は幻聴か、それとも過去の記録か。


丘の頂に佇んでいたのは、師匠の痕跡だった。

かつての師匠、ライラ。

長い黒髪を後ろで束ね、深緑のコートに身を包んだ女性。人間的な雰囲気を強く残しており、額の第三の眼は淡くしか光らない。

彼女はかつて、初めてクオンに「暗黒物質の揺らぎ」を見せてくれた存在だった。


だが今、そこに立つのは実体ではなく“記録の断片”だった。

マターニューロンが過去の波を拾い上げ、視覚化した一瞬の残像。


「管理できない未来……クオン、見えるか?」

彼女の唇がそう動いた瞬間、揺らぎは消え去った。


クオンは静かに拳を握った。

師匠は確かに存在した。

そして、彼女はタブーを知っていた。


街へ戻ると、社会のざわめきは以前と変わらなかった。

市場ではフォージャーがペット用の小動物を売り、国家庁舎では「明日の未来修正スケジュール」が市民に通知されている。

人々にとって未来はただの商品であり、命は数値か造り物でしかなかった。


その中で、クオンだけが異なる景色を見ていた。

「師匠を探す。あの揺らぎの先にこそ、俺の正義がある。」


灰色の瞳が強く光った。

こうして、彼の旅は本格的に始まった。





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