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植まどか
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翠
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白子=脳みそ思ってた 😇
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「まったく、お前が邪魔しなければ、あんな連中、
逆に俺が征服しに行ってやったものを」
「そうしたら、恐怖の王と呼ばれるのは、あなただったかもしれないですね」
「まったく、何十万人もの兵を動員し、国家の資源をほとんど戦争に費やす。
そんな戦争など、馬鹿げている」
「そのおかげで、奴らと張り合える軍隊があるんだろうが」
サイラスはカイルとともに、城の西にある小高い山にいた。
カイルは、ふとつぶやいた。
「だがな、サイラス。お前は戦争を嫌い、戦争を否定するために戦争をする」
「矛盾の塊だ」
そう言うと、カイルはけらけらと笑った。
「相手からしたら、倒し甲斐のある男だろうよ」
「倒されたくないんですが」
サイラスが反論すると、カイルはまた笑った。
「おや、始まったな」
カイルは、山向こうにある城の方角へ目を向けた。
やがて、モンゴリア軍の兵士たちに守られた攻城兵器が、いくつも姿を現した。
有効射程距離に入る。
次の瞬間――
十数キロもの岩が、いくつも城めがけて飛んできた。
岩は外壁に張られた防御ネットへ次々と着弾する。
ズドン、ズドン――。
城壁全体が大きく揺れた。
だが、防御ネットが衝撃を吸収し、城壁を崩すまでには至らない。
「行けるぞ」
ロドリゲスはドーンへ合図を送った。
「撃てぇい!」
次の瞬間、城壁側の攻城兵器が一斉に火を噴いた。
巨大な岩が、今度はモンゴリア軍の陣地へ向かって飛んでいく。
戦いは――
攻城兵器対攻城兵器で始まった。
「撃てぇい!」
ドーン・セルゴの号令とともに、城壁上に並んだバリスタが一斉に唸りを上げた。
ギリギリギリ――。
張り詰めた弦が限界まで引き絞られる。
次の瞬間。
ドドドドンッ!
巨大な矢が、轟音とともに放たれた。
矢は弧を描くことなく、低い軌道で飛翔する。
その先には、モンゴリア軍の投石機が並んでいた。
「放て!」
敵陣からも号令が飛ぶ。
ギシッ――。
投石機の腕が大きく跳ね上がった。
巨大な岩が空へ舞い上がる。
ズゴォォォン!
一発、二発、三発。
無数の岩が城へ向かって飛んでくる。
その直後だった。
ドォン!
バリスタの巨大な矢が、敵の投石機を真正面から貫いた。
木製の支柱がへし折れ、投石機が横倒しになる。
「命中!」
兵士たちから歓声が上がった。
だが、敵も黙ってはいない。
「放て!」
再び投石機が動き出す。
巨大な岩が次々と放たれ、城壁へ降り注ぐ。
ズドォン!
ズガァン!
防御ネットが大きく揺れ、石の破片が周囲へ飛び散った。
しかし――。
「次!」
ロドリゲスは叫んだ。
バリスタが再び唸る。
ドォン!
一本の巨大な矢が投石機の台座を直撃した。
木材が砕け、兵士たちが吹き飛ぶ。
投石機は大きく傾き、そのまま動かなくなった。
「右!」
「狙え!」
次々とバリスタが標的を変えていく。
ドンッ!
また一台。
ドォン!
さらに一台。
モンゴリア軍の投石機が、一台、また一台と沈黙していった。
だが、その間にも――
ズドォォン!
巨大な岩が城壁へ叩きつけられる。
一発では崩れない。
二発でも崩れない。
それでも、岩は絶え間なく降り注いだ。
城壁の上では、バリスタが敵の攻城兵器を狙い続ける。
城壁の向こうでは、モンゴリア軍の投石機が城そのものを狙う。
破壊するのは、どちらが先か。
城と攻城兵器。
互いの命運を賭けた、激しい砲撃戦が続いていた。
「なあ、サイラス。俺は敵の軍制の不備を突くように、
自分の軍団をつくったが……」
カイルは、遠くで続く砲撃戦を眺めながら言った。
「モンゴリア軍も、違う形で完結する軍を作り出している」
サイラスは黙って聞いていた。
「つまるところ、行き着く先は同じってことだ」
「そして――」
カイルは、敵陣の奥へ目を向けた。
「兵器も進化し、巨大になっていく」
そのときだった。
「な……何だ、あれは!」
兵士の叫び声が響いた。
モンゴリア軍の後方から、巨大な攻城兵器が姿を現した。
一台。
二台。
さらにその後ろから、また一台。
これまで戦場に姿を現した投石機とは、明らかに大きさが違う。
「あんな……化け物みたいな兵器を作り出せるのか」
ドーン・セルゴも息を呑んだ。
「モンゴリア軍は……」
ロドリゲスは、敵兵器の動きを目で追った。
巨大な腕がゆっくりと引き絞られていく。
「来るぞ!」
次の瞬間――。
ゴォォォン!
大地そのものが震えた。
空へ放たれた巨大な岩が、唸りを上げて飛んでくる。
ロドリゲスは、その弾道を目で追った。
「……北の塔!」
ズドォォォォン!
数百キロはあろうかという巨大な岩塊が、北の塔を直撃した。
塔が崩れ落ちる。
さらに岩塊は城壁を砕き、その勢いのまま防壁の一部を破壊した。
「…………」
ロドリゲスは、その場にへたり込んだ。
ドーンが何かを叫んだ。
そして、被害の出た場所へ駆けていく。
「防げ!」
ロドリゲスがようやく声を絞り出した。
「修復を急げ!」
兵士たちが一斉に走り出す。
「何でもいい!」
ロドリゲスは絶叫した。
「何でもいいから、埋めるんだ!」
崩れた防壁。
舞い上がる土煙。
逃げ惑う兵士たち。
その混乱の向こうで――。
モンゴリア軍の巨大兵器が、再びゆっくりと動き始めていた。
後に、人々はその巨大な砲をこう呼んだ。
** 魔砲――回回砲 **
別名西エイシア砲。
その姿は、もはや兵器というより――
怪獣そのものだった。
コメント
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第42話、「魔砲―回回砲」、めちゃくちゃ熱かったです……! カイルとサイラスの「戦争嫌いが戦争する矛盾」って会話、重くて刺さりました。攻城戦の臨場感がすごくて、バリスタと投石機の撃ち合い、そして最後の化け物みたいな回回砲……「怪獣そのもの」って表現、鳥肌立ちました🥀 続きが気になりすぎます。眠狂四郎さんの描く戦場の空気感、大好きです。