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久々に奏と会う日。
美花は親友に会うまで、結婚祝いに制作した楽曲を完成させると、立川駅周辺のオシャレな雑貨屋で、安価なエタニティリングとリングスタンドを見つけて購入した。
リングスタンドにエタニティリングを乗せ、写真をスマートフォンで撮影した後、パソコンで画像を読み込み、曲名と自身のフルネームを文字入れ。
CDジャケットと、表面が白い空のCD-RWに、先ほど画像編集したものをプリンターで印刷した。
「おっ……いい感じぃ〜!」
手作り感満載だけど、ケースにジャケットを入れ、華やかさを増した空のCD-RWに楽曲のオーディオファイルを焼いて完成させた。
グリーティングカード、ギフト用のかわいいラッピングセットを用意し、親友にメッセージを綴ると、CDに添えて包装。
後は、奏に手渡しするだけだ。
(喜んでくれるといいなぁ……)
気持ちを昂らせている美花は中央線に乗り、小さなペーパーバッグの中に忍ばせている結婚祝いのCDに視線を向ける。
豊田駅で下車すると、既に改札前で奏が待っていた。
「美花!」
改札を抜けると、奏が手を振ってくれている。
「かなチー! 久々だねぇ」
親友の元に近付き、美花は笑みを零した。
「今日は色々と話を聞かせてもらうからね? 覚悟はいい?」
「ひえぇ…………かなチー、目がギラギラしてるよっ」
目力の強い漆黒の瞳に眼差しを向けられ、意味深に唇を緩められて、いささか引き気味の美花だけど、何よりも久々に親友に会えたのが、美花にとって嬉しい。
「じゃあさっそく行こうよ。うちは駅から、歩いて十分くらいなんだよ」
奏に促されて、美花は豊田駅を後にした。
親友が暮らしているマンションは、美花が思っていた以上に広い部屋だった。
玄関の前に伸びる廊下を歩き、突き当たりのドアを開ける。
間接照明の柔らかな明かりに包まれた二十畳ほどのリビングには、ソファーセット、壁に掛かっている大画面のテレビと、その下にはオーディオラックが備え付けられていた。
ラックの上には、怜がテナーサックス、奏はトランペットを持ちながら怜が奏を抱き寄せて笑みを浮かべている写真を始め、クリスマスツリーの前で抱きしめ合いながら破顔させている二人の写真など、数枚ほどフォトフレームに飾られている。
傍らの大きなショーケースには、楽器メーカー勤務の怜らしく、四種類のサックスが綺麗にディスプレイされていて、リビングの隅の方には、防音室と思われる箱型の小さな部屋と、横には電子ピアノが設置されていた。