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圭と病院で偶然出会った一週間後。
美花は、仕事から帰った後、食事も入浴も手早く済ませると、自室のパソコンを立ち上げた。
バッグの中から、ボイスレコーダーを取り出し、圭とボートに乗っていた時に降ってきたメロディを再生させながら、DAWソフトを開き、新規楽曲作成をクリックする。
「雰囲気的にピアノソロがいいかな……?」
美花は音色をグランドピアノに設定すると、ボイスレコーダーの音声を頼りに、音を打ち込んでいく。
曲を作りながら思い出すのは、おにーさんと過ごした、穏やかでキラキラした時間。
ほんの数時間程度だったけど、ドキドキしながらも一緒にお昼ご飯を食べ、ボートを漕いでいる圭は、美花にとって素敵な男性にしか映らなかった。
「この曲は、おにーさんがインスピレーションをくれたんだよねぇ……」
美花は、メロディだけをひと通り打ち込むと、伴奏部分は、後日作成しようと、打ち込み作業を終わらせた。
傍らに置いてあったスマートフォンを手にすると、通知センターからメッセージアプリの受信の知らせが入っている。
開いてみると、友人の音羽奏からメッセージ。
「おっ…………かなチーだっ」
美花は画面をタップすると、奏からのメッセージを表示させる。
『美花、久しぶりだね! この前は美花ママからお祝いしてもらって、嬉しかったよ! 怜さんもすごく喜んでた。ところで、今度の土曜日、空いてる? 空いてるなら、久々に会わない?』
奏とゆっくり会うのも、久しぶりのような気がする。
美花は、すぐに返事を打ち始めた。
『かなチー、この前は久々に会えて嬉しかったよ!今度の土曜日は、空いてるから、久々に会おうよ!』
奏は、すぐに美花からのメッセージ読んだのか、既読マークが付いた。
『じゃあさ、豊田の家に遊びにおいでよ! 駅まで迎えにいくから。十三時に豊田駅の改札前でいいかな?』
二人の愛が溢れる自宅にお邪魔していいのかな? と思いつつ、美花は返信を打つ。
『全然オッケーだよ。じゃあ、今度の土曜日、楽しみにしてるねっ』
奏とのメッセージ交換を終えた美花は、作りかけの曲のファイルを閉じ、奏と怜の結婚祝いで作成した曲のデータを読み込んだ。
「さて、最終調整して、今度の土曜日にCDにして持って行かなきゃっ!」
美花は気持ちを入れ直すと、ヘッドフォンをパソコンに繋げ、曲の仕上げ作業を進めていった。