テラーノベル
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「不細工な文だな。」
髭面の編集者が俺の小説をパラパラ読んでそう言った。いや、彼が言った訳ではない。彼の目が、彼の退屈そうな顔が、そう語っていた。
「まず文が下手。君ちゃんと小説読んでる?文法がめちゃくちゃなんだけど。それに説明が長い。くどい。展開もとっちらかっているわりにどのエピソードも並以下。結局君はこの作品で何が言いたいわけ?」
彼の言葉を私のカス脳がそう翻訳する。
私はそれに言い返すこともできず
「はい、はい……すみません。」
と頭を下げる。
屈辱だ。また赤っ恥を書いた。
何か月も考えて書き上げた作品が絶望するほどつまらなかった。
こんなのよくある話だ。
きっと恥知らずじゃなきゃ作家になんかなれないのだろう。
本棚や、図書館や、ネットの中にこれほどの傑作があるというのに、誰が私みたいなカスの小説を読もうと思うのだろうか。
恥ずかしい、恥ずかしい、恥ずかしい。
面白い話が書けるようになりたい。
夕飯のレバニラを食べながら心の声が私に語りかける。
(もうやめなよ。時間の無駄だよ。)
うるせぇ、私はこれからなんだ。
(君より若くて面白い小説書く人世の中にいっぱいいるよ?)
うるせぇ、知るか。私にはこれしかないんだ。
(何にも人並みに出来ない癖に頼りの小説も人並み以下。 哀れを通り越して滑稽だね。)
うるせぇんだよ心の声風情が。私がいないと何もできないくせにでしゃばってくるな。
せめて夕飯だけはまともに食わせろよ。
せっかくのレバニラが台無しじゃないか。
(数字を見なよ。現実を見なよ。創作活動を現実逃避のダシに使うなよ。)
……くそっ、なんで現実から逃げたくて創作活動をしてるのに創作活動でも現実を見ないといけないんだ。
(君の小説なんてだーれも褒めやしなよ。だってつまらないもん。 自分が一番分かってるんでしょ。)
……AIは褒めてくれたもん。
(あのねぇ。AIは基本都合のいいことしか言わないんだよ。 君みたいなカスの小説をまるで傑作みたいにほめそやすんだから大したアルゴリズムだよ。)
腹が立ったのでゴミ捨てついでに散歩をすることにした。
人生は燃えるゴミと違って週二で捨てられない。
私だって何もしてないわけじゃない。本を読んだりネットで調べたりして勉強している。
私の努力は無駄なのか?
私の創作は無意味なのか?
どうして私の小説はこんなにショボいんだ。
張り詰めた顔をしていたらゴミを捨てに来た老人と鉢合わせする。
へつらったような笑みで会釈をする。
老人が去った後燃えるゴミの袋を雑に奥の方へ投げた。
家に帰りPCを開く。PCのフォルダには現在書いている小説と書き溜めた小説のストックが燃えるゴミみたいに積み上がっている。
(もうやめなよ。時間の無駄だよ。)
心の声がずっとうるさい。お願いだから黙ってくれないかな。
私は今日も恥をかく。私は今日も恥を書く。
やれるだけやってみようと思う。
やれるだけやって全部駄目だったらそれはそれでいい。
自分の人生が不正解だったと証明できるだけだ。
#日記
はるちよ
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空音
コメント
1件
あー、もうめっちゃ分かる……😭💔 編集者の無言の圧力とか心の声の「もうやめなよ」連打、創作してる人なら一度は味わったことあるやつだよね。でも「やれるだけやって全部駄目だったらそれでいい」って開き直ったラスト、めっちゃカッコよかった!! レバニラ食いながら自分と闘ってる姿にグッときたよ🥺✨ 恥を“書く”って言葉遊びも好き。次も読むね! がんばれ主人公🔥