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第三十四話「顔の裏のフレーバー」



🔪複数の人格の匂い


午後9時、雨上がりのアーケード街。

ミレイは制服姿の高校生の顔をつけて、

濡れた傘を引きずりながら人混みを歩いていた。


だが、足取りは不自然に重い。

目は笑っているが、

口元だけが歪み、微妙な“咀嚼”の動きをしている。


「うぅん……今日の子、ちょっと酸味が強いわね。

たぶん、親に愛されてなかった味。

粘膜の奥がヒリヒリするの。」




🔪スケアリーの実況「顔皮の発酵風味」


「うぎゃっはぁあああ!!!!!」

スケアリーがアーケードの天井を四つん這いで這いながら悶絶!


「出た出た出たァァァ!!!

**“顔の裏に染み込んだ感情”っていう、見えないスパイス!!!!」」


「この皮、“使い回し”しすぎて酸化してんの!!!

でもそれが逆に!! “感情の発酵臭”になってウマい!!!!」


「本人が気づいてないだけで、

この顔、もう**“ヨーグルトみたいに腐ってる”んだよ!!!!」




🔪街中での微笑み


通りすがりの老婦人が声をかける。


「まぁ、お嬢さん。可愛らしいわねぇ。

ピアノやってるの?」


ミレイは完璧な笑顔で応じる。


「はい。コンクールに向けて練習中です。」


だが、背中には痙攣するような痒み。

内側の皮膚が、“違う人格”を拒絶している。




🔪ユリウスの観察


ユリウスは雑踏の中から見ていた。

彼女の目の動き、仕草、声色――すべてが演技としての“他人”だった。


「ミレイは“自分の輪郭”を持っていない。

だから他人の顔を貼りながら、

“味”で自分を確認してるだけだ。」


「彼女にとっては、**顔が“料理の皮”なんだな……。

でも、“中身”が腐ってることには気づいていない。」




🔪スケアリーの食レポ「人間皮の塩レモン漬け」


「ぐふふふふふふふふ!!!!」

スケアリーが紙袋の中から“脱ぎ捨てられた顔”を取り出し、舐め回す。


「これ! これ!!!

**“他人の顔を冷蔵保存して、微妙に腐らせてから再利用した味”!!!!」」


「塩レモン漬けのような酸味!!!!

傷んだ魚のような腐臭!!!!」


「でも、それがなぜかクセになるッ!!

**“人格のズレ”が香辛料になってるのよォォ!!!!」


「もうこの料理、“本人より顔が記憶されてる”ってレベル!!!!」




🔪ラスト:鏡の向こうの“誰か”


ホテルの一室。

ミレイが顔を外して、鏡を見る。


そこに映ったのは――

輪郭があいまいな、どこにも属さない“素顔”。


「これ……誰だったかしら?」


その言葉に、

鏡の中の“自分じゃない誰か”が、微笑んでいた。





次回 → 第三十五話「私を食べて、私になって」

スケアリーイズム - 完全犯罪のレシピ

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