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#【推しの子】
#SAKAMOTODAYS
おとうふ 紹介文読んで🙇
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りな
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地鳴りのような歓声と、果てなく広がるペンライトの海。C小町初の単独武道館ライブは、間違いなく私たちの到達点であり、芸能界の歴史が塗り替わる瞬間だった。
『月華のアルテミス』の映画大ヒット、短編映画の世界的評価、そして2.5次元舞台での衝撃。すべてを背負って立ったステージで、私は『榊美裕』という命を、光を、全力で燃やし尽くしていた。
「——ラスト! 『変態的(ルビ:キラー)な純愛』!!」
私の叫びに、客席から爆発的な歓声が上がる。
ステージが漆黒と深紅の照明に染まり、高梨冴子さんが手掛けた歪で重厚なイントロが響き渡る。
灯ちゃんの圧倒的なキレのあるダンス。沙也加ちゃんの弾けるような完璧なアイドルスマイル。
そして——私のハイトーンボイスが武道館の天井を突き抜ける。
曲はクライマックスへ。
フォーメーションが入れ替わり、私の後ろから、音もなく神城玲奈が躍り出た。
(……来る)
背筋に走る、氷のように冷たい殺気。
前世の記憶も、トランスジェンダーとしての苦悩も、今この瞬間のためにあったのだと直感が告げていた。
フォーメーションの隙、照明が暗転し、スポットライトが私と玲奈の二人だけを射抜いたコンマ数秒の間。
「——美裕ちゃん、永遠になろうね」
耳元で聞こえた、狂おしく甘い囁き。
視界の端で、銀色の刃が鋭い光を反射した。
衣装の袖から滑り出た一振りのナイフ。
玲奈は瞳から光を完全に消し去り、うっとりとした歪な笑みを浮かべながら、私の胸の真ん中を目指してナイフを突き出してきた。
観客の黄色い声援が、一瞬で悲鳴へと変わる。
袖で見守っていた康弘の「美裕——っ!!」という絶叫が聞こえた。
逃げるか? 避けるか?
違う。逃げたら、私は玲奈の思い描く『悲劇のヒロイン』にされてしまう。
この狂気を受け止め、ステージの上で勝ち誇ることこそが、アイドル・榊美裕の存在証明だ!
**ザシュッ……!**
「——っ!?」
冷たい刃が、私の左肩を深く抉った。
衣装の白い布地が一瞬で鮮血に染まり、熱い痛みが全身を駆け巡る。
けれど、私は倒れなかった。
悲鳴ひとつ上げず、血を流しながら——私は左手で、玲奈のナイフを握りしめる彼女の手首を、折れんばかりの力で強く掴み取った。
「な……に……?」
玲奈の瞳に、初めて狼狽と激しい混乱が走る。
自分ごと胸を刺され、二人で血の海に倒れ伏すはずだった『完璧なシナリオ』が、私の圧倒的な力によって力任せに拒絶されたからだ。
「……甘いよ、玲奈ちゃん」
私は左肩から血を流しながら、右手に持ったマイクを口元に寄せた。
激痛に顔を歪めるどころか、世界で一番凛とした、圧倒的な笑みを浮かべて見せた。
「言ったでしょ……? 私は壊れない。誰かの身勝手な『死』や『トラウマ』の道具になんて、絶対になってあげない!」
マイクを通した私の声が、武道館全体に響き渡る。
「私の命も、この傷も、流れる血すらも……全部私だけのもの! あなたの歪んだ愛なんかに、私の人生を終わらせてたまるか!!」
「嫌……嫌ぁあぁっ!!」
玲奈が狂乱の悲鳴を上げる。
「死んでよ! 刺されてよ! 私と一緒に落ちてよ美裕ちゃん!! 綺麗なまま死んでくれないと、美裕ちゃんが遠くに行っちゃうじゃないぁぁぁっ!!」
「行かないよ!!」
私は掴んだ玲奈の手を強引に引き寄せ、そのまま彼女を強く抱きしめた。
「遠くになんか行かない! 私はこの泥塗れの芸能界で、生きて、生きて、生き抜いて、あなたに見せつけてあげる! 生きていることの凄まじさと、本物のアイドルの輝きを!!」
血に染まった衣装のまま、私は泣き叫ぶ玲奈を抱きしめ、マイクに向かって絶唱した。
サビのラストフレーズ。
灯ちゃんと沙也加ちゃんが涙を流しながら駆け寄り、私の両脇を固めて歌を重ねる。
血と、汗と、涙と、狂気。
演出を超えた『生の惨劇』を、私たちは圧倒的なパフォーマンスで『伝説のステージ』へと力技で昇華させてみせた。
曲が終わると同時に、暗転。
静まり返る武道館。
そして次の瞬間——地鳴りのような、割れんばかりの雷鳴のような歓声と拍手が、館内を包み込んだ!!
**【舞台裏:緊急搬送される救急車の中】**
「美裕! 美裕!! しっかりしろ!」
狂ったように叫びながら私の手を握る康弘。
肩の傷は深かったけれど、命に別状はなかった。
警察に連行されていく玲奈ちゃんは、パトカーに乗る直前、血に染まった私を振り返った。
その瞳からは狂気が抜け落ち、ただの「光を恐れる傷ついた少女」の顔に戻っていた。
『……美裕ちゃん……私……私……』
声にはならなかった彼女の唇の動き。
私は痛む体に鞭打ち、酸素マスク越しに、微かに口元を緩めて見せた。
(待ってるよ、玲奈ちゃん)
罪を償い、その壊れた心が少しでも癒えたなら。
私はいつでも、ステージの上で待っている。
ネットやテレビのニュースは、武道館での『襲撃事件を神対応と圧巻のパフォーマンスでねじ伏せた奇跡のアイドル・榊美裕』の話題で一色となった。
B小町のルビーから届いた『美裕ちゃん、生きててよかった……っ! 本当にかっこよかったよ!』という泣き顔のスタンプ。
黒川あかねちゃんからの『あなたのあの瞬間の演技……ううん、生の生存本能、凄まじかったわ』という絶賛のメッセージ。
前世で憧れていた『推しの子』の世界。
私は死の危機すらも踏み越えて、ついに誰にも奪えない『唯一無二の光』となったのだ。
「ふふ……痛いな」
病室のベッドで空を見上げながら、私は一人、静かに笑った。
男として生まれ、美裕として生き、泥を呑み、血を流し、それでも掴み取ったこの輝き。
私のアイドルとしての物語は、ここからさらに、誰も見たことのない未来へと続いていく。
コメント
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第21話、痺れました……! 武道館の狂気と美しさが、血と声と光で詰まっていて、読んでいる間ずっと息が止まりそうでした。特に、玲奈の刃を受け止めながら「行かないよ」と抱きしめる美裕ちゃんの、強さと優しさが混ざったあの瞬間が、本当に心に残っています。生きることを選択し、ステージを自らの物語に変える姿、とても格好良かったです。続き、気になりますね……!