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舞鶴鎮守府。
一人の艦娘が、門の前を掃除していた。顔に絆創膏を貼っており、定期的に辺りを見渡していた。
そんな時、彼女の携帯が着信音を鳴らした。
「……伊勢さんか……はい、木曾です」
『木曾? 吹雪がこのあと来客連れてくるらしいから』
「来客……ですか?」
『うん……なんか艦娘のこと知らないって人達で、めっちゃ強いらしい』
「……そうですか」
ちょうどその時だった。前から、吹雪に連れられて数人の男達が歩いてくるのだ。明らかに只者ではないオーラを出している。
「ふ、吹雪」
「あ、木曾さん。こちら、来客の方々です」
そして、一番前にいた香坂が握手を求めてきた。
「はじめまして。私は裏神のリーダー、香坂慎太郎と申します」
「お、おう。舞鶴鎮守府所属艦娘『木曾』だ」
そこへ、一人の艦娘が走ってきた。左腕に包帯を巻いていることから、骨折していることが分かる。
「吹雪、この人達ね?」
そして、彼女も香坂に握手を求める。香坂はそれに応じた。
「艦娘『伊勢』です。あなた方は、どうやら艦娘について知らないようですね」
「いやいや、艦娘どころかこの世界自体が分かりません」
「この世界……? まぁとりあえず、中で話しましょう。案内します」
そして、彼らは伊勢に案内された。
中はかなり綺麗だった。しかし、窓ガラスがところどころ割れていたり、すれ違う艦娘の雰囲気が暗かったりと、どこか重苦しい。
そして、彼らは応接間に通された。
「……なんか、皆ケガしとんな」
「あぁ、無傷の奴は一人もいなかった」
そんな話をしていると、また一人の艦娘が現れた。顔半分に包帯を巻いている。
「はじめまして。私は秘書艦の『加賀』と申します」
加賀と名乗った艦娘は、自分の顔の包帯を皆が見ているということを確認した。
「……気にしないでください。硫酸をかけられただけです」
それを聞いた鳳崎の顔が厳しくなる。
「気にせんわけあるか。硫酸やと? 大問題やないか」
「いえ、本当に大丈夫です。それより、あなた方に艦娘のことを伝える方が先です」
そして、彼女は自分の胸に手を当てる。
「私達艦娘は……戦地で戦ってきた軍艦の魂を宿しています」
そう言って、加賀は皆に何かの写真を渡す。写っているのは、異形の生命体達。
「数十年前に突如として現れた『深海棲』です。私達は、人間を攻撃するこいつらを倒すために生まれました……もしや、こちらもご存知ない?」
「……残念ながらありませんね」
その時、反町が口を開いた。
「非科学的だが……もしかしたらここは俺達がいた世界とは別の世界なのかもしれない」
「おお、お前がそんなこと言うんか……まあでも、それで正解やろな」
それを聞いていた加賀は、驚きの表情を浮かべた。
「別世界……ですって?」
「あぁ。少なくともこっちでは艦娘も深海棲艦も聞いたことも見たこともないからな」
「タイムスリップじゃなくて……転生ってやつ?」
タンタンの考えも、いい線はいっていた。非科学的なことが、起こってしまったのだ。
その時、深瀬が手を上げる。
「すんません、質問があります。なんでここの人達は皆怪我しとるんですか?」
その時、加賀の顔が曇った。
「……半グレです」
「え?」
「数ヶ月前、舞鶴にいきなり半グレが現れたのです。最初は憲兵達が対処してくださっていたのですが……次第に対処しきれなくなり……ついに半グレの魔の手が艦娘にも及んだのです」
彼女はこう話した。
艦娘は砲撃ができなければほとんどがか弱い女性であり、半グレはそんな彼女達を攻撃してくる。窃盗、暴行、はてに性暴力。
「……そして、深海棲艦との戦いで疲弊した艦娘に薬物を売るなど……」
薬物。その言葉に、裏神メンバーのほとんどが反応した。
彼らもまた、薬物販売系のマフィアだ。何も思わないわけがない。
「そして先日……提督が半グレに襲われました」
提督は、艦娘達を指揮する立場の者。
ここの提督は、「松原コノハ」という女性軍人。
「提督が護衛の艦娘とともに歩いていた時に、半グレに襲われたんです。護衛の娘はすぐに動けなくされて、提督はその娘の目の前で性暴力を……」
そして、加賀が涙を流しはじめた。
「提督はその後頭を殴られて寝たきりになってしまって……護衛の娘はそれから心を病んでしまって……」
香坂は即座にハンカチを取り出すと、彼女に手渡した。
「すいません……来客にこんな話を……」
「大丈夫です……それと、一つ提案があります」
その時、視線を上げた加賀は小さく悲鳴を上げた。
彼らが放っていたオーラは一層強くなっており、鬼のような顔つきをしていた。
「ここの護衛……我々も手伝わせて頂きたい。なんだか、放っておけなくてね」
加賀は恐怖しつつも、謎の安心感に包まれていた。
(何……? なんでこんなに安心できるの?)
そして、加賀は深く頭を下げた。
「ぜひ……お願いいたします!!」
香坂の口角が上がった。
「舞鶴で悪事かます奴には……我々裏神が滅ぼしてあげましょう……!」