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海洋高校−物語は波のように−

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海洋高校−物語は波のように−

10 - 第7話「“海に行けない”って、だめですか?」

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2025年08月03日

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第7話「“海に行けない”って、だめですか?」

登場人物:クク=ミール(草食・冷属性・1年)





クク=ミールは、肌の薄い少年だった。

薄いというより、光の反射を弾くような冷たい銀。

髪は氷の欠片のように細く、前髪が片目を覆っている。

制服の襟には、冷属の薄い温度板。誰かとぶつかると、すぐ青白く光った。

彼は“海に入れない生徒”の一人だった。





原因は、ソルソ反応性アレルギー。

正確には、食事に使われる海藻の一部と、特定の波圧で構成される環境で呼吸困難を起こす。





「海食祭、ことしも出ないの?」


声をかけたのは、波属性の少女ナミエ=コモリ。

小さな体に料理部のエプロン、胸元に自作の海藻バッジをつけている。

波を調理するのが得意で、共鳴レシピの開発にも関わっている。





「うん。入れないし、食べられないし……」

「じゃあ、“海じゃない”レシピ、つくってみない?」

「そんなの、意味ある?」

「あるよ。だって、あなたの波も、ここにあるから。」





ナミエは、共鳴失敗のレシピノートを開いた。

中には、あたたかいけれど泡立たないスープや、海藻なしの塩分ゼリーなど、“波を立てない料理”ばかりだった。

それを、ククの目の前に置いてこう言った。


「どんな波でも、共鳴しないってだけで、“ゼロ”じゃない。

それは、**“外に開かない波”なんだと思う」」





その夜、寮の海側の廊下。

ククは海に背を向けて、そっとゼリーを口に入れた。


冷たい、でも溶ける。

舌の奥に、小さな“塩の音”があった。





“海に行けない”って、だめですか?

そう書かれた波域手帳のページの端に、

小さくこう返事が書かれていた。


「いいえ。あなたの海は、ちゃんとここにある」





ククは、まだ海には行けない。

でもその夜、“波の音がする方向”を、少しだけ見てみようと思った。




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