テラーノベル
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まさか圭が、ツーショットの写真を撮らないか、と言うとは考えもしなかったのか、美花の大きな瞳が、忙しなく瞬いている。
「…………そんなに驚く事か?」
「そっ……そりゃビックリするよぉ。いきなりなんだもん」
美花の色白の頬が紅潮していき、困惑気味に目尻を下げる。
「で、どうなんだ? 君と一緒に写真を撮っていいのか? 嫌なら……いいんだ」
そう言いながらも、美花がOKと言ってくれないか、と密かに願い、彼女の瞳に交錯させる圭。
「嫌じゃ…………ないよ。いいに…………決まって……る……」
声のトーンを弱くさせながら、言葉尻を濁していく美花に、彼は胸の内でガッツポーズをする。
(たかが写真を撮るだけで、焦ってる俺は…………もはや中学生レベルだな……)
嬉しさを隠しながらも、圭はスマートフォンのカメラを起動させ、画面上のカメラに切り替える。
「じゃあ、俺の横に並んで」
美花に手招きをして、彼の横に並ばせると、美花が両手でハートマークを作り、圭は腕を伸ばして斜め上からカメラを構えた。
「いいか? 撮るぞ」
「は〜いっ」
長い指先で、シャッターボタンをタップさせると、乾いた音が小さく響き、二人は撮った写真を顔を寄せ合いながら確認する。
「…………何か私、笑った顔が引きつってない?」
美花が、撮影した写真を見ながら、不満そうに声を溢している。
「そうか? いいと思うけどな。納得いかないんだったら、もう一枚撮るか?」
指先で画面を走らせている圭は、彼女を宥めると、再びカメラを起動させる。
「うん。撮るっ!」
「じゃあ、撮るぞ」
彼が腕を高く掲げ、斜め上から構図を決めると、美花が先ほどと同様に、両手でハートマークのポーズを取った。
写真用に笑顔を作っているのかもしれないが、やはり美花は可愛い、と思ってしまう。
彼女を驚かせようと企む圭は、グイッと小さな肩を抱き寄せ、美花は唐突なハプニングに、身体を小さく震わせた。
笑顔を作るのを、すっかり忘れている様子の彼女を横目に、彼は静かにシャッターを切った。
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コメント
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良い感じ😊