テラーノベル
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ダミアンはレイカールトン侯爵のことを、それはそれはよく知っている。
だが、レンブラントはレイカールトン侯爵のことを話題に出されるのを露骨に嫌がる。
それなのにダミアンは執務机に寄り掛かるレンブラントに近づき、膝を折って覗き込むように喋りだす。
その目は、意地悪く輝いている。
「ははっ、敢えて侯爵様のことを伝えないのはレイらしくないけど、変態を否定するところはさすがだね」
「黙れ」
「っていうか、話しちゃえば良いじゃん。レイカールトン侯爵は実はベルの───」
「黙れと言っているのが聞こえないのか?ダミアン」
「……ごめんなさい」
2回目の”黙れ”は縮み上がるほどの殺気が籠められていて、ダミアンはやっと口を閉ざした。
ついでに、そそそっと距離を取るダミアンの首根っこを掴んでやろうかとレンブラントは思った。でも、ダミアンの言うことはお節介ではあるが、もっともなのだ。
レンブラントはレイカールトン侯爵のことをベルに話さないのは、彼の事を良く知らないからではない。むしろ、良く知り過ぎているし、説明を一言で済ますことだってできる。
でも今は、変な意地と矜持とかが邪魔して言いたくない。
「レイカールトン侯爵のことは近いうちに俺からベルに話す。少し気持ちを整理したい。それまでは待ってくれ」
「うん。余計なこと言って……ごめん」
「いや、気にするな」
「じゃあ、お酒飲んでも良い?僕、なんか変な汗かいちゃって喉カラカラなんだ」
「駄目だ。そこの水でも飲んでろ」
「えー」
不満げな声を上げるダミアンにレンブラントは、窓を見ろと顎をしゃくる。
それは声を出すなという意味でもあり、お喋りな性格を自覚しているダミアンは、口を手のひらで覆ってそっと窓辺に近付くと視線を下に落とした。
「あーあ……作戦失敗ですね。レイ隊長」
小声で詰られても、レンブラントの表情は変わらない。
「いや、そうでもない。予想より数が少ない。これは万が一に備えてって感じで適当な人数をこちらに回しただけだろう」
「なるほどねぇー。ラルク君の女装が無駄にはならなくって良かった良かった」
「良くはないだろう。アイツの女装スキルが足りなかった結果だ。及第点はあげられないな」
「レイ隊長は厳しいねー」
声を潜めて会話をする二人の視線の先には、十数人の男の人影が複数うごめいていた。わざわざ捕らえて身元を確認する必要はない。これらは全てクルスが金で雇った手練れだ。
レンブラントがイマナの宿屋でラルク達に伝えた作戦は、至極単純なものだった。
女装したラルクをベルと思い込ませて、軍管轄の宿屋に誘い込んで迎え撃つ。そしてクルトを捕縛して、尋問と言う名の拷問にかけて全てを白状させる、以上。
もちろんベルに扮したラルク達がいる宿は軍管轄だが、一部の軍人しか知らないこと。
ただ伝令に特化した兵も常駐しており、何かあればここに連絡が届く算段だった。だからレンブラントは伝令を待ちつつ、ダミアンとロヴィーと共にベルを護衛すればよかった。
でもこれは机上の空論で、事態は急転してしまった。
コメント
1件
お疲れ様です〜!第47話読みました!✨ レンブラントが「俺からベルに話す」って言うところ、めっちゃグッときました…!複雑な事情を抱えてるのに、ちゃんと向き合おうとしてるのが伝わってくる🥺💕 絶対話したくないけど話さなきゃって葛藤がダミアンとの会話からにじみ出てて、エモすぎる…! 作戦が思惑通りにいかない展開も「次どうなるの!?」って気持ちが止まらない!続きが気になりすぎて夜しか眠れないやつです😭🔥
日暮ミミ♪
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臣桜
48,719
鷹槻れん

1,179
#ハッピーエンド
れもん データ飛んだ人
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