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第9話 知らない一面
駅から出てきた彰人を、猫の姿である冬花はゆっくり追いかける。
(駅は一緒だけど、うちとは反対方向なんだ……)
そんなことを思いながら少しずつ距離詰め――ついに、冬花は彰人の足元近くまで来ていた。
「……っ!」
すると視界に入ったのか――彰人が目を見開いて足を止めた。
「!」
思わず冬花も立ち止まり、足元から彰人を見上げる。
「……」
視線が合うと、彰人はちらりと辺りをうかがう。
帰宅ラッシュも越え、人の波がだいぶ落ち着いた住宅街に、人の姿はまばらだ。
見回した後、彰人はその場に屈む。
「!?」
「……逃げないのか?」
(え、ちょ、近い……!)
予想外の展開に、今の冬花の身体を覆う灰色の毛が逆立ち、しっぽがぼふっと膨らむ。
「……怖がらせたみたいだな」
硬直する冬花を見て、彰人は小さく――少し寂しげな笑みを浮かべた。
(あ……)
彰*********
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