第29話 逃げない決意
健太が振り上げた腕が振り下ろされたとき――石は、子猫のいる方向に飛んで行った。
「!」
遠くから、冬花は白茶ぶち柄の子猫が身を強張らせるのを目撃したが――石は、子猫の右横を通り壁に当たる。
(よかった! 当たらなかった!)
その間に、少しずつ健太の近くまで回り込む冬花。
――以前健太を見たとき、冬花は恐怖を感じていた。
優しい顔つきなのに、目は穴が空いているように虚ろだった少年。
猫である冬花(銀二)を見ても、少しも感情を動かさない。
猫を嫌う人間は確かに存在するが――健太のそれは、そういう次元のものではない。
(なのに、今はこの前とは全然違う……!)
「……っ!」
眉間に皺を寄せ、歯を食いしばって――健太は再び拾った石を投げつけた。
だが石は、今度は左横を通り壁に当たった。
「――なんで」
壁と子猫と、無残に弾けて転がった石を睨み****************************
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