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如月 未澄斗
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#刑事もの
鬼霧宗作
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第7話 過去
翌日。
坂田の机には、一つの段ボール箱が置かれていた。
送り主は、橋本優太が以前住んでいた県の警察本部。
協力要請の返答だった。
「届きました。」
藤堂が箱を開ける。
中には分厚い資料が何冊も入っていた。
「こんなに……。」
「全部、小学校時代の記録です。」
坂田は静かに一冊目を開いた。
⸻
一年生。
生活指導記録。
『授業中、突然椅子を蹴り倒す。』
二年生。
『同級生との喧嘩。』
三年生。
『教師への暴言。』
四年生。
『校内で器物損壊。』
五年生。
『補導。』
六年生。
『児童との暴力沙汰。』
坂田はページをめくる手を止めた。
「……多すぎる。」
一か月に一件。
多い月には三件。
中学校時代とは比較にならない。
「荒れてたんですね。」
藤堂が呟く。
「いや。」
坂田は首を横に振った。
「荒れていた、じゃない。」
「抑えられていなかった。」
⸻
資料の最後には、小学校の担任教師による所見が残されていた。
『感情の起伏が激しく、注意すると反抗的な態度を見せることがある。』
坂田はページをめくる。
別の日の記録。
『友人と口論になり、机を蹴り倒す。』
さらに別のページ。
『反省の様子は見られず、指導を継続する必要がある。』
藤堂が資料を閉じる。
「中学校より、ひどいですね。」
坂田は静かに頷いた。
「……ああ。」
「まるで。」
「別人のようだ。」
しかし、その言葉はすぐに飲み込んだ。
“別人”という考え方では、説明できない何かがある。
⸻
「でも、おかしくありませんか。」
藤堂が言う。
「何がだ。」
「雨。」
「え?」
「もし本当に雨がトリガーなら。」
「小学生時代も、雨の日だけ問題を起こすはずです。」
坂田は資料の日付を追う。
六月。
八月。
十一月。
二月。
天候は。
晴れ。
曇り。
雪。
様々だった。
「……違う。」
坂田は小さく呟く。
「雨じゃない。」
「少なくとも。」
「雨だけじゃ説明できない。」
⸻
帰り際。
坂田は資料を箱へ戻す。
机の上には、
一年前の失踪事件。
三人の女子中学生殺害事件。
そして。
小学生時代の問題行動。
三つの資料が並んでいた。
「雨じゃない。」
坂田は静かに言う。
「まだ。」
「俺たちは。」
「本当のトリガーにたどり着いていない。」
窓の外には、青空が広がっていた。
それでも坂田の胸の中だけには、
黒い雲が立ち込めていた。
コメント
1件
いやー、第7話めっちゃ重かった……。小学校時代の問題行動、マジでエグい量だな。一か月三件って、もはや制御不能じゃん。「荒れてた」じゃなくて「抑えられていなかった」って坂田の認識、めちゃくちゃ刺さった。雨だけじゃ説明できないってのも気になるし、まだ見えてない真のトリガーって何なんだろう。窓の外の青空と胸の中の黒い雲の対比がまた嫌な伏線すぎて震えるわ。続き待ってる🔥