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神社の奥、苔むした鳥居をくぐると、空気が変わった。et(私)は、霧の中に浮かぶ石段を一歩ずつ踏みしめながら、胸の奥のざわめきに耳を澄ませていた。
「ここが……封印の間?」
etが立ち止まり、見上げる。
霧の中に、古びた社が静かに佇んでいた。
屋根は苔に覆われ、扉には複雑な紋様が刻まれている。
「この結界……かなり古いな」
mf君が指先で空気をなぞる。
「でも、まだ生きてる。誰かが維持してるってことか」
ya君が周囲を警戒しながら言った。
「中に入れるのか?」
jpが扉に手をかける。
「待って」
etが一歩前に出た。
「……この扉、私が開ける」
「大丈夫か、etさん」
ya君が心配そうに見つめる。
「うん。……なんとなく、わかるの。
ここは、私の記憶とつながってる」
etが手を伸ばすと、扉の紋様が淡く光り、音もなく開いた。
中は、静寂に包まれていた。
石の床。古びた祭壇。
そして、中央に浮かぶ──白い結晶。
「これは……霧晶核(むしょうかく)」
mf君が目を見開く。
「霧の記憶を封じるための核だ。
これがあるってことは……ここに、何かが封じられてる」
「記憶……?」
etが結晶に近づく。
「触れたら、どうなるんだ?」
jpが警戒する。
「わからない。でも……」
etは結晶に手を伸ばした。
その瞬間、空間が揺れた。
──視界が、白に染まる。
気がつくと、etは霧の中に立っていた。
どこまでも白く、どこまでも静かな世界。
「ここは……夢?」
『夢じゃないよ』
声がした。
振り返ると、また“白い影”が立っていた。
「あなた……また……」
『君は、忘れてしまった。
でも、俺はずっと、ここにいた』
「……私のこと、知ってるの?」
『もちろん。君は、俺の……』
影の声が、霧にかき消される。
「待って、教えて……!あなたの名前は……!」
『……思い出して。君の中に、ちゃんとあるから』
影が手を伸ばす。
その指先が、etの胸に指した瞬間──
──痛みが、走った。
「っ……!」
etは膝をついた。
頭の奥で、何かが軋む音がする。
『まだ……早かったかな。
でも、もうすぐだよ。君は、きっと思い出す』
影は、霧に溶けていった。
「etさん!」
noさんの声が、遠くから聞こえる。
「etさん、しっかりしてください!」
naさんが駆け寄る。
「……っ、私……」
etはゆっくりと目を開けた。
「大丈夫……少し、思い出しかけたの。
でも……まだ、名前が……」
「焦らなくていいですよ、etちゃん」
rnがそっと手を握る。
「……ありがとう、rn」
「etさんの霧が、また少し変わりました」
noさんが言った。
「今度は、深く、でも穏やかに流れています」
「記憶が戻るのも、時間の問題かもな」
ya君が腕を組んで言った。
「じゃあ、次はどうする?」
jpがetに尋ねる。
etは、結晶を見つめながら答えた。
「……もっと奥へ行こう。
私の記憶の底に、まだ何かがある気がするの」
霧は、静かに揺れていた。
その奥に、まだ語られていない真実が、眠っている。