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る る あ ︵ ︵ 🌈🍑
かんすい
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SUVから荷物を積み替える。 「先輩、これ……」 「親父の趣味だ。たまにはこういう落ち着いた車もいいだろ。……乗り心地、試してみろ」 ドアを閉めると、外の世界の喧騒が嘘のように消えた。滑り出すような加速、柔らかな革のシート。SUVの力強さとは違う、大人の余裕が車内に満ちる。
碓氷峠を越え、霧の立ち込める軽井沢の森へ。 観光客で賑わう旧軽銀座を素通りし、先輩はさらに奥、木立に囲まれた静かなプライベート別荘へと車を滑り込ませた。 「ここは……?」 「一族で持ってる別荘だ。この時期は誰もいない。……今日は外食はやめて、ここで二人だけで食おう」
食: 地元の高級スーパー**『佐藤(サトウ)』**で買い込んだ、信州プレミアム牛のサーロインと、朝採れの高原野菜。
シーン: キッチンに立つ先輩。ワイシャツの袖を捲り上げ、手際よく肉を焼く姿は、レストランのシェフより様になっている。 「お前は座ってろ。……ほら、まずはこの冷えた長野シードルを飲んでろ」
テラスに並べられた、先輩お手製のディナー。
味覚: 炭火でじっくり火を通した牛肉は、噛むほどに甘い脂が溶け出し、クレソンの苦味がそれを引き立てる。
シーン: 「……美味いか?」 「はい。……お店で食べるより、ずっと贅沢な気がします」 「当たり前だろ。お前のために焼いたんだからな」 揺れるキャンドルの炎が、先輩の少し酔ったような、熱を帯びた瞳を照らす。
夜になると、高原の空気は急激に冷え込む。 先輩が暖炉に火を灯すと、パチパチと薪がはぜる音だけが響くリビング。 「……クラウン、静かだったろ」 後ろから包み込まれるように抱き寄せられ、耳元で低く囁かれる。
「……はい。先輩の鼓動が聞こえるくらい、静かでした」 「……じゃあ、今度はもっと近くで聞かせてやる」
重厚なクラウンの走りとは対照的に、先輩の愛撫は激しく、独占欲に満ちていた。 広いリビングのソファ、暖炉の灯りに照らされた二人の影が重なり合う。 実家の家族の前で見せていた「息子」の顔は消え、そこには私を渇望する「男」としての先輩しかいなかった。
翌朝、霧に包まれた森のバルコニーで、淹れたてのコーヒーを二人で。 「……さて。次はどこへ行く? このクラウンなら、どこまででも行ける気がするな」 「……先輩についていくだけで、お腹いっぱいです」 「嘘をつけ。……次は、山を越えて**名古屋の『ひつまぶし』**か? それとも……」