テラーノベル
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「リシスー!!雪遊びしようよー!!」
「…姉ちゃん…、ごめんね。体調ちょっと悪くて。」
生まれつき、僕の体は弱く病弱だった。戦後、医療技術などが無くなってしまったのだとか。今はSol-3の知的生命体の人と交渉しているらしい。
「えぇー、いやだー!リシスと遊びたいのー!!」
「こらこら、イシス。駄々こねないの。」
姉ちゃんはいつもお母さんになだめられているけど、姉ちゃんを見てるとなんだかこっちも元気が出ちゃうんだよね。
姉ちゃんはずるい。僕とは正反対で、元気で人が良くて体も強くて体力だってあった。
「あ、じゃあ!リシスに、とっておきのおまじない。かけてあげるね!」
お母さんは微笑ましそうにこちらを見ながら、姉ちゃんのおまじないをみる。姉ちゃんは、僕の手を握り、びょーきなおーれ!とおまじないをした。
なんだか体が軽くなって楽になる。姉ちゃんのおまじないは本当に凄かった。熱が本当に下がったんだ。その時、姉ちゃんがそんな力使えるなんて知った。
姉ちゃんはお人好しだった。気づけば、姉ちゃんは皆の怪我を治す人になっていた。みんなから聖女様と崇められて。
母さんは最初は否定していたけど、今はあんまりもう否定しなくなった。でも、イシスのやることだから、否定はしなくないって。それで姉ちゃんが倒れたら元も子もないよ…。
「神の奇跡だっ!!聖女様!!」
そんなふうに崇められて。姉ちゃんはよく分かっていないようだったけど、褒められるのが好きだからやってるだなんて甘いことを言う。
「姉ちゃん!!もうやめよう?!その力は乱用していいものじゃないと思う…。それに、前より姉ちゃんやつれてるよ…。」
「そんなことないよ!ぜーんぜん元気!」
姉ちゃんはまたそんなことを言う。だから僕はそんなことないって言うためにも、図書館へ行きその力についてよく調べた。
その力は大昔魔女が使っていた異端の力という。その力は、寿命と引替えに人の命を守るもの。誰かの痛みを自分に移すものだという。その痛みは、体ではなく精神に刻まれる。尚、自分で使う場合は体力は使うものの大した負担ではない。
どんな時でも元気な姉ちゃんは好き。だけど、それが無理によって作られた姉ちゃんは嫌い。
「姉ちゃん!!そんな力もう使わないで!!」
「…でも。」
「お願いだから…、それは…自分の命が危険な時だけ…使って。」
「…わかった。」
でも、姉ちゃんは分かったなんて言ってるけど、約束を破り、僕に内緒でその力を使っていた。
戦争が始まってからは、母さんも簡単に死んでしまった。でも、僕には姉ちゃんがいればいいと簡単に割り切ろうとした。母さんがいなくても、姉ちゃんがいるから大丈夫って。
姉ちゃんは、そうじゃなかったけど。母さんが瓦礫に押しつぶされたあの日も、生き返らせようとしたり、夜中に何度も泣いていた。
僕は、何故か泣けなかった。僕には姉ちゃんがいればいい、姉ちゃんさえ居てくれたらいい。それが自信に呪いをかけていた。
けど、無意識のうちに母さんのことがトラウマになっていることに自覚した。でも、姉ちゃんの方が大事、僕は大丈夫だって取り繕った。
「姉ちゃんは死なないでね。」
「死なないよー!!絶対ね!リシスこそ、死んだら容赦しないからね〜?!可愛い顔してるんだからー!!」
なんて。下品なからかいも、よく分からない冗談も、よく泣くくせも。全部大好きだよ。
たった一人の、僕の大切な家族。大切な人。
[3918年4月24日/2号]
「何っ…?!今の…?!」
「リシス…の…記憶だと…思う!!」
記憶?!でもなんで急に。いや…、ここがリシスの作り出した空間なら記憶がとびこんできてもおかしかはない。
『姉ちゃん!!見てみて!!変な虫ー!!!』
『ギャー!!!そんなの近づけないでー!!』
まただ。ちっちゃい子の声。リシスと、イシスの記憶なのだろうか。微笑ましいこの声、幸せな過程。
「3号…、大丈夫?!」
「なにがっ!!」
「目!!涙っ!!」
奴がまた仕掛けてくる。慌てて3号を担ぎ、後ろにさがる。ふると目の前の空気が歪み斬られたように綺麗に消えた。断面まで綺麗だった。
