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「それにしてもミーナちゃんは酷いっす」
散々泣いたらスッキリしてダリルさんと宿に向かって歩いてるっす。なんとなくダリルさんの服のすそをつまんでるのはなんとなくっす。
「ミーナはそのままを言っただけだ。無駄な努力。あのままでは一生捕まえられん」
……ぐすっ。
そういえばミーナちゃんはもう居ない。神出鬼没っす。
そして──。
「小鳥が増えてるっすよ」
今ここには黄、青、紫、藍の4羽が飛び交っているっす。
「赤を捕まえた事で、エレメントもお前に会いに来たんだろ」
宿に戻ってベッドの上で格闘しても捕まえられないっす。速すぎるっすよー。隣の部屋から壁ドンされたっす……。
でも。
壁に立て掛けたスタッフの輝石は透明で、私が持つと赤く光る。離すと消えて持つと赤く。
「んふふ〜」
この日私はとても気持ちよく寝れたっす。
広い草原が広がっていて、そこにはたくさんの人がいるっす。
みんな魔術が得意そうで、火を出したり氷を出したりと忙しい。でもそれも束の間のことで空から大きな黒色が落ちて来て、みんな飲み込まれたっす。あとには何も残らない、私の意識も。何も……っす。
パンの焼ける匂いがするっす。おかみさんのパンはとてもふわふわで美味しいっすよ。
下に降りると、今日は早いねなんていって朝食が出て来るっす。
「幸せっすねー。スープも美味しいっす」
いつもより早めの朝食を済ませたら、日課の追いかけっこっす。
お、あそこにいるのはチョロフっすねー。弓を担いで外に向かってるっす。
「おはようっすよ、フィナさん!」
「あ、おはよう、エイミアちゃん。あれ? 少し変わった? ていうかエレメント多くない?」
今朝には緑も追加されてすでに5羽っす。
「火が使えるようになったっすよ!」
「火か〜。火、火ぃ〜ねぇ、火っ!」
何かを考えだしたかと思ったらいきなりチョロフは私を担いで走り出したっす。
え、なにこれ? むっちゃ速くて怖いんすけどっ⁉︎ これって誘拐? ええっもう門越えたっす!
「おいで! ピヨピヨ!」
なにこれ、目の前をふさぐようにして光る魔法陣が現れてその中を突き抜けたと思ったら、走る勢いそのままにいつのまにかピヨピヨに乗ってテイクオフしてたっす。
よく分かんないっすけど最初っからこれ見せてくれてたらカッコよさ100%だったっすのに⁉︎
「一体何がどうなってるっすか?」
私を誘拐したチョロフは、手持ちの弓矢であろうことか魚を串刺しにしている。
ここは山間の川辺。そこでチョロフは水面に映る影に矢を射ると魚を串刺しにして結んでいた魔力の糸を引くことで釣り上げていたっす。
「ほら、私って風だけは使えるんだけど、他はさっぱりだからさ。火を起こすのも大変でやらなかったけど、エイミアちゃんがいれば冒険者っぽい焚き火で魚の丸焼きが出来るじゃない?」
そう言って組まれた焚き火に私は火をつけたっす。初めての魔術の行使はチョロフの欲望のためっす。