テラーノベル
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#オリジナルストーリー
ナルト大好き👑🤲
「なるほど……まさか、あのヴィルサレム家の一人息子がね……」
俺、モリア・ハンナイトはギルド長であるリーン・ラッカスターにイヴィル・ヴィルサレムの護衛に関して報告をした。
俺の報告にギルド長であるリーンは興味津々のご様子だった。
報告といっても、今回は俺がダンジョンを制覇したことになってしまったことを除いては、俺が見たままを報告した。
A級ダンジョンのボスを軽々と倒したこと。
その後に変質ダンジョン化が起きてなお、冷静でいたこと。
それどころか、変質ダンジョンのボスであるドラゴンを倒してしまったこと。
それも全て最弱と言われている闇魔法で。
「それにドラゴンか……。本当に実在したんだね。僕もてっきり御伽話の存在かと思っていたよ。そうなると、ドラゴンの討伐は300年前のギルド設立以来か。まぁ、今回はドラゴンなんていなかったことになっているけれど」
リーンはそう言いながら楽しそうに笑みを浮かべている。
リーンの言いたいことは分かる。
俺も実際にこの目でドラゴンを見るまでは御伽話の存在かと思っていたから。
「君自身からの報告だけど……モリアはどう思った? 直接イヴィル・ヴィルサレムの実力を見たのだろう?」
リーンは俺に尋ねる。
イヴィル様は見た目は10才ほどの子供だろうに、振る舞いや雰囲気からはまったく見えない。
ただ……実際にこの目で見たドラゴンは圧倒的な威圧感を含めて、絶望そのものだと感じた。
この期に置いて、自分で思うのも恥ずかしいが俺にもそれなりのキャリアがある自負していた。
王国内でも数少ないA級の高見まで登り、心のどこかで実力者だと高を括っていた。A級のダンジョンのモンスターであれば護衛くらい問題ないと。
だが、実際はどうだ?
ボスを軽々と倒す少年に圧倒された。
ドラゴンを目の前にした俺は恐怖で動けなかったのに対して、イヴィル様は一人で倒してしまった。
しかもイヴィルは言わずもだが、一緒にいたメイドのアンナもおかしい。
俺がドラゴンに絶望している中、メイドのアンナは《《普段通りと言わんばかりに》》お茶の用意をしていた。
つまり歴戦錬磨の俺だけが動けなかったのだ。
明らかに異質な光景だと言わざろう得ない。
それを踏まえて、俺はリーンの問いに答える。
「正直に言えば底が見えないと思いましたよ。リーンさんの実力も底が見えないですが……イヴィル様はなんというか……底があるすら疑ってしまうほどでしたよ」
「ふーん。底ねぇ」
イヴィル様はドラゴンを見つけることはおろか、倒してしまったのだ。
本来であれば王国史……いや、人類史に残る偉業と言っても差し支えない。
それなのに、イヴィル様はひたむきにその実績を隠そうとする。
故に文字通り底が見えない。
実力的な意味でも。彼自身が見据えているモノも。
「リーンさん……アンタならドラゴンを倒せますかね? かつて単独でS級の冒険者まで登り詰めたアンタなら……」
俺にとってリーンは希望そのものだ。
S級相当の変質したダンジョンを一人で攻略しただけではない。
ダンジョンの外でもモンスターや災害をリーンが一人で解決している。
故にリーンは歴代のギルドの中でも屈指の実力者。
少なくとも、この王国内では『大魔法使い』や『聖女』としのいで王国内最強と言われている。
だから、俺はリーンの答えに期待していたのだ。
しかし、俺の期待とは裏腹にリーンはさらっと答える。
「さぁね。ドラゴンなんて直接見た訳じゃないから分からないなぁ。ただ僕が当時のS級モンスターを倒せたのは運も大きかったからね」
俺はリーンの回答に心の中で落胆した。
つまり確証はないということだろう。
リーンは運というが、その運を掴むのも実力がなければ運があったとしても手に入れることはない。
もちろん、ギルド長の実力を疑っている訳ではない。
少なくとも、俺よりも実力のある強者だ。
だが、イヴィル・ヴィルサレムは違った。
あのドラゴン相手に退屈していたのだ。
これじゃあ、イヴィルとドラゴンが御伽話か分かったもんじゃない。
なんてことを思っていると、
「しかしなぁ……僕、興味出てきちゃったよ」
リーンは無邪気な少年のように目を輝かせて言う。
あっ……なんだか嫌な予感がする。
「君が言うには闇魔法しか使わずに倒したのだろう? 俺達は闇魔法のことを攻撃力の劣る最弱な魔法だと思い込んでいた。だけどイヴィル君は最弱の魔法でS級モンスターを倒したんだろう? いやぁ……どうやったんだろう。本当に気になるなぁ」
リーンはウキウキした様子で言う。
「いや、気になるのは理解できますが……」
俺は嫌な予感に従って、リーンを止めようとするが、
「よし! ちょっとイヴィル君に会いに行こう!」
リーンはやる気に満ち溢れている。
「待って下さい! 今回、イヴィル様はお忍びという形でご依頼を受けています! おおっぴらにやってしまえば……」
「大丈夫大丈夫! 今回はお礼という形にしちゃえば問題ないって! これでもギルド長だよ? やりようは色々あるって!」
「いやいや、相手は公爵の令息……大貴族の一人息子ですよ!? 失礼があったら大問題ですって!」
「まぁまぁ……そこは信頼してよ。きっと、イヴィル君も喜んでくれるからさ」
「本当ですかね……?」
「本当、本当」
正直、まったく信じていない。
とはいえ、リーンがこうなってしまえば、俺に止める術がないのも事実。
「はぁ……せめて俺も同行します。いいですね?」
「あ、あれ? ひょっとして僕って信頼ない感じ?」
リーンは涙目で言う。
泣きたいのは俺の方だが……こうなっては仕方ない。
もはや俺には穏便に済むことを祈るしかないのであった。
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