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涼平さんとの出会いで詩帆ちゃんの運気が凄〜く良い方向に上がってて嬉しい😊 そして涼平さんの告白を受けてお付き合いができるのも✨✨😍💞 たくさんの人の輪の中に涼平さんと詩帆ちゃんが良い刺激いただき更に上を目指して向上⤴️してるのがとても素敵〜🌟
歩きながら涼平が言う。。¥ ←これは?
その時パーティーの幹事の男性が声を張り上げる。
「えーみんな揃ったところでそろそろ始めましょうか。皆さん、グラスを持ってお立ち下さい。用意はいいですか? では、優
子さん、お誕生日おめでとうございまーす! カンパーイ!」
あちこちでグラスのぶつかる音が響いた後、皆が飲み物を一口飲む。その後参加者の間からは、ハッピバースデイの歌が始まっ
た。
そこへ大きなケーキが登場し、室内の照明が落とされる。そして歌が終わったところで、優子がケーキのろうそくをフーッ
と吹き消した。
その瞬間、盛大な拍手と「おめでとう」というお祝いの言葉があちこちから飛び交った。
その後は、楽しく談笑したりお酒や料理を楽しんだりと、それぞれが思い思いに過ごした。
涼平に呼ばれた詩帆は、後輩の佐野を紹介された。
佐野は詩帆を見ると言った。
「涼平先輩、こんな綺麗な人をどこで見つけたんっすかー」
と言って涼平を冷やかす。
そんな佐野に向かって、涼平と加納はまた同時に、
「「オマエ絶対に手を出すなよ!」」
と釘を刺したので、その場にいた人達が声を出して笑った。
佐野はその後、綾と意気投合してソファーで楽しそうにお喋りを始めた。
その後も詩帆と早紀と美奈子の三人がお喋りに夢中になっていると、優子がやって来た。
そして詩帆が手にしていた携帯の絵の画像を見せてとせがむ。
詩帆が写真を見せると、優子はその絵を見ながら真剣な顔で詩帆に言った。
「詩帆ちゃん、月曜日の午前中ってお仕事休めないかなぁ?」
いきなり優子がそんな事を言ったので詩帆は驚く。
「月曜日に何かあるのですか?」
すると優子は詩帆にこんな事を話し始める。
実は自分が経営しているフリースクールの美術教師が急に辞める事になったので、代わりの人を探していると言った。
「詩帆ちゃんって、教員免許持ってるの?」
「あ、はい、持ってます」
「それはナイスだわ!」
優子はニコニコと嬉しそうだ。
でも詩帆は教師の実務経験がない。教育実習の時以外は教えた経験がなかった。
「そこは心配しないで。フリースクールなので堅苦しい授業はなしだから。その代わりに生徒の個性を引き出してあげられるよ
うな楽しい授業の方がいいかな」
『生徒の個性を引き出してあげられるような楽しい授業』
詩帆はその言葉に強く惹かれる。
もしそんな授業があるなら、自分だって受けてみたいと思う。
その時詩帆の頭にはこんな言葉が思い浮かんだ。
(もしかしたらこれも自分を変えるチャンスかもしれない!)
そこで詩帆は再び決心する。チャレンジしてみようと。
「わかりました。とりあえず上司に聞いてみて休みを貰えるようだったら、是非やらせていただきます」
その言葉に優子は大喜びした。
そして詩帆に概要を説明する。
授業は月曜日の午前九時から十一時までの二時間で、
もちろん夏休みなどの長期休暇や祝祭日は休みになると詩帆に告げた。
一通りの説明を聞き終わった時、美奈子が言った。
「詩帆ちゃんやったね! 早速道が開けて来たんじゃない?」
「本当! 詩帆ちゃんのその才能を生かさない手はないわよ!」
早紀も少し興奮気味に言う
詩帆はその時自分の周りの環境がグングン変化している事に気付いた。
涼平と出逢った事により、人間関係だけでなく仕事に関してもチャンスが巡って来たのだ。
とにかくその変化のスピードはすさまじい。
詩帆はなぜかワクワクする気持ちを抑えきれなかった。
そして全てが良い方向へ動いているような気がした。
その後、詩帆は早紀とも連絡先を交換した。
時間は既に夜の十時になっていた。
そろそろお開きと言う雰囲気になり、最後に優子が皆に感謝の言葉を述べた。
そして今日集まってくれた人達が、皆仲良く今後もお付き合いを続けてくれると嬉しいと挨拶をしてパーティーはお開きになっ
た。
帰り際、優子は詩帆に名刺を渡した。
「ここに連絡先が書いてあるから、もし教師の件を引き受けられる時は連絡を頂戴ね」
詩帆はわかりましたと返事をする。
それから参加者たちは玄関から外へ出た。
玄関を出た所で、涼平と詩帆は皆に挨拶をして菊田家を後にした。
加納夫妻に挨拶をした時には、加納が詩帆にこう告げた。
「詩帆ちゃん、今度は是非うちにも遊びに来てください」
「はい、ありがとうございます」
詩帆は笑顔で答えると、早紀に手を振って別れた。
そして涼平と並んで歩きアパートへと向かった。
詩帆は近いので送らなくても大丈夫と言ったが、涼平酔い覚ましの散歩がてら送ると言った。
歩きながら涼平が言う。
「早紀さんと、あともう一人は美奈子さんだっけ? 仲良くなれたみたいだね」
「はい。二人ともすごく素敵な方でお友達になれて嬉しいです」
「加納先輩は早紀さんに一目惚れだったんだよ。先輩も独身時代はかなり派手に遊んでいたのに、早紀さんに出逢った途端いき
なりおとなしくなっちゃってさ。今ではすっかり飼い慣らされた猫のようだろう? でも凄く素敵な夫婦なんだ」
「そうですね。なんか見ていてお互いに想い合っている感じがすごく伝わってきます」
それから詩帆は、フリースクールの教師の件を涼平に話した。
「すごいじゃないか! 興味があるなら絶対やった方がいい。チャンスだから」
「はい、私もそう思います。とりあえず職場の上司に聞いてみます」
「うん…やれるといいね」
「はい」
そんな話をしていると、あっという間にアパートの前に着いた。
「近過ぎてゆっくり話をする時間もないね」
涼平はそう言って笑ってから改めて言った。
「今日は、俺の申し出を受けてくれてありがとう」
「あ、はい」
「じゃあ、また! おやすみ!」
涼平は爽やかな笑顔で手を挙げると、踵を返して自宅のある方へと歩いて行った。
詩帆はしばらく涼平を見送った後、アパートの階段を上って行った。
部屋に入ると詩帆は、
「はぁーーー」
とため息をつきながら、ベッドにゴロンと横になった。
そしてクッションを抱き締めながら今日の出来事を思い返していた。
(私、夏樹さんと付き合う事になったんだ)
酔いが醒めてくるにしたがって、それはとても凄い事のように思えた。
それだけじゃない。
美術教師の件もだ。
今日はあまりにも色々な事がいっぺんに起きたので、興奮して寝付けないような気がする。
詩帆はベッドに横になったまま窓の外を見つめる。
ちょうど詩帆の視線の先には、ひときわ明るい一粒の星がキラキラと瞬いていた。