TellerNovel

テラーノベル

アプリでサクサク楽しめる

テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する


「奈美っ……!」


やっと……やっと…………豪の想いが通じた瞬間だった。


泣き腫らした顔を彼の胸に埋め、安心したのか、嗚咽おえつしながら雫を溢れさせ、豪の胸板を濡らしている。


濃茶の髪と背中を撫で、彼女の心と身体が落ち着くまで、腕の中に包み込んだ。


豪と奈美が、互いに同じ気持ちを抱いていた事に驚いたが、愛おしい女と想いが通じ合った嬉しさが大きい。


セックスなしのエロい関係から始まった二人が、本当の恋人になるなんて、思いもしなかった。


「豪さ……ん……」


落ち着きを取り戻した奈美が、彼を見上げた。


「どうした?」


「私……」


豪が、彼女の顔を伺い見ると、涙の痕跡を残したまま、はにかみながら笑みを映し出す。


「…………嬉しい……」


「俺も……」


紅潮した彼女の頬に手を添えて、豪は、そっと唇を重ねた。




甘く食み、時に啄むように、何度も唇を重ねていく。


彼女の唇を堪能した後、彼は、焦らすように唇を離した。


「もしかしたら、豪さんと会うのは…………これが最後かもしれないって……思ってたから……」


「俺は、この関係が終わっても、奈美とは一緒にいたいと思ってたけどな」


桜色に染まっている彼女の頬にキスをした後、小さな肩に両手を添える。


「奈美は覚えてないか? いつだか俺が『次に彼女ができたら、ものすごい一途になると思う。きっと溺愛してしまう』って言った事……」


「……覚えて…………ます……」


「あと、奈美もこんな事言ってたな」


揶揄いながら、ニヤリと笑う豪。


ニヤリどころか、彼は嬉しさのあまり、破顔しそうになるのを堪える。


「え? 私……?」


「忘れたか? 君は俺に『次に彼になった人は私が好き過ぎて、嵌ってしまうような気がする。自分が怖くなるくらいに、ドロドロに堕ちて……』って言ったんだ」


「…………」


彼女は思い出したようで、過去の発言に、顔を真っ赤にしながら俯いた。

loading

この作品はいかがでしたか?

13

loading
チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