シャツを引っ張って引き寄せて。ほんの一瞬、触れるだけ。
少しの距離でも離れるのが嫌で無我夢中で、止まらない涙の代わりに、想いを伝えたい一心で。
目を閉じて、唇に涼の温もりを受け止めた時、自分の突発的な行動に驚きの声を上げた。まるで私が”された方”みたいに。
「え!?」
「……」
涼を見ると私が目を閉じる前に見た顔のまま、固まっている。当然の反応だ。許可もなく急に唇を奪われたんだから。
「ああ、……ほ、ほんと……ごめん。今拭くから」
こんなことで、一方的なこの行為が無かったことにはならないけど、不快感ぐらいは拭えるかもと伸ばした腕を掴まれる。
「そんなの無意味。だって――」
やっとピントの合った深い黒の涼の瞳が怪しく光る。まるで獲物を見るみたいに見据えられ、唇の端を舌で舐める仕草に何かを察知した身体が危険信号を鳴らした。
「これだけじゃ************
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