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現在…
身体中の力が一気に抜けた。
魔王の姿を保つのは、思った以上に魔力を消耗する。
「もういいだろ……」
冒険者たちは帰った。
魔王はすでに倒した。
ここにいる理由は、もうない。
アルドは杖を拾い、瓦礫を踏みながら玉座の間を後にしようとする。
その時だった。
背後から、突然――
眩い光が玉座の間を包み込んだ。
「……?」
思わず振り返る。
そこに立っていたのは、
白い光に包まれた大人びた女性だった。
長い銀の髪。
白い衣装。
背中には淡く輝く翼。
アルドは目を細める。
「……誰だ」
女性は静かに答えた。
「私は女神」
「この世界を見守る者です」
アルドは少し沈黙し、
「……帰る」
とだけ言って歩き出す。
「待ちなさい」
そう言った女神はその後とんでもない言葉を放つ。
「あなたにはこれから魔王で居続けてもらいます。」
アルドは止まる。
そしてゆっくり振り返った。
「断る」
即答だった。
「俺は依頼で魔王を倒しただけだ」
「もう関係ない」
当然のことだ。まずそもそも人間が魔王になれっていうのがおかしい。第一、今さっき魔王の姿になったからと言ったってただ魔王が倒されたの見られたくなかったからだ。
女神は首を横に振る。
「ですが」
「あなたはすでに魔王を演じましたよね」
アルドの眉が動く。
「……見てたのか」
「ええ」
女神は平然と答える。
「魔王を倒すところも」
「城を壊すところも」
「変身魔法で魔王になったところも」
「全部」
アルドは顔をしかめた。
「……最悪だ」
女神は一歩近づく。
「魔王がいなくなると、この世界の均衡が崩れます」
「だから」
「あなたが魔王になりなさい」
アルドはため息を吐いた。
「嫌だ」
「面倒だし目立つ!」
「第一、報酬は! お金どうするの!?」
「断 る のなら」
「あなたが魔王を倒した事実を世界に広めます」
沈黙。
アルドは天井を見上げる。
「……脅しか」
「事実を言うだけです」
アルドは頭を掻いた。
「……最悪だ」
少し考えたあと、諦めたように言う。
「分かったよ」
「やればいいんだろ」
女神は頷いた。
「では今日からあなたが魔王です」