「あいつどうする?!」
慌ててビルから飛び降り地面に着地する。3号は軽いからすぐに運べる。とにかくお互い適当な所に走ってたら面倒なことになる。
「あいつの頭を破壊するしかないだろっ!!」
「そうだけど!!あいつの攻撃、私には読めない!」
「なら!!あいつを瓦礫で押し潰すよう上手く何とかそうするしかない!!」
「わかった。でもどうする!?爆薬なんてないよ?!」
多分うちの施設にはあるとは思う。でも爆発物なんてどこにあるのかなんてわかっちゃいない。
急にモスキート音がしたかと思えば前の空間から黒い球体が出てきた。慌てて後ろに下がるとその黒い球体が膨張し周りを消し飛ばした。
「2号、そろそろ離して?!何とかしておびき寄せるからその間に2号は何やかんやして探してきて!」
「けど!君は…!!」
「大丈夫だから!!た、多分!!」
「わかった!!じゃあさっさと終わらせてくるから絶対死ぬな!!死んだら殴る!!」
2号は3号をパッと離してビル内に入る。走ってビル内に入る。やっぱり色が反転してるせいで物が見えにくい。
2号は走って階段を駆け上がる。武器化の方向へと、行く。建物内には電気も人もおらず、エレベーターの起動が確認できなかった。
慌てて武器庫の方向へ走った。だが、私は違和感に気づき足を止めた。当たりを見つめると構造がバラバラだった。
「…なに…これ…。ここ…、研究室…?」
中に入る。沢山の箱や棚が並んでいた。すると、急にビデオが流れ始める。そんなことはどうでもいい、ここにあるかは分からないけど探すしかない。
『は?何が楽しくてそんなこと考えないといけないんですか?!こっちは人を手にかけたんですよ?!この手であの感触を…!!』
この声は…、3号?どうして3号が…?箱の中にはたくさんの薬品がある。棚の中にはたくさんの化学物質。鎮静薬、精神安定薬、眠剤が沢山ある。
『あれは人じゃない。』
『しっかり生きなさい。そうすればいつか君にも…』
この声は確かやばばみたいな人だっけ?矢羽田さんか。この人…、無責任な偽善をして、結局は自殺をして、ほんと…、最低な人だよ。
『生きることが救いだと思うなよッ!!!!お前は何がしたいんだよ!!僕を助けたいなら早くこの心臓!!壊せる道具出してよ!!! 』
驚いた。3号がこんな声を出して怒るだなんて思いもしなかった。
「あ…、あった。割と重いけどこれがあればビルを爆破することが出来る。」
『…ごめんなさい。…僕、頑張ります。先生、僕は自分のことが大嫌いです。先生には分からない気持ちで、やり場のない苛立ちでした。……ただ、聞いて欲しかっただけなんです。ごめんなさい。』
視界端に映っていたビデオの映像をチラリと観る。こんなに荒れたり苦しそうな顔は初めて見た。
「…本当の3号は…、こうやって感情をむき出しにして、誰かに助けて欲しかったのかな…。今の3号は、ただ薬の力で安定しているだけなのか…。」
この黒い箱。どうしてこんな古びたコスパの悪い機械がこんな所に置いてあるのだろうか。
慌てて一番下まで階段を下がる。今はそんなことしてる場合では無い。慌てて爆薬を仕掛ける。
「あと70秒で爆破設定っと。」
2号は走ってビルから離れ、3号の居る場所へと走る。
「3号!!!」
3号の方向へ走る。あたりのビルは既に削れて壊れている。辺りを見渡すと3号が腕を怪我しているけど、何とか無事だった。
慌てて3号を引っ張る。
『この失敗作』
冷酷な声。脳の記憶が引き出される。3号は一言も口を開いてなといない。
『死んでしまえ』
知らない知らない私はこんな声知らない。今は敵を殺すことを考えろ。今は敵を殺すことだけ考えろ。
『この失敗作!!!あんたなんかッ!!あんたなんかいなければ良かったのに!!!』
ビルが爆発すると想定してた通りの方向へ倒れ、瓦礫が異星人の方へと倒れ落ち始める。けれど、ここで誤算だったのは、思った以上に崩落が酷い。
『死ね!!死んでしまえ!!』
避難した場所も崩落に巻き込まれかけた。けれど、この空間がまだ存在しているってことは、本体はまだ死んでいないということを示唆していた。
「3号、トドメ刺しに行くけど…、腕の怪我無理そうならそこで休んでて」
