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亜佑美が陽向と会ってから数日が過ぎたある日のこと、仕事を終えて会社を出た亜佑美は最寄り駅へ向かって歩きながら誰かに見られているような感覚を覚えたけれど、最初は気のせいだと思った。
街中には大勢の人がいるのだから、たまたま視線が合っただけかもしれない――そう自分に言い聞かせるも、その違和感は電車に乗っても消えなかった。
それは電車を降りた駅でも改札を抜けても、まとわりつくような視線は途切れない。
胸の奥がざわつき、それは次第に恐怖へと変わっていく。
(……気のせいじゃ、ない?)
このまま一人で家へ帰るのは危険な気がした亜佑美はすぐ側にコンビニへ入ると、震える手でスマートフォンを取り出して真っ先に朝陽へ電話をかける。
事情を聞いた朝陽は電車で帰宅途中だったにもかかわらず、「その場を動かないでください」とだけ告げると、すぐに次の駅で降りてタクシーを拾って駆けつけることに。
数十分後、駅前に止まったタクシーから降りてきた朝陽の姿を見つけた瞬間、亜佑美はコンビニから出て行き、張り詰めていた緊張の糸が切れたのか涙目になる。
「朝陽くん……!」
名前を呼びながら駆け寄ってきた亜佑美を朝陽は安心させるように肩を抱いた。
「もう大丈夫です。ひとまず今日は家には帰らず、俺の家へ行きましょう」
「うん……」
その落ち着いた声に導かれるまま、亜佑美は朝陽と共にタクシーへ乗り込み、二人は朝陽のマンションへ向かった。
部屋へ着いて温かい飲み物を手渡されてようやく一息ついた亜佑美は、いつ頃から視線を感じ始めたのかを詳しく話した。
「会社を出て少しした頃から……駅まで歩いている時も、電車の中でも、降りてからもずっと見られている気がして……」
その間朝陽は真剣な表情で話を聞きながら考え込む。
「会社からですか……駅までの道でたまたま目をつけられた可能性もありますし、最初から亜佑美さんを狙っていた可能性も否定できませんね」
その言葉に亜佑美の表情が更に曇る。
「……やっぱり、誰かにつけられてたのかな」
不安そうに肩を震わせる亜佑美を前に朝陽はそっと抱き寄せ、
「大丈夫です」
優しく背を撫でながら言葉を続けた。
「必ず俺が守りますから」
その一言で亜佑美の張り詰めていた心が少しだけ軽くなる。
朝陽は抱き締めたまま今後について考え始めた。
「とりあえず、今日はこのまま泊まってください。でも、問題は明日以降ですね」
「……その、タクシーで帰るよ」
「もちろん、それも一つの方法です。でも一人にするのが心配なので、俺が送迎します」
「え? でも朝陽くんだって仕事があるし……」
「俺の会社、今の時期の残業は滅多にありませんし、朝も亜佑美さんの会社を経由して出勤するくらい大した手間じゃありません。それに――何より亜佑美さんの身の安全が最優先ですから送迎させてください……ね?」
その真摯な眼差しに亜佑美は小さく笑みを浮かべながら頷いた。
「……ありがとう。本当に心強いよ」
突然降りかかった不穏な出来事への恐怖は消えない。
それでも、自分を守ろうとしてくれる人がいる。
その事実だけが今の亜佑美にとって何より大きな支えとなっていた。
翌朝、亜佑美は朝陽に車で会社まで送ってもらった。
会社のエントランス前で車を降りると亜佑美は少し申し訳なさそうに笑う。
「ありがとう。送ってくれて」
「いえ。それじゃあ仕事が終わったら連絡しますので、中で待っていてくださいね」
「……本当にごめんね」
そう言うと、朝陽は穏やかに首を横へ振った。
「謝ることないですよ。俺がしたくてしてることですから。それじゃあ、また後で」
「うん。気をつけてね」
「ありがとうございます」
軽く手を振り合い、それぞれの一日が始まった。
管野アリオ
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ひより
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瑠璃マリコ
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コメント
1件
うわ、めっちゃ不穏…!亜佑美が誰かに見られてる感覚、読んでてこっちまでゾワゾワしたわ。でもそこで「動くな」ってすぐタクシー飛ばして駆けつける朝陽、マジで頼りになるな…「必ず俺が守ります」の一言に全部詰まってる感じがする。送迎まで申し出る献身ぶり、二人の距離が縮まってるのが伝わってきて応援したくなる展開だった! 新話投稿お疲れ様です!続きがすごく気になる👀