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#【推しの子】
#SAKAMOTODAYS
おとうふ 紹介文読んで🙇
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りな
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(※神城玲奈視点)
高橋陽向は失敗した。
私の吹き込んだ毒に踊らされ、ナイフを落とし、美裕ちゃんのあの眩しすぎる「正論」と「強さ」の前に泣き崩れて膝をついた。
惨めで、無様で、哀れな光の信者。
でも……違ったんだ。
間違っていたのは、高橋陽向なんかじゃない。私だ。
他人に美裕ちゃんを壊させようとした、私がいけなかったんだ。
「あはっ……ふふ、ふふふふっ……」
鏡の前の暗闇で、私は一人、口元を吊り上げて笑った。
テレビのニュースでは、映画『月華のアルテミス』の完成披露試写会の映像が流れている。
スクリーンから飛び出してきたような美しい銀髪の騎士服を纏い、原作者の神楽坂先生と笑顔で固い握手を交わす美裕ちゃん。
世間はもう、美裕ちゃんを「ただのアイドル」とも「トランスジェンダーの異端」とも見ていない。
二次元の壁すら壊し、どんな悪意も闇も泥も全部自分の「光」に変えて呑み込んでしまう、完璧で、無敵で、美しすぎる唯一無二の表現者——神様。
あぁ……美裕ちゃん。
どうしてそんなに強くなっちゃったの?
どうして私の用意した毒まで、全部呑み込んで綺麗な光に変えちゃうの?
私がどれだけ暗闇を用意しても、美裕ちゃんはその暗闇を背景にして、もっと眩しく輝いちゃう。
だったら——もう、これしかないじゃない。
私はデスクの引き出しから、ひとつの革ケースを取り出した。
パチン、と金具を外して中身を取り出す。
静かな闇の中で鈍い銀色の光を放つ、美しく研ぎ澄まされた**一振りのナイフ**。
地下アイドル時代、私を狂愛したファンが私に向け、そして私が奪い取った、私の過去の「惨劇」そのもの。
「他人に任せちゃダメだったんだよ……。美裕ちゃんを壊して、永遠にできるのは……美裕ちゃんを一番愛してる、私だけなんだから」
ナイフの冷たい刃に、そっと自分の唇を寄せ、口づけを落とす。
美裕ちゃんは言ったよね。
「私は壊れない。苦しみも全部歌に変えて、ステージの上で光になる」って。
「玲奈ちゃんの抱える深い暗闇も、全部受け止める」って。
だったら……受け止めてよ。
このナイフごと、私の命ごと、全部受け止めてよ。
来週開催される、C小町結成以来最大の単独武道館ライブ。
超満員の観客の黄色い声援、激しく揺れるペンライトの海、最高潮の熱気の中で放たれる、C小町ラストの表題曲『変態的(ルビ:キラー)な純愛』。
その曲のクライマックス、私が美裕ちゃんの後ろから躍り出る、あの激しいソロパート。
フォーメーションの隙を突いて、私はこのナイフを、美裕ちゃんの胸の真ん中に突き立てる。
美裕ちゃんの綺麗な衣装が、鮮やかな赤で染まる。
絶叫する観客、悲鳴を上げる灯ちゃんと沙也加ちゃん、蒼白になる黒岩Pとお兄さん。
その狂乱の絶頂の中で——私は、自分の喉元にも同じナイフを突き立てて、倒れる美裕ちゃんの上に重なるの。
(あぁ……なんて綺麗なシナリオなんだろう)
想像するだけで、全身の血が逆流するような愛おしさに身体が震える。
生きていたら、美裕ちゃんはどんどん大人になって、もっと遠くへ行っちゃう。
世界中の人に愛されて、いつか私のことなんて忘れて、「過去にいた可哀想なメンバー」として思い出にするんでしょう?
そんなの絶対許さない。
死んじゃえばいいんだよ。
私の手で、一番綺麗で、一番輝いている瞬間に命を絶ってあげれば……美裕ちゃんは永遠に「未完の天才アイドル・榊美裕」として歴史に刻まれる。
そして世間は、一生語り継ぐんだ。
「榊美裕を刺して、自らも命を絶った神城玲奈」という伝説を。
私と美裕ちゃんは、死によって永遠に離れられない「ひとつ」になる。
灯ちゃんも、沙也加ちゃんも、B小町の星野ルビーも……誰ひとりとして、私たちの間に割り込むことはできない。
「待っててね、美裕ちゃん」
私はナイフを胸に抱きしめ、うっとりと目を閉じた。
「武道館のステージで……世界で一番綺麗で、世界で一番残酷な『純愛』を、完成させようね」
漆黒の部屋に、狂おしい少女の笑い声だけが、いつまでも静かに響き続けていた。
コメント
1件
玲奈さんの視点、読んでいて背筋が凍りました…。でも、単なる狂人として描かれていないのがすごくて。彼女なりの歪んだ真っ直ぐな愛が、ナイフに口づけするシーンにぎゅっと詰まってる。「美裕ちゃんを壊せるのは私だけ」っていう執着が、美裕ちゃんの眩しさの裏返しだと思うと切なくもなります。武道館で何が起きるのか、次の話が気になって仕方ないです…!