テラーノベル
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「——えっ、本当に……!? あの大手コスメブランドから!?」
事務所の会議室で、向井沙也加の甲高い悲鳴が響き渡った。
「落ち着きなさい沙也加。まだ契約前よ」
そう言いながらも、プロデューサーの黒岩Pの口元は緩んでいる。彼女がテーブルの上にドンと提示したのは、誰もが知る有名コスメブランド『LUMINA(ルミナ)』の新作リップ&ベースメイクのCM出演オファーだった。
「すごいじゃない、C小町!」
マネージャーの康弘が、興奮気味に資料をめくる。
「しかもWEB CMだけじゃなくて、地上波の全国放送CM枠だって! 同時にCMソングとして、冴子の作った『変態的(ルビ:キラー)な純愛』をタイアップ起用したいって言われてる!」
「……へぇ。あの堅物なブランドが、私みたいなボカロPの曲を使うなんてね」
部屋の隅でゲーム機を弄っていた高梨冴子が、フッと口元を歪めた。
「理由はシンプルよ」
黒岩Pが煙草(未点火)を指で挟みながら説明をつなぐ。
「今回のLUMINAの新コンセプトは『固定概念を打ち破る、私だけの美しさ』。まさに、天才読者モデルの灯、ビジュアルおたくの沙也加、そしてトランスジェンダー女優である美裕……あんたたちC小町の存在そのものが、ブランドのメッセージにドンピシャでハマったのよ」
「……私のビジュアルが、ついに全国区のCMで放映されるわけね」
宵闇灯がアンニュイな笑みを浮かべながら、手元のリップを見つめる。
「美裕ちゃん……! 私、美裕ちゃんと一緒に化粧品のCMに出られるなんて夢みたいです!!」
沙也加が目をウルウルさせながら私に抱きついてきた。
「沙也加、苦しいって……!」
苦笑しながらも、私の胸の奥は熱い高揚感で満たされていた。
CM出演——それは、前世の私が画面の向こうの芸能人たちを羨望の眼差しで見つめるだけだった、もうひとつの「憧れの世界」だ。それが今、この手の中に届こうとしている。
**【撮影当日:都内スタジオ】**
スタジオには大型の照明セットが組み上げられ、何十人ものスタッフが行き交う独特の緊張感が漂っていた。
「本日のセット、入りまーす!」
監督の合図で、私たちはカメラの前に立った。
今回のCM演出は非常にドラマチックだ。
最初は三人それぞれが暗闇の中で「自分らしさ」に迷い、葛藤する表情。そこからLUMINAのコスメを纏うことで、一気に光の差すランウェイへと踏み出し、力強い眼差しでカメラを見つめる——という構成だった。
灯は、モデル経験を存分に活かした圧巻の立ち振る舞いで一発OKを連発。
沙也加も「アイドルとしての完璧な表情作り」を徹底的に追求し、カメラマンから「素晴らしい!」と絶賛されている。
そして、私のソロカットの番がやってきた。
「はい、美裕さん入ります! 演出は『鏡に向かって口紅を塗るカット』からです!」
大きな鏡の前に座る。
照明が落ち、一筋のスポットライトが私と鏡を照らし出した。
(鏡……)
前世、男としての自分の姿を鏡で見るのが、たまらなく嫌だった。
どれだけ服を選んでも、どれだけ髪を整えても、鏡に映るのは「なりたい自分」とは程遠い存在。あの暗闇のような息苦しさ。
監督の声が響く。
「美裕さん、最初は『過去の自分や葛藤』を抱えた切ない表情から、口紅を引く瞬間に『強さ』へ変化させてください! 行きます、3、2、1……ロール、きっかけ!」
私は静かに口紅を手に取り、鏡の中の自分と目を合わせた。
そこには、男としての過去を抱え、傷つき、泥をすすりながらも、自分の生き方を選び取った「榊美裕」がいた。
(私は逃げない。この顔も、この過去も、全部私だけの美しさだ——)
鏡の中の私に向かって、ゆっくりと赤いリップを滑らせる。
唇に鮮やかな紅が差した瞬間、瞳の奥に不屈の『光』を宿し、カメラに向かって強烈な眼差しを放った。
「——誰かの決めた『普通』なんて、いらない」
台本にはない、けれど溢れ出た私の言葉。
「……ッ、カット!!!」
スタジオに監督の叫び声が響き渡った。
一瞬の静寂の後、スタッフたちから大きな拍手が巻き起こる。
「素晴らしい……! 今の表情、完璧です!! 画面から熱量が溢れ出てましたよ!」
「よかった……」
私は安堵の息を吐き、衣装の袖でそっと汗を拭った。
撮影の合間、モニターをチェックしていた黒岩Pと康弘の元へ戻ると、康弘が少し目頭を熱くさせながら微笑んでくれた。
「美裕……すごく綺麗だったぞ。本当だ」
「ありがと、康弘。お兄ちゃんがマネージャーでいてくれてよかった」
その時、スタジオの入口がざわざわと騒がしくなった。
「あ、すみません! 差し入れ持って来ちゃいました〜!」
聞き覚えのある明るい声。
スタジオに現れたのは、なんと**星野ルビー**と**MEMちょ**だった!
「ルビーちゃん!? MEMちょさん!?」沙也加が今日一番の悲鳴を上げる。
「へへ、隣のスタジオで収録だったからさ! C小町がCM撮影してるって聞いて飛んできちゃった!」
MEMちょがスマホを掲げて自撮りポーズを決める。
ルビーは真っ直ぐに私の元へ駆け寄ると、モニターに映る私のカットを指差して目を輝かせた。
「美裕ちゃん! さっきのカット、すっごくかっこよかった!! 自分の魅せ方、どんどん凄くなってない!?」
「ルビーさん……! ありがとうございます」
ルビーはニカッと眩しい笑顔を向け、私の肩をぽんと叩いた。
「このCMが流れたら、また世界が騒がしくなるね! 私たちB小町も、負けてられないな〜!」
「ふふ、絶対に負けませんよ」
私は力強く頷いた。
後日、全国で放送が始まったLUMINAのCMは、SNSで爆発的な話題を呼ぶことになる。
『あの綺麗な子は誰!?』
『C小町の美裕ちゃんだ!』
『性別とか関係なく、美しすぎて鳥肌立った……』
アンチの雑音すらも呑み込んで、私たちはまたひとつ、階段を駆け上がった。
前世で憧れたアイドルの光を、今度は私自身が世界へ届けるために。
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#【推しの子】
#SAKAMOTODAYS
おとうふ 紹介文読んで🙇
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りな
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コメント
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「美裕ちゃんの鏡の前の演技、マジでヤバすぎた…!!😭💄✨」 あの「誰かの決めた『普通』なんて、いらない」って台本にないセリフが飛び出した瞬間、スタジオの空気が変わった感じが文面からビンビン伝わってきたよ…!しかもルビーちゃんとMEMちょも来てくれてC小町推し的には最高の回すぎる…!!「この顔も過去も全部私だけの美しさ」って美裕ちゃんの覚悟、もう胸熱すぎて言葉にならないよ…🔥💕続きが待ちきれない!!