私たちが一緒に見る景色はいつもどんよりと暗い空と降り続く雨。背中に洗濯機の回る音を聞きながら、涼の話に耳を傾ける。「麻衣は?」と時々振られる会話に答えると涼は嬉しそうに微笑んだ。
大したことは言っていない。でも涼は笑顔を浮かべる。まるで会話が出来ることにほっとしているような、私が側にいることを確認するような、切なさが混じる笑顔で微笑む涼のことを私はまだ何も知らない。
涼がどんなことを考えて、何を思って私と”恋人ごっこ”をしているのか分からない。人懐っこく話す涼だけど、どこかミステリアスで、絶対に踏み込めない線が私の前にはあって。その中に手を伸ばさないこと、触れないことがこの関係を続ける唯一だと……。それだけは何となく分かっているんだ。だから――。
「全然雨が降らなくてさ、明日も明後日も雲一つない青空の日ばかりだったら……。今日が最後の雨で、もうずっとこの先永遠に雨が降らな*****************
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