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豪の車で行き着いた場所は、以前連れて行ってもらった多摩ニュータウンの近隣にあるアウトレットモール。
以前から行きたくて、奈美がリクエストした場所。
土曜日のせいか、駐車場は満車ばかり。
モールから一番離れている駐車場に、車を止めた。
車から降り、手を繋ぎながらのんびりと向かい、買い物の確認をする。
「とりあえず今日買う物は、奈美の物が中心になるだろ? 着替え類とか……ああそうだ、マグカップとか、バスタオルもあった方がいいな……」
遠くを見つめながら、買う物を頭の中でリストアップしている豪の表情が、穏やかで、どこか楽しそう。
「豪さん、私の買い物なのに、何か嬉しそうですね」
奈美が思わず苦笑すると、彼は、当たり前だろ、と言わんばかりの表情を映し出す。
「そりゃそうだろ? 俺の家に置いておく奈美の物を買うんだから。特に……」
彼がニヤリと笑った後、私の耳元に顔を近付け、囁く。
「奈美のエッチな下着……な?」
あまりにも甘くて低い声に、奈美の顔にカァッと熱が集まってきた。
「もう! 朝もそんな事言ってましたよね!?」
「奈美がいやらしい下着を身に付けて俺に迫ってきたら、逆に襲い返すだろうな〜」
「こんな明るい時間から変な事を言うなんて、ありえないんですけどっ」
(日中から、何て会話をしているの……!?)
奈美は恥ずかしくなって、繋いだ手を振り解き、大股で歩き出した。
「奈美っ……待ってくれ……!」
彼が追い掛けてきて、彼女の肩を抱き寄せ、顔を覗き込んだ。
「悪かった。ちょっと調子に乗って悪ノリしてしまった。ごめんな……」
彼が焦った表情を見せたのは、初めてかもしれない。
許してくれ、とでも言うような懇願した表情に、彼女は、クスリと笑ってしまう。
「もう! 早く行かないと、買い物する時間がなくなりますよ!」
奈美が、チラリと腕時計を見た。