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花びら占いみたいな事していじけてると、不意に頭を撫でられて、見上げるとダリルさんが隣にしゃがみ込んで来たっす。
慰めなんて──。
「諦めるならレンタル品は返してもらえるか?」
デリカシーとかの問題じゃないっす!
「分かってるっすよ! 返すっす! これでいいんでしょっす!」
すぽぽーん! と脱いでスタッフもローブもブーツも。座ったばかりのダリルさんに叩きつけてやるっす。尻もちついてダリルさんはローブを受け止めて……。
途端に小鳥は脱ぎ捨てたローブに止まって羽根を休め出した。なんだ、ローブはいいんすね。私が小鳥たちに嫌われていたっすよ。ただそれだけなんすよ。
「ぐすっ……。うぅ……うっ」
すっぽんぽんになってまで──。
「なんで、なんで嫌われて……そんなの酷いっす」
「……おい」
無神経男がなんか言ってるっす。知らないっすよ。
そんな無視する私のおでこに──指の感触。
見ればダリルさんが人差し指で私のおでこに触れていたっす。その手の甲には赤い小鳥を乗せて。
小鳥は指先にまで来ると、私のおでこをツンツンとして──そのまま私の中にすうっと消えていったっす。
「え? え?」
「その一羽はきっかけだ。本当は全部自分で捕まえさせたかったんだが」
バサッとローブを広げてそのまま、また被せられたっす。
腕を片方ずつ通されて、ブーツも履かせてもらって、手には透明な輝石のついたスタッフ。
「泣くくらいに焦がれているのに、このまま終わらせたら俺が悪者みたいではないか。しかも裸ときた」
またぐしぐしと頭を撫でてきたっす。
「うさ耳ローブの出来上がりだ。やっぱりこれがいい」
またそうやって着せ替え人形みたいに。
「スタッフに既に現れているな。これは俺からのサービスだ。あとは手伝わん」
着せ替え好きの変態が何を言ってるのかと手に持つスタッフを見ると、その輝石は透明ではなく赤い輝きを中心に灯していたっす。
「赤のエレメント。まあ、火の魔術とか他ちょろっとだが使えるようになっているはずだ」
ダリルさんは私の目の前で指先に火を灯して、それを掴んだ私の左手の指先に移してみせたっす。その火は確かな暖かさを指先に残して消えた。
「やってみろ。今のを思い出すだけでいい」
私は言われたままに素直に人差し指を出してそこにあった火を思い出すっす。
私の中の魔力が動いて、ボッと小さな火が灯りそれが私の使った最初の魔術だって教えてくれたっす。
「うさ耳魔術士見習いの誕生だな」
私は泣いたっす。人目もはばからずにダリルさんにしがみついて泣いたっす。ダリルさんも抱きしめてくれて頭を今度は優しく撫でてくれたっす。
「……ひと撫でごとにお金とるっす」
すぐさま頭から手が離れたのを感じたっす。