「いや、2号ひとりじゃ怖いからついてく。」
3号は私のことなんだと思っているんだ。私だってこういう時はしっかりする。多分
2号は瓦礫の隙間を屈んだり払い除けたりし3号とともに瓦礫の中を進む。すると瓦礫の中でも少し広い空間へ入る。空間が捻れたみたいに歪んでいる。
リシスが辛うじて歪めて埋もれまいとしたのだろうが、当のリシスは肩から下は瓦礫で埋もれている。
「姉さん…ごめんなさいっ…ごめんなさい…。」
鼻を啜るような音が聞こえる。彼の目には、最初から姉、イシス以外映っていなかったのだろう。
誰かに手を掴まれたようなに、腕が動かない。トドメ、刺さないといけないのに。剣を向けたはいいものの、振り下ろすことは出来なかった。
こいつは異星人なのに、人として見ている自分がいる。幸せが崩れ去る感覚を思い出してしまう。この子の幸せを私は崩してしまったのだろうか。
私たちがいなければ、この子達は幸せでいられたのに、どうして私は…。
見兼ねたのか3号は私の服を掴み後ろに引き寄せると剣を振り下ろした。空間は捻れ頭がぐるぐるしたかと思えばあの反転した空間ではなくなっていた。
気づけば、先程の壊れた会社のビル。他はいつもと変わらない街だった。目の前にあるのはぐしゃぐしゃで傷だらけのイシス。瓦礫は無くなっていた。
「2号、こいつはただの異星人。こいつらを人として見てどうする。」
「でも!!こんなのただの人種差別じゃ…!!」
「人種?人型の化け物の間違いじゃないか!!こいつらは人間でもない。あんな空間に閉じ込める化け物のどこが人間だって言うんだ!!」
「でも!!3号だって見たでしょ?!記憶を!!」
どうして3号は急なそんなことを言い出したの。こんなの、人の形だけじゃなくて、心だって人と同じなのになんで人種差別じゃないと言い張るの…?
「そんな思いで殺すくらいならとっとと僕の前から消えてよ!!!…いらないから!!」
”いらない”その言葉に思わず声が出なくなる。自分が一番言われたくなかった、言われちゃいけない言葉。”失敗作”よりも堪えた。
「なに〜?喧嘩〜?!痴話喧嘩〜?!って雰囲気でもないかー。無事だったんだね〜!!」
「リシスは死んだ。私はもう、疲れたからさっさと帰る。」
どうしても今はその場を離れたかった。フェノールがちゃちゃかけてきたけど、リベルにまた止められてた。
さっさとその場から離れた。
[3918年4月25日/732号]
なんだか、2号と3号だっけ。喧嘩してたな〜。後でまたちゃちゃかけに行こーっと。
「それで、イシスとリシスの死体は研究部に送られたけど報告書送ってくれたかな?」
「はい、リベルがやりました〜。」
報告書なんかいちいちできない。ていうかロクに読み書きできないから、やってもらうしかない。一応、口で説明もしとくって感じだよねー。
「彼らの使う超能力は興味深いね。」
「恐らく、体の構造は我々とほぼ同じですが、彼らには違う臓器があると推測できます。それから、普通より生命力が高いので、簡単に言えばゴキブリ。」
そういえば、昔からゴキブリのことはGとかジとか略してたけど、本当の正式名称はゴキカブリなんだってー。はぁ、一応ファーストの前だからお固く喋ったけど、いちいち言葉つまりかけるんだよなー。
普通の口調したら絶対怒るだろうし。ファーストの沸点よくわかんないものだねー。硬すぎるんだよファーストは。
これだから、社会の奴隷は。だから第一部の子は、普段から淡々と働く奴隷になっちゃったんだよー。
「君の予測はあってるよ。まぁ、彼らは臓器以外にも体にA素が流れているから、生きる燃料みたいだね。」
「ははっ…そっすね。ってことは、狩猟気分で殺しても差し支えないですねー!!」
「そうだね。」
はぁ、でも、リシスの時は私元気なくて全然楽しめなかったし。最悪すぎたよー。次は私が元気な時に出てきて欲しい。
「では私は帰りまーす!!!」
さっさと帰った。というか、ファーストがいる部屋から離れた。さっさと軽い足取りでリベルの所へと走ってドアを蹴り飛ばした。
「すっげー!!手動のドアってめんどくせぇー!!」
手動のドアなんか時代遅れだっつの。なのに、無駄にそういう所手動な第一部はうざい!!
