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放課後
校舎の廊下を歩きながらため息をつく。
明日から部活のオリエンテーションが始まるけど、まだ決められずにいた。
音楽系に行きたいのは決まってる。
でも、この学園のレベルを思うと、本当に自分なんかがここでやっていけるのかって、
ちょっと怖くなる。
ま、雰囲気だけでも見て見よっかな
音楽室の前に立ち止まり、ドアノブをそっと回した。すると、カチャリと音を立てて開いた。
💙「…開いてる」
人気のない音楽室。
けど中に入ると、思わず息を呑んだ。
──広い
壁一面に吸音パネル、最新の音響機器。
録音ブースには透明の防音ガラス。
まるで本物のスタジオみたい。
💙「やっぱ、規模が違うなぁ 」
そっと歩を進めた時、
どこかから柔らかい音が響いた。
ギターの音色。
静かな空気の中に、弦の音が流れていく。
その音に誘われるように、奥へ進むと──
窓際の縁に座って、夕焼けを背にギターを抱える一人の男子がいた。
短めの茶髪に、明るい表情。
けど、その横顔はどこか優しくて、儚さがあった。
🧡♪「オレンジ色が広がると 君への思いが 落ちてくる〜 」
歌っていた。
まるで、心を包むような声。
気づけば足が止まってた。
彼は向井康二。SnowManの一人。
芸能一家で、エンタメ業界の社長の息子。
音楽関係にも顔が広くて、この学園でも一目置かれる存在。
🧡♪「また来る朝を僕は信じてるから」
曲が終わると、向井はふうっと息を吐いた。
──と思った瞬間。
🧡「……えぇっ!おったん?聴いてたん?!恥ずっ」
💙「わっ、すみません!」
突然の声に慌てて謝る。
向井は顔を赤くして笑っていた。
🧡「まじビビった〜。今日は活動日じゃないねん」
💙「え、そうなの?あ、ちょっと見学しようと思ったら鍵が開いてたので、勝手に入ってきちゃいました」
勝手に入ってきて申し訳ない……
🧡「なるほどな〜。ここ、サウンド部って言うねん。バンドも組めるし、 ソロでも歌ってもええ。ボイトレの先生もついとるし、結構本格的やで」
💙「サウンド部…」
名前を口にしただけで、胸の奥が少し高鳴る。
🧡「せっかく来たんなら、ちょっと案内したるわ」
向井はそう言って、ギターをスタンドに立てかけると、こっちこっちと奥へ歩き出した。
俺は少し緊張しながら、その後ろをついていく。
🧡「ここが練習スペース。バンド組むときはここ使うし、ソロの時も自由やで」
💙「おぉ〜」
指された場所には、アンプやドラムセット、キーボード。
どれも見たことないくらい本格的で、ピカピカだった。
🧡「で、こっちは録音ブース」
透明なガラス越しに見える防音室。
マイクもミキサーも、テレビで見るやつと同じ。
💙「……すご」
思わず声が盛れた。
🧡「やろ?プロの現場とほぼ変わらんで」
向井は誇らしそうに笑う。
でも、どこか当たり前な顔をしているのが、逆にすごい。
🧡「ボイトレは曜日ごとに先生違うし、ダンスと組むこともあるしな」
💙「え、そんなことも…」
🧡「この学園は音楽にも力入れてるからなぁ」
改めてこの学園のレベルの高さを実感した。
🧡「みてみて、自慢したいねんけど、これ俺が取った賞」
そこには、数々のトロフィーや賞状が並んでいた。
💙「同い年なのに…すご」
思わず心の声が漏れてしまった。
🧡「ははっ、照れるわ。まぁ、俺ここの副部長やし」
💙「副部長…」
🧡「部長はな、俺より優しくて、時々めっちゃ可愛いんよ」
💙「……可愛い?」
思わず聞き返すと、向井はうなずいた。
🧡「せや、怒るときもあるけど、基本ふわっとしてるで」
どんな人だろ
🧡「でも、実力は本物やで。歌も音も、ちゃんと人の心に届く」
💙「へぇ……」
俺は、知らない誰かを頭に浮かべる。
優しくて、時々可愛い。
でも、実力は本物。
会ってみたいな。
自然とそんなことを考えてしまった。
🧡「部長も俺らと同い年やねん。先輩もおるけど、この学園は実力主義やから」
そっか、SnowManってだけで評価されないんだ、ちゃんと実力が見てもらえるんだな。
いや、SnowManが凄いだけかも。
そのとき、机の上に並べられた写真が目に入った。
空、建物、植物、人物。
💙「これ…」
🧡「あ、それ俺が撮ってん」
向井は一枚手に取って、俺に見せる。
🧡「綺麗やろ?」
💙「すごいですね」
🧡「ありがとう、音も景色も、残したくなるんよな 」
俺と同い年とは思えないほど、こんな世界を当たり前に生きてるんだ。
SnowManて言うだけで警戒してたけど、実力があるからこそSnowManと言われるのだと思える。
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今回康二くんが歌ってた歌詞は「LOVE SONG」からお借りしました。
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