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翠♪(不定期投稿)
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もし前世の記憶を保持したまま生まれ変われるとしたら、どうやって今生を生きていくのだろう。
生まれ変わった街を散策?故郷に訪れる?死んだ場所に行く?思い出の場所に行く?偉大なことを成す?歴史に貢献する?
きっとこれらは、間違いではない。もちろん、これ以外にも選択肢はあるだろう。
「────じゃあ、また来るね」
ただ、今生の名を柄院透、前世の名を────ぺいんととする自分は、未だ過去に囚われ続けている。
「……大変だな、四人分も墓参りだと」
過去────言うなれば前世は、酷い有様で生きてきた。まあ、結局前世は死んだからこうやって生まれ変わってるんだが……なんとも不思議なことに、前世の記憶を保持しているのだ。
ただ、必ずしもいいことではない。
「来月はあいつの墓参りか」
なんてったって、自分の生きてきた前世は────太平洋戦争の真っ只中だったのだから。
……………
『────に告ぐ! ────に、────────方向! ────今すぐ────・・・・・・』
前世の自分────ぺいんとは、友達ともいえるし仲間ともいえる奴らを、三人失った約一ヶ月後に体当たり隊として、敵軍の爆撃機に追突するための操縦席に座った。
操縦は可能だったが、もちろん下手くそではある。けれど、もう自分には何も残っていなかった。
家族も、一番大好きな友達さえも。
『────おい、ぺいんと! お前パラシュートは……』
『つけてないですよ、そんなもの。先輩こそ、なんでつけてるんですか』
だから、死ぬる覚悟はあったし、死ぬ覚悟を決めるまでもなく、確実に死ぬんだろうとわかっていた。
だって、突っ込んだからってパラシュートで降りたとしても、助かる確率は1%にも満たないだろうから。
助手席に座る先輩は、自分の震える拳を握りしめた。
『……死にたいのか』
『いいえ』
『じゃあなんで震えてる?』
『友に会いに行ける喜びですよ』
隣に座る先輩は、困惑しながらもパラシュートを外した。
『いいか、後輩。これは同情じゃない、祈りだよ』
『……』
『────お前が、友達に会いに行けるよう祈る。そのために、この命を犠牲にする』
酷くバカな先輩だと聞いていたが、俺にはそうは思えなかった。
なんと言うか────いい方での、バカな先輩だなと思った。
『もったいない使い方ですね』
『なんとでも言え』
そうして、相手の爆撃機が見えたところで、先輩は椅子にリラックスした状態で、コーヒーを一口飲んだ。
何も言わず、じっと。
きっと、彼にとっての遺言は、俺自身にかけてくれた言葉なのだろう。
────なんともアホらしい。
家族でも恋人でも、愛犬でも愛猫でも、なんでもいいから遺言を残せばいいものの、先輩は後輩なんかに頼んだ。しかも、死ぬと覚悟を決めた。
ならば、きっと遺言を言うターンが残っているのは自分だ。
『……俺は、やるよ』
ならば、自分はすでに死んでしまった友達と、ここにいる先輩に遺言を残すべきだろう。
『みんながこうして俺に力を注いでくれてる』
拳に力を込め、操縦機を精一杯、前に押した。
スピードはぐんぐん上がり、運転は荒くなる。けれど、標準は獲物から外れることはなかった。
そうして、ぶつかる寸前、俺は目を瞑った。
『────日本と、親友のために』
痛みなぞなく、自分の命は跡形もなくなった。