部屋に入りドアを閉める。リベルを見るとやっぱり驚いていないみたい。ていうか、3号がいる。何しに来たんだろ、この人来るなんて珍しい。
「2号に…言いすぎた…。」
「うん、3号が完全に悪い」
リベルに相談してる?!リベルが珍しく真剣に聞いてるしなにそれ私も加わりたい!!
「昨日の件でしょ!!?よし謝り行くー?!行っちゃうよねー?!そのノリでついでに愛してるっ!って言っちゃおうよー!!」
「うわっ!!変な人きた!!!」
私は猛ダッシュで3号の隣に座る。後ろでめんどくさいやつが来たというリベルの声がしたけどそんなことは今どうでもいい!!
3号の悩んでる姿を鑑賞したい!!鑑賞会したい日記に書き記したいっ!!ついでに過去の話して過呼吸なって倒れて欲しい!!!
「なんでそんなに3号は悩んでるのぉー?」
「…2号にいらないなんて酷いこと言った…。」
「それはお前が悪い」
つい口から悪いと漏らしてしまいハッとし口を塞ぐ。だが、手遅れであった。3号が言葉の刃物で刺されて今にも泣きべそかきそうだ。
意外と3号って表情筋豊かだなー。泣いてる顔見たいし、もっと酷いこと言っちゃおうかな〜。
「フェノールは余計なこと言うなよ」
リベルに背後をとられ手で口を塞がれた。最悪ー!3号に、2号は許してくれないね全部君のせいだから死んだ方がいいとか言ってやろうかと思ったのに。
リベルの悪口察知能力高すぎる。ぐぬぬ、一番厄介なのはリベルだ。また関節技キメられたら私は多分痛すぎて死ぬ!!!
「なんでそんなこと言ったの?」
「…このままだと、2号…、異星人に同情する。そうしたら、多分殺せなくなると思う。そしたら、任務に支障が出る。そしたら2号が不要と判断される。」
確かに、任務ができない兵器を生かす必要はないと判断して殺されちゃうかもね。ファーストはやりかねない。
いつも思うけど、私たち兵器を殺すのは一体誰の役目なのだろうか。
「別に2号の年齢なら、後方支援行けると思うけど。どうしても2号を後方支援に行かせたくない理由とかある?」
「…別に。そういうのではない。」
完全な嘘だな。わかりやすい。語尾が固くなったり返答が遅れるし、そうなるとどうしても後方支援に行かせたくない理由があるはず。
「んで、どうして後方支援に行かせたくないのー?」
「え、いやえっと…ん?え?ん?」
嘘だとバレてるせいでめちゃ動揺してるんだろうな〜。面白い。 こんな適当に聞いただけですぐ動揺するなんて。
「説明してくれないと俺もフェノールも、ましてや2号も納得してくれないよ」
「ごめんだけど言いたくな───」
「失礼しまーす!!」
3号の言葉を遮り来たのは133号。ドアがバン!と開いた。133号は紙を持っておりその紙を3号に渡すとそそくさと帰って行った。
なんだろうと思い、髪を眺める3号を見ると顔色が悪くなっていた。チラリのその紙を見ると”果たし状”と書かれていた。
「あははははっ!!こりゃ完全にキレてるねっ!!ぷぷぷっ!!ぷっ…ふふふっ!!…痛っ!!」
「うるさい」
カンカンに怒ったリベルに頭をどつかれた。3号は気分が落ち込んじゃったみたい。果たし状をよくを見ると今から屋上に来いと書かれている。
「3号、さっさと行った方がいー。これ確実にー!!今行かないと殺されるやーつ!!」
「うっ…もう行かないっ…無理っ…。」
「グズグズするな男だろ!!!」
情けなと罵倒しながら無理やり3号を起こす。リベルは精神攻撃するなと注意するけどそんなこと言ってないでお前も手伝えと完璧な返しをしてやった!
「ほら行くぞ!!」
3号を引っ張り部屋を出た。
コメント
1件
ああーっと、もう、今回めっちゃ重かったね…😢💦 リシスの幼い頃の思い出とか、自分のこと弱いって思ってる感じとか、イシスの無理して笑ってる姿とかさ…全っ然エモいとか言える空気じゃなかったよ…。 で、終盤の2号と3号の喧嘩がもう刺さりすぎて心臓が痛い!! 「いらない」って言葉、2号には本当にグサッと来たはずだよ…😭💔 でも3号も、2号が任務で不要って判断されるの怖がってるんだよね?その不器用な愛情が切ない…。 最後の果たし状でちょっとシリアスに笑っちゃったけど、屋上どうなるんだろ…見守りたい…!
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