テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#勧善懲悪
#勧善懲悪
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
雨上がり公園の舞台には、朝から木を削る音が響いていた。
トルードが板のゆがみを見て、眉間にしわを寄せる。
「ひどい切り方しやがって」
「怒ってる顔、親方みたい」
スレンが笑う。
「褒めてないだろ、それ」
怒っているのは本当だった。
町の記憶が乗る場所を、見せ物の台として雑に使われた。その傷を見れば、大工として腹が立つのは当たり前だった。
サペも工具を並べる。
ンドレスが少し離れた場所で黙って木ねじをそろえていた。
まだ会話はぎこちない。それでも、同じ板を前にすると手順は自然と重なる。
「先にこっち押さえて」
サペが言う。
ンドレスは短くうなずき、すぐ力をかけた。
昔と同じだった。
口数が少なくても、木の音で通じることがある。
昼になると、ピットマンが子どもたちを連れてくる。
「走るなー! いや、少しくらいなら走っていい!」
最初から指示がぶれていた。
キオノフは飲み物の入った大きなポットを運び、ルドヴィナに止められる前に紙コップを並べる。
「こぼしたら拭くので!」
「まだこぼしてないうちから言うな」
エリアは舞台袖の壁へ下絵を貼り、子どもたちに絵の具を持たせた。
雨粒、空、歯車、古い人形、修理する手。
ばらばらに描き始めたはずなのに、だんだん一枚の景色になっていく。
「あの頃、夢中だったものって、こういう感じかもね」
ズジがつぶやく。
夕方には、手伝いに来る人がさらに増えていた。
自分の店先を守るので精一杯だった人たちが、今は公園の板を運び、釘を拾い、子どもの手を洗わせている。
サペは舞台の中央に立って、深く息を吸った。
奪われた場所を取り戻すだけじゃない。
自分たちの手で、前よりましな形へ直していく。
それがこんなにうれしいことだと、修理屋の見習いは、今さらみたいに知っていた。