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番組タイトルは『有馬の部屋』。
若手実力派女優・有馬かながMCを務めるトークバラエティ番組だ。番組のコンセプトは「有馬かなが今一番気に食わない、あるいは一番引っかかっている芸能人を呼び出し、本音で問い詰める」という、なかなか毒の強いトーク番組だった。
「——さあ、本日のゲストは、今ネットやSNSを一番騒がせているあのグループのセンターです。どうぞ!」
スタジオの照明が切り替わり、有馬かなの声が響く。
観客席から拍手と、どこか固唾をのむような緊張感が伝わってきた。
「よろしくお願いします。C小町の榊美裕です」
私はカメラに向かって深々とお辞儀をし、ゲスト用のセットのソファーに腰掛けた。
向かい側に座る有馬かなは、セットの肘掛けに肘をつき、足組みをしながら不敵で鋭い視線をこちらに向けている。
「はい、いらっしゃい。……正直言わせてもらうけど、今日の企画を出された時、私マネージャーに『なんで私がC小町の子と喋んなきゃいけないの?』って言ったからね」
開口一番のジャブ。観客席から「おお〜」と小さな歓声と苦笑いが漏れる。
前世で何度も見た、有馬かなのキレのあるトーク展開だ。だけど、テレビの前の視聴者も観客も知らない。彼女のその毒が、本気でエンタメを愛しているからこその「プロの試練」だということを。
「光栄です、有馬さんに『気に食わない』って思っていただけるなんて。それだけ私たちの存在が、有馬さんの視界に入ってるってことですから」
「ふん、相変わらず口だけは達者ね」
有馬かなはフッと鼻を鳴らし、手元のフリップを弄った。
「私が気に食わない理由はシンプルよ。第一に、B小町のあおりで『C小町』なんて名前を使ったこと。第二に、トランスジェンダーっていう強烈なバックボーンを前面に出してバズを狙ってること。……芸能界ってね、話題性だけで一瞬バズる奴なんてごまんといるの。でも、残るのは『本物』だけ。あんたたちのやってること、ただの炎上商法じゃないの?」
カメラが私のアップになる。
楽屋袖でハラハラしながら見守る兄・康弘の姿が視界の端に入った。
逃げちゃ駄目だ。ここで「そんなことないです〜」とアイドルらしく可愛く流したら、有馬かなにも、画面の向こうの視聴者にも見限られる。
「炎上商法と言われても、否定はしません」
私の返答に、スタジオが一瞬静まり返った。有馬かなも、僅かに眉をひそめる。
「B小町という偉大な名前をお借りしたのも、自分の性別や過去を明かしたのも、全部『見てもらうため』の手札です。存在を知ってもらえなきゃ、どんなに良いパフォーマンスをしたってゼロと同じですから」
私はまっすぐに有馬かなの目を見つめた。
「でも——それだけで生き残れるほど、この世界が甘くないことも分かっています。話題性でドアを叩いて、開いたドアの先で『本物の歌とダンス』を叩きつけて黙らせる。それが私の……C小町のやり方です」
有馬かなはしばらく私を凝視していたが、やがてソファーの背もたれに深く体を預けた。
「……ハッ、生意気。でもね、言っておくけど、B小町のファンは甘くないわよ。ルビーやMEMちょ、それに私が積み上げてきたものの上に安易に乗っかられたら、腹を立てるファンだっている。それについてはどう思ってるの?」
「怒られて当然だと思います」
私は迷わずに答えた。
「だからこそ、私たちはB小町の『真似』は絶対にしません。B小町が王道の『輝きと愛』なら、C小町は泥の中から立ち上がる『異端と覚悟』です。B小町を好きでいてくれる人たちに『C小町もやるじゃん』って認めさせるまで、私は泥をすすってでも踊り続けます」
一息に言い切った私の言葉に、スタジオ全体がしんと静まり返った。
有馬かなは目を見開き、私をじっと見つめていたが——ふっと、毒気の抜けたような、けれどどこか嬉しそうな呆れ顔を浮かべた。
「……ホント、ルビー並みに頑固で可愛げがないわね」
観客席からドッと笑いが起きる。
「いいわ。今日のトーク、満点とは言わないけど……不合格でもない。次に会うのはバラエティのスタジオじゃなくて、音楽番組のステージの上よ。その時に口だけだったら、本気で潰すから」
「はい! 楽しみにしています、重宝……あ、有馬さん!」
「ちょっと、今何て言おうとした!?」
スタジオに大きな笑い声が弾けた。
カメラが引き、番組のエンディングへと向かっていく。
カットがかかった瞬間、有馬かなはフンと横を向きながらも、「……あーあ、また面倒な後輩が増えた」と小さく呟いて楽屋へ戻っていった。
その背中を見送りながら、私は胸の内で強く拳を握りしめた。
認めさせた。第一歩だ。
この狂った芸能界で、私は絶対に通し切ってみせる。
前世の自分が憧れた、誰よりも眩しく輝く「本物のアイドル」としての生き様を。
コメント
1件
あーもう第8話めっちゃ熱かった……!!😭💕💕 有馬かなの毒舌トーク、読んでるこっちまで緊張したけど、榊美裕がまったくひるまずに「炎上商法です」って認めた上で「本物で黙らせる」って言い切るシーン、マジでカッコよすぎる!!✨ 「泥をすすってでも踊り続ける」って台詞にめっちゃグッときたよ…。有馬かなの「ルビー並みに頑固」ってツッコミも絶妙で、最後の“重宝(?)”な言い間違いで笑いまでとってくるの、キュルノさんのキャラ書きほんと上手い🥺🎀 次は音楽番組のステージだって! もう楽しみでしかない……!🔥
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#【推しの子】
#SAKAMOTODAYS
おとうふ 紹介文読んで🙇
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りな
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