テラーノベル
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彼と出会ったのは私が23の時
桜の舞う季節に彼は私のいる会社にやってきた。
3つ下なのに私よりも背が高くて体力もあって頼れる後輩だなとは思っていた。
「せーんぱいっ」
私の頬に冷たいものが当たった。
振り向くとそこには彼がいた。
「先輩は驚いてる顔も可愛いですね」
そう、彼は頼れる後輩だとは思っていたが言葉のひとつひとつが少し、
「佐藤くん、そうやってすぐに可愛いとか言わないの。色んな人が勘違いしちゃうわよ?」
彼はペットボトルのキャップをあけながら
「えー、先輩は勘違いしちゃったんですか?」
彼はいたずらな笑みを浮かべた。
「はいはい、さっさと仕事に戻るわよ」
「あ!待ってくださいよー!」
私は彼を置いて足早にそこを去った。
そう、彼は言葉のひとつひとつが少しチャラいと言うのか、思わせぶりがすごいのだ。
だからか、
「佐藤くんに可愛いって言われちゃったー」
「私なんか好きって言われたわよ!」
「それは勘違いですよ!」
トイレに行けばこんな会話が広がっている。
どこに行っても彼の話ばかりで飽き飽きする。
「小川さん!年下はお好きですか?」
突然後ろから話しかけられた。
彼女は山中さくら。
「年下?年上よりは接しやすくて好きだけど」
さくらの口角が上がっている。
「キャラの布教?これ以上推しを増やすと破産しちゃうんだけど?」
「違いますよー」
「じゃあさくらちゃんは一体何を言ってくるのかしら?」
「それはですね、ちょっと耳貸してください」
私はさくらの口元に耳を寄せた。
「佐藤くん、小川さんの事が好きらしいですよっ」
私は一瞬固まったが
「そんなわけないでしょ?佐藤くんは誰にでも好きとか言ってるんだから。それに、私よりも前から交流のあるさくらちゃんの方が佐藤くんは好きなんじゃない?」
そういうと気のせいかもしれないがさくらの頬が赤くなった気がした。
「ないですよ!それに!私は佐藤くん本人に聞いたんです!」
「私は出会ってからまだ3ヶ月も経ってないのよ?どこに惚れるのよ」
「佐藤くんは一目惚れって言ってましたよ。俺の好みどストライク!せめて仲良くなりたいから力を貸してっ!って」
「はいはい、佐藤くんに私だけ動じないから言った嘘でしょ、そこまでして意識して欲しいのかしら」
私は少し呆れながら言った。
「私はずっと好きなのに、小川さんに一目惚れなんて、」
「ん?何か言った?」
「聞き間違いじゃないですか?」
さくらは少し寂しそうな顔をしながら去っていった。
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