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翌朝。三人は街の広場で、子どもたちに囲まれながら朝食を分け合っていた。 小さな平和の中、ふと剣士少女が空を見上げる。
剣士少女(物思い顔):「最近、空の色が少し変…だと思いませんか?」
獣人少女(耳をピクピク):「確かに……朝なのに、変な風が吹いてるわさ」
そこへ、ギルドの使いが慌てて駆け込んでくる。
ギルド使い:「大変です!北の遺跡で、謎の黒煙と“見たこともない紋章”が発見されました!」
その“黒煙”という言葉に、レイの表情がわずかに強張る。
レイ(心の声):(……まさかな。ただの偶然か?)
受付嬢:「それと……昨日すれ違った黒マントの男ですが、名前が分かりました。“ヴァイス”という名で、伝説の〈終焉の書〉を追っているとか……」
剣士少女(不安げ):「あの男、また現れるんでしょうか……?」
レイ:「……用意ができ次第、北の遺跡に向かうぞ。お前ら、油断すんな」
獣人少女:「へっ、今度こそ逃がさない!」
謎の遺跡
三人は北の遺跡へと向かい、現地で崩れた壁に“奇妙な紋章”を発見する。
それはレイの使う黒煙魔法の印に酷似していた。
剣士少女:「この紋章……レイさんの魔法陣と似てません?」
レイ(目を伏せて):「……これは……ガキの頃に見た。いや、それよりもっと……記憶にないはずの、何かだ」
背後で、遺跡の闇の奥が不気味にうごめく。
石壁に触った瞬間、レイの頭に激しい幻覚が閃く。
レイ:(心の声)「黒煙の中の“もう一人の自分”……そして、瓦礫の中に眠る、終焉の書……?」
“予兆”と不安
遺跡帰り、街の空に再び不穏な黒雲――
遠くで魔獣の咆哮と破壊音が響く。
剣士少女:「何か……悪いことが起きる気がする」
獣人少女(牙をむき):「全部まとめてぶっ飛ばせばいいだけ!……だけど、なんか胸騒ぎするわさ」
レイは皆を振り返る。
冷たい表情の奥で、目だけが強い覚悟を宿していた。
レイ(心の声):(……“もう後戻りできない気がする”。ヴァイス。終焉の書。そして自分の異質な力。全てが、繋がり始めている)
謎の古文書
その夜、レイはギルドの書庫で古文書を調べていた。
そこには、こう記されていた。
「真なる黒炎の継承者は、“ふたつの魂”を持つ。その力が解放されし時、世界は終焉か再生かの選択を迫られる」
レイはページをめくり、その先に“自分と瓜二つの影の人物”の絵を見つけて目を見張る。
夜、三人の会話
宿屋に戻り静かな夜。
剣士少女と獣人少女が互いを気遣いながら、レイに向かって話しかける。
剣士少女(静かに):「レイさん、何か一人で抱えてませんか……?」
獣人少女:「困った時はちゃんと、言うんだぞ?」
レイ(珍しく少し優しく):「……大丈夫だ。ただ、そろそろ“本当に危ない相手”が動き出すだろうな」
剣士少女:「どんな敵でも、皆で戦います」
獣人少女:「絶対一人にしないから!」
レイはふっと静かに微笑む。
レイ:「……さっきまで、それだけで十分と思ってた。だが……今度ばかりは、そうもいかねぇかもしれねぇ」
暗闇の奥で、不穏にゆらめく黒い影――
“世界を終わらせる力”が、ついに目覚めかけていた。