昼飯の時間になり持ってきた弁当を開けたジョイスはまたしても外にダリルが、黒髪にこの辺りでは見かけない服装の美少女と肩寄せ合って歩くのを見て、弁当を手からこぼしてひっくり返した。
レイナは口に手を当てて見ている。エルフは何やら叫びながら駆け出して、街の商店の人からは新婚さんと呼ばれ野菜などを勧めてくる。
それをダリルもわざわざ否定しないからサツキの胸は限界ギリギリだ。
冒険者ギルドの前を通りかかれば、昼間からやけミルクでひとり呪詛を唱えそうなエルフがいてサツキは天国も色々あるのだなと思った。
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街をぐるりと案内してもらって店の前に差し掛かったところで、剣士風の少年とケモミミ少女に出逢いました。
「ああ、ビリーにミーナ。この子はこれから俺の店で住むことになった。仲良くしてやってくれ」
はわわ、一緒に住むなんて紹介……ちゃ、ちゃんと挨拶しなきゃ!
「ダ、ダリル様の元に嫁いできました。サツキと申します! よ、よろしくお願いします!」
顔から火が出そうな思いです。それに嫁いでって、ダリル様のお知り合いの方に……っ。
「ダリルがとうとうこの街でお嫁さんをもらったんだっ、おめでとう! サツキさん、ダリルをよろしくね!」
お、お、お、お嫁さんだなんて……は、恥ずかしい。
ふぅ、ととなりで息をついたダリル様は握っていた手を離してしまいました。私が「あっ」と寂しくなったのも一瞬のこと。
離れたその手は私の肩を抱き寄せて頭を優しく、撫でて下さいました。
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