「エイミアちゃんは最初から色々と見えてるんだもんね。じゃあもうそこに居てるのも見えてるんでしょ?」
チョロフさんは私の顔の横を指差して聞いてくるっす。
そこにはもちろん見えてるっす。赤い羽をパタパタさせてる揺らめく小鳥。
「見えてるっす──けどこれはなんなんすかね?」
何をするわけでもなくそこに滞空している小鳥。
「はぁ……今回出て来たのがこいつらなら、俺がサボれないじゃないか」
「どういうことっすか?」
ダリルさんは椅子から立ち上がりまた、私の頭を撫でる。そんなに気に入ったならお金でもとってみるっすか? ひと撫でごとに。
「こいつらはエレメント。精霊の取り巻きのようなものだな。うさ耳ローブに惹かれてやってきたんだ。こいつらとの繋がりを作ることが魔術士への第一歩となる」
なんか大層な名前つけてたローブが呼び方変わってるっすけど、つまりはこのローブのおかげでやってきたということっすか? そして魔術士への道が目の前に!
「分かったっす。魔術士になってやるっすよー!」
さて、私は今孤児院の広い庭で小鳥と追いかけっこしてるっす。
なぜ? だって小鳥が逃げるから追いかけてたら、ダリルさんに首ねっこ掴まれて、ここなら広いから遊ぶならここでしろ。なんて言われたっす。
繋がりってのがなんなのかってそう聞いたらとりあえず捕まえて見れば分かるなんて言うからやってるのにっ!
こんな小さくて空を飛んでて速くて……はやっ⁉︎ 私は速さには定評のあるラビ種なのに遊ばれてるっす。これは由々しき事態……絶対捕まえるっす。
広い広い敷地内を縦横無尽に走って追いかけて飛び跳ねて忍び足で──気づけば子供たちも元気いっぱいで追いかけて来てたっす。
たしかにこれじゃ鬼ごっこっすね。
私が鬼で小鳥が逃げて。子どもたちは?鬼の鬼っす。捕まりはしないっすよー。あ、あぶない。ほっ、こけるかと思ったけど子どもたちもなかなかやるっすねー。
ふふん。まだまだっすよー? ほらっ、ほらっ。そんなんじゃ私を捕まえるなんて無理っすからーって泣きそうになってるっす!
ここはわざと……。
「あっ……!」
捕まえられてやるっす。
「くそーっ、ちびっ子たちやるっすねー。今度は私が鬼っすよー⁉︎ それー!」
きゃーっと逃げ惑う子どもたち。追いかける私。本を読むダリルさん、その横の小鳥。子ども! ダリルさん! 私! 小鳥っ! ダリルさん! 私! 子ども! ダリルさん! 小鳥! 私! 子ども! 小鳥ぃっ!
──何やってんだ私ぃーーーー!